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しおりを挟む今日は入院当日。
運転しながらぐすぐすと拗ねている潤也さんを内心可愛いと思いながら宥める。
「今日仕事休もうか…」
「今日から検査なので夜まで会いませんしきちんと仕事しないと廣瀬さんに怒られますよ」
「じゃあ仕事終わったら行く。…それならいいだろう?」
「わかりました、待ってますね」
今日から検査やその後の経過を含めて手術まで3日程入院することになった。
男オメガはなかなか大変らしい。身をもって感じる。
ここ3、4週間は荷物を用意したり潤也さんのご飯の作り置きをしたりであっという間だった。
次家に帰る時はこの子も一緒だと思うと少しだけ不安が和らぐ。
病院に着くと、病室に案内され、彼と共に簡単な説明を受ける。
彼は名残惜しそうに仕事へ行った。これでも渋って遅刻気味なのだから廣瀬さんに怒られていないか心配だ。
今日と明日に検査をするらしい。
3日目に最終チェックをして手術へ…という流れらしい。
滅多にないが、もし術中に変化があれば直ぐに局所麻酔から全身麻酔へ変更すると伝えられた。
女の人の体のように子供を産むための体ではないから仕方がないのだが、それを聞くと心配になってくる。
その日は検査をして、安静にするよう言われた。
僕自身小柄だらか、お腹の子もなかなかの小柄らしい。出産予定までまだ少しあるからかもしれないが。
将来は大きな子になるといいな、なんて思いながらエコー写真を眺める。
検査が終わったからは暇だった。
少し広い病室で、綺麗で嬉しい限りなのだが本当に暇で仕方がない。
仕事道具を待ってこようと思ったのだがさすがに止められてしまった。備え付けのメモ用紙とペンでアイデアを書いていく。
「ゆうはどっちがいいと思う?」
なんて話しかけてみる。
応えるわけないか、と微笑みお腹を撫でると偶然かゆうがお腹を蹴る。
「おチビなのに元気だね…、お父さんに似たのかな。…漢字決めないとね、何がいいかなー…」
それから息を切らした潤也さんが病室に来るまでゆうに話しかけながらメモ用紙に絵を描いたり漢字の候補を書いてみたり、なかなか楽しめた。
そんな彼が帰ってきたのは夕飯を食べている時。病院食はやはりあまり美味しくない。
「潤也さん、おかえりなさい」
「ただいま。…何も変わりないか?」
「はい、ずっとゆうと話してたので。ただご飯があまり美味しくないです」
「そうか…俺も話したい。…そればかりはなんとも言えないな、退院したら美味いものを食べに行こう。何でもお前の好きな物」
「約束ですからね。…ほら、お話してあげてください」
いそいそと手の消毒を済ませて彼がお腹に頬擦りをして話しかける。
熱心に仕事の報告や無事に産まれてくるよう言い聞かせているらしい。
親子揃って可愛い。
その光景を見ていると病院食の味も悪くないかな…とは思わなかった。
楓斗くんの妊婦食のおかげで舌が肥えてしまったらしい。
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