こっち見てよ旦那様

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「痛い…」

手術を受けたその夜からズキズキた傷跡含むお腹が痛み始めた。
お腹が元通りになる痛みと麻酔が切れた痛みらしいが関係なく痛い。指導通り看護師さんを呼んで痛み止めを入れてもらう。
オマケに胸も張ってきて痛い。

なかなか効いてこなくて悶えること30分。ようやく効いてきたものの眠りから目覚めるとまた痛くなってきた。
朝食は無く、薬が効いてくるまでの間に水分を取り、授乳の説明を軽く受ける。
湧は少し早めに取り上げたからか小柄で今は保育器に入っているとの事。
直接の授乳がこちらの状態としても難しい為、ここで絞ってあげるらしい。
声が出るほど痛い胸のマッサージを受けて無事に母乳は絞られて行った。というより、自分の胸から母乳が出るなんて、しかも膨らんでいるなんて不思議だ。さすがに女の人までとはいかないが張ってタプタプしているようなしていないような。

昼に流動食が出てきた。
お腹は空いているがなかなか食べる気にならず、丁度来てくれるという潤也さんにゼリーを買ってきてもらった。
お医者さんにOKをもらい、少し流動食を口にしてゼリーを食べた。

「ゼリーなら食べれるのか。…なら明日は豆乳プリンとか買ってこようか、お医者さんに聞いてみるよ。…起き上がれるようなら湧に会いに行くこともできると言っていた」

「今なら薬も効いていて大丈夫なので行きたい…会いたいです」

まだ生まれた時の姿しか見ていない。あの時も少しぼんやりしていたし改めて会いたい。
少し休憩して切れる前にと点滴に痛み止めを入れてもらい彼に車椅子を押してもらって湧の元に移動する。

「…三ツ谷様ですね、ご出産おめでとうございます。お疲れ様でしたね、こちらへどうぞ」

カーテンで仕切られた個室に案内され、手を消毒する。

「はい、ゆっくり抱いてあげてね」

カラカラと真っ白な保育器からお包みに包まれて渡されたのは小さな湧。
すやすやと眠っていて、昨日元気に泣いていたのが嘘のようだ。
ふにゃふにゃしていて柔らかくて、温かい。

「可愛い…」

今までずっとお腹にいたはずなのに、可愛くて仕方がない。
ふに、とぷくぷくの赤い頬をつつくと唇が小さく動く。
愛おしくて仕方がない、自然に笑みが漏れて涙まで出てくる。痛みも全部吹っ飛んでしまった。

「潤也さん、抱いてあげてください」

「あ、あぁ。…怖いな」

隣に座っていた彼にそっと手渡すと僕よりも慣れない手つきで慎重に湧を抱く潤也さん。
しばらく湧をあやすべく小刻みに揺れて俯いていたと思えばふとあげられた顔はまた涙が浮かんでいた。
自分も泣いたくせに思わず彼を笑ってしまう。

「パパだぞ…。…絶対お前を守るからな」

そう言いながら鼻を小さく啜り、話しかける彼を見守った。
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