こっち見てよ旦那様

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「ただいまですね」

「おかえり、やっとだな」

久しぶりの我が家。
数週間ぶりだろうか。

数週間前にこの家を出た時と違うことがいろいろある。
一つは荷物が沢山増えている。子供のものやお見舞品、その他もろもろ。
二つ目は部屋に届いている何個かのダンボール。

赤ちゃん用品の買い足しなのだが、潤也さんも忙しくてなかなか開封出来なかったらしい、

1番大きな違いは今自分が抱いている湧だ。
湧と家に帰るのはなんだか不思議な気持ちで、お包みに包まれすやすや眠る湧はつい先程まで車で大号泣していたとは思えない。
涙のあとをそっと拭ってやり、リビングのベビーベッドへとそっと寝かせると潤也さんが微笑んで湧を撫でる。


「寝てる間に荷解きしますね」

「あぁ、手伝うよ」

「ありがとうございます」

湧を起こさないように静かに2人で荷解きをしたり、ダンボール箱を開封しては物置にストックをしまう。
お見舞品は差出人をメモして後からお礼のものを送ろうと2人で話していると湧が泣き出す。

「多分お腹すいたんですね、そんな時間です。多分」

おしめを確認しつつ湧を抱いてソファに座り授乳を始める。
完璧に慣れた、とまではいかないが最初に比べればよくできるようになったと思う。

それでも女の人程出る訳では無いので半分以上は粉ミルクにお願いしている。
今回は大丈夫かな、と思いながら目に涙をうかべ一生懸命飲んでいる湧は可愛い。
ぁぷ、と満足したのか口を離した湧。逆流しないようにゲップをさせると可愛いらしいゲップが聞こえる。

「お腹いっぱいか」

「そうみたいですね」

クリクリとしたこぼれ落ちそうな瞳を動かして自分達に手を伸ばす湧。

「可愛いなぁ…ほんとに…お前に似て可愛い」

「まだ分からなくないですか?…でも僕は潤也さんに似たら嬉しいです」

そんなことを2人で話しているといつの間にか湧は寝てしまう。次に起きるのはオムツ替えの時だろうか。

「もう少し抱っこしてていいですか?後で片付けますから」

「もちろん。…俺も見てていいか」

もちろん、と頷き返し、しばらく湧を抱いて見守った後片付けを再開した。
結局数時間程で湧のオムツ替えで中断せざるを得なくなったのだが。
暫くはこの繰り返し、というのは入院生活でよく分かった。

それでも彼がいてくれるというのは大きい。
在宅ワークを中心にすると言っていたが、邪魔しないようにしつつも手伝ってもらうことになるだろう。
自分もできる仕事は進めていかなくてはならない。

大変だろうな、と思いながらもワクワクしている自分だった。
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