63 / 219
第2章 20
2
しおりを挟む「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえり~」
「楓斗~…海來は?」
「寝てるよ」
夜8時頃、潤也さんと翼さんが帰宅する。
夕飯は食べてくるとの事だったので楓斗君と二人で少し贅沢にデリバリーをした。
家に入るなり楓斗君とハグをする大胆な2人に少し照れくささを感じて潤也さんを見ると潤也さんがおでこにキスをしてくれる。
「じゃあ透、今日はホントありがとう。今度はこっちの家来てね」
「楓斗と海來がお世話になりました」
荷物を翼さんが持ち、海來くんを抱いた楓斗くんが小声で頭を下げる。
「いえいえ、僕も助かったし楽しかったよ。…うん、また遊びに行くね」
「またいつでも来てくれ…その…仕事は控えめに回してくれると嬉しい」
「馬鹿ですか、あんたは」と頭を軽く叩かれる潤也さんを横目で見て思わず楓斗君と2人で噴き出した。
───────────
「パパだぞー」
ベビーマットの上でカラカラと玩具で湧をあやしながら話しかける潤也さん。
そっと携帯で写真を撮ってしまう。今しか見られない光景だ、残さないては無いだろう。
「おねむか、そうか」
「湧眠そうですか?」
「あぁ、ほら…可愛いぞ」
覗き込むとふんふん、とぷくぷくした可愛い手足を動かしながらも目がシパシパしていて眠そうだ。
可愛い…。
シャッター音が出ないように写真に撮る。
「後で送ってくれ」
「もちろんです」
そんな湧を2人で眺めていると直ぐに寝てしまう。
寝てしまった湧をそっと抱き上げて寝室のベビーベッドへ寝かせる。
「僕達も寝ましょうか」
「そうだな…。…俺はもっとお前と一緒にいたいが…やっぱりそういうのは嫌か?」
しゅんとした様子でこちらを伺う潤也さんに驚くも直ぐに愛しさで笑ってしまう。
「嫌じゃないですよ。…確かに…性欲とかそういうのは少なくなったんですけど潤也さんはさんとはずっと一緒にいたいですし、イチャイチャしたいですよ?」
「そうか…。それは俺も同じだ」
「ほら、ベット入りましょう」
2人で手を繋いでベットに入り、モゾモゾとしばらくベットの中でじゃれ合う。
キスをしたり、抱きしめたり、足を絡めたりくすぐったり。
それだけで充分幸せで、どんどん潤也さんが愛しくなる。
この人との子供がいて、この人と一緒にこうしていられる。
「僕ね、とっても幸せですよ。…潤也さんみたいな素敵な人が旦那さんで、可愛い可愛い湧がいるから」
「そうか。…じゃあ俺も幸せだ。お前をこうして抱きしめていられて、そんな愛してる人の子供がいるんだからな。…愛してるよ」
「僕も、愛してます」
ふふ、と2人で笑いあうと小さくキスを交わして穏やかに眠りについた。
7
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる