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...
しおりを挟む「潤也さん、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…」
この兄弟…酒強すぎないか。
アルコール度数の小さいものだから大丈夫だろうと楽しく話しながら飲んでいたら2人が水のように飲むもんだから自分も飲んでいた。
気がついたら完璧に酔ってしまっていた。
だが当の本人達はケロッとしている。透も頬がほんのり赤く調子が明るいだけ。
義兄さんも調子こそ明るいがそれ以外は何も変わらない。
「お風呂は危ないですし、今日はもう寝ましょうね。…兄さん、潤也さんと湧のお世話どっちがいい?」
「湧だなぁ、お風呂入れてくるよ」
「ありがとう」
「湧~、すーおじさんとお風呂行こうな」
「しゅぁしゅあ?」
「そうだよ~、シュワシュワ持ってきたからなぁ」
湧はシュワシュワする固形タイプの入浴剤が好きで、義兄さんが買ってくるおもちゃ入りの入浴剤を楽しみにしている。
ご機嫌でお風呂に行ったようだ。
「潤也さん、歩けますか?気持ち悪くないですか?」
「大丈夫…ちょっと支えてくれ」
フラフラとおぼつかない足で立ち上がり、透に支えてもらう。
酔いながら、なかなかに支えて貰う側も悪くないと思ってしまう。
下にある透の頭が可愛い。
思わず匂いを嗅ぐと「臭くないですか」と笑われる。透の匂いを臭いと思うわけが無い。
「汗かいてますし、体拭きますね」
ばんざーい、と湧にやるように服を脱がされ、濡れタオルで体を拭かれる。
慣れた様子の透だがこちらとしては内心ドキドキだ。変な気持ちにならないよう気をつかなければ。
「…潤也さん?」
「あ、あぁ…なんだ?」
「ぼんやりしてたので。…全然意識してくれないので」
着替えさせてもらい、少し拗ねた様子の彼に驚く。
酒モードの透はなんて恐ろしいのだろう。思わず透の腕を引いて抱きしめる。
「意識するに決まってるだろ…意識しすぎて…もう」
「嬉しいです。…でも僕もお風呂入りたいですし、兄さんもいますから…残念です、最近なかなか出来ないので」
「寂しいんですよ」といつもとは違う様子の彼。
酔っている頭でもはっきり可愛いと分かる。
「俺も寂しい…ほら、風呂入っておいで」
「はい」
自然と軽くキスを交わし、透はバスルームへと向かった。
1時間弱経っただろうか。
少し寝てしまった、が透はまだ戻っていないようだ。義兄さんの部屋と湧の世話をしているのだろう。
任せっきりになってしまった。
それにしても今度の発情期。
透は薬を飲んでできる限りいつも通り過ごすと言っていたが、俺は耐えきれるだろうか。
お互いに辛くなりそうだ。
抑制剤を飲みながらだったら少しの回数でお互いの精力も落ち着くし、翌朝にも支障は出にくいだろう。
自分が休暇を取って昼間は寝てもらうのもいいし。
どうするべきだろう。
湧を預けるにしても1週間も預けるなんてしたくない。もしそうだとしたら1日2日か。
調べてみるか、と少し冴えた頭で携帯を開き色々な人の体験談を見る。
みんな2日か3日だけ子供を預けたり、子供が大きいなら留守番してもらってホテルに行ったり様々だ。
ふぅ、と息を吐き腕を投げ出す。
何故か唐突に透をだきしめたくなってきた。
「お待たせしました…寝ちゃってますか?」
「起きてる。…待ってたんだ」
少し寝ていたのは言わない。
「…少し寝てました?、目が寝起きなので」
バレたが…。
「よく分かったな。…少しだけ寝た。…それでお前を抱きしめたくなった」
「なるほど。…じゃあ沢山抱きしめてください」
布団に入ってきた彼を抱きしめ、全身で彼を堪能する。
「湧は寝たか?」
「はい、おじさんと寝るって聞かなくて一緒に寝てます」
「そうか」
本当におじさんが大好きだ。俺も負けてはいられない。
だが今は夫夫の時間だ、いや夫婦?どらちでもいい。
2人の時間、とまるで彼とひとつになったようにお互いを抱きしめて寝た。
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