こっち見てよ旦那様

文字の大きさ
109 / 219
34

.

しおりを挟む


「ただいま帰りましたー」

「おかえり、どうだった?」

「3日後くらいです。…薬も予備の分合わせて2週間分貰ったので安心ですよ」

夕方、病院から帰宅すると湧と一緒に潤也さんが出迎えてくれる。
ストーカーの件から1週間程経った、出掛けるのにも今は安心できる。

「そうか。仕事は休む?」

「発情期の間に在宅ワークをまとめてもらいました。…これなら何とか家事と湧の面倒も見れるので」

「いや、俺も休みを取った。丁度廣瀬と入れ替えでな。家事と湧のことは俺がやろう」

現在、楓斗君は発情期で廣瀬さんは休暇を取っている。
被らなくて良かった。

湧を産む前の発情期は薬を飲んでいなかったし、久しぶりだ。
薬を飲んでいれば、ピーク以外は動けるしなんとかなる。ピークの数日は湧をお義母さんの所へ預けることになっている。
少し申し訳ないが、家にいてかまっていられない方が退屈だろう。


「まま!あしょぼ!」

「何して遊ぶのー?」

「こぇ!」

「人形ごっこしてたんだよな」

湧は幼児向けの赤ちゃん人形「ポコちゃん」の着せ替えが大好きだ。
湧自身が欲しいと言ったので買ったのだが、小さな服を作るのが楽しすぎてこちらまでハマってしまった次第である。

「こーちはぁ」

「こんにちは、ご挨拶できて偉いね」

ポコちゃんと一緒にぺこりと頭を下げてくれる2人?に潤也さんと挨拶を返す。

「お洋服可愛いな」

「自信作です。…湧もセンスが良くて、将来楽しみです」

「お腹にいる時からお前の仕事を身近で見ていたからだろう」

再度着せ替えを始めた湧を見守りながらそんなことを潤也さんに言われる。
確かに、よくベッドの上で仕事をしていた。

もう少し大きくなったら周りと一緒に仮面ライダーとかを好きになるのだろうか。
男だからとか女だからをとやかく言うつもりは無いが、好きなことをそのままやり続けて欲しいと思う。 

それでも現在から色々な物で遊ぶのだから、多趣味なものだ。

「…ゴム買ってこないとな」

「っ?!…こんなとこで言わないでくださいよ」

ぽつりと彼の唐突な発言に思わず噴き出してしまう。

「…まだ家にありましたよ」

「足りないだろ?」

この人は…。
もう、と彼の足の間に移動して湧との遊びを継続する。

発情期の前後や最中は甘えたくなるような気がする。学生時代、薬を飲んでいたとはいえ、家にひきこもっていると人肌恋しくてたまらなかった覚えがある。
…ただ昔と違うのは潤也さんにのみ甘えたくなることだ。

「あ…夕飯の用意買ってません…」

「今夜は食べに行こうか。…たまにはいいだろう?」

「そうですね、そうしましょうか」

「おそょと?」

「そうだよ、ご用意しようね」

「ぽちゃんも!」

「じゃあおめかししてあげてね」

ポコちゃんも連れて行くということで、意気揚々とまた着せ替えを始めた。
本当に気に入っているらしい。最近はどこに行くにも一緒だ。

「僕用意してきますね」

「あぁ、じゃあ湧に上着着せておく」

彼に湧を任せて出掛ける用意を始める。
ウェットティッシュにオムツと着替え…タオル…どれも必要だが嵩張るものばかりだ。

携帯や機械はなんでもコンパクトになっていくのにこういう用品はコンパクトにならないものかと常々思ってしまう。

それでも乳児の時に比べれば少しでも減ったし、出かけられる範囲が広がって嬉しいと思う。

「お待たせしました。どんな具合ですか」

「こちらも準備完了だ」

「しゅっぱーつ!」と車に乗り込む。
ポコちゃんと湧、お揃いの服を作ってみようか。セーラー服なんか可愛いだろうなぁと少し想像する。

…可愛い!

仕事が一段落したら作ろう。

しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ

MITARASI_
BL
I 彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。 「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。 揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。 不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。 すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。 切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。 Ⅱ 高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。  別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。  未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。  恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。  そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。  過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。  不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。  それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。  高校編のその先を描く大学生活編。  選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。 続編執筆中

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

処理中です...