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しおりを挟む「ただいま帰りましたー」
「おかえり、どうだった?」
「3日後くらいです。…薬も予備の分合わせて2週間分貰ったので安心ですよ」
夕方、病院から帰宅すると湧と一緒に潤也さんが出迎えてくれる。
ストーカーの件から1週間程経った、出掛けるのにも今は安心できる。
「そうか。仕事は休む?」
「発情期の間に在宅ワークをまとめてもらいました。…これなら何とか家事と湧の面倒も見れるので」
「いや、俺も休みを取った。丁度廣瀬と入れ替えでな。家事と湧のことは俺がやろう」
現在、楓斗君は発情期で廣瀬さんは休暇を取っている。
被らなくて良かった。
湧を産む前の発情期は薬を飲んでいなかったし、久しぶりだ。
薬を飲んでいれば、ピーク以外は動けるしなんとかなる。ピークの数日は湧をお義母さんの所へ預けることになっている。
少し申し訳ないが、家にいてかまっていられない方が退屈だろう。
「まま!あしょぼ!」
「何して遊ぶのー?」
「こぇ!」
「人形ごっこしてたんだよな」
湧は幼児向けの赤ちゃん人形「ポコちゃん」の着せ替えが大好きだ。
湧自身が欲しいと言ったので買ったのだが、小さな服を作るのが楽しすぎてこちらまでハマってしまった次第である。
「こーちはぁ」
「こんにちは、ご挨拶できて偉いね」
ポコちゃんと一緒にぺこりと頭を下げてくれる2人?に潤也さんと挨拶を返す。
「お洋服可愛いな」
「自信作です。…湧もセンスが良くて、将来楽しみです」
「お腹にいる時からお前の仕事を身近で見ていたからだろう」
再度着せ替えを始めた湧を見守りながらそんなことを潤也さんに言われる。
確かに、よくベッドの上で仕事をしていた。
もう少し大きくなったら周りと一緒に仮面ライダーとかを好きになるのだろうか。
男だからとか女だからをとやかく言うつもりは無いが、好きなことをそのままやり続けて欲しいと思う。
それでも現在から色々な物で遊ぶのだから、多趣味なものだ。
「…ゴム買ってこないとな」
「っ?!…こんなとこで言わないでくださいよ」
ぽつりと彼の唐突な発言に思わず噴き出してしまう。
「…まだ家にありましたよ」
「足りないだろ?」
この人は…。
もう、と彼の足の間に移動して湧との遊びを継続する。
発情期の前後や最中は甘えたくなるような気がする。学生時代、薬を飲んでいたとはいえ、家にひきこもっていると人肌恋しくてたまらなかった覚えがある。
…ただ昔と違うのは潤也さんにのみ甘えたくなることだ。
「あ…夕飯の用意買ってません…」
「今夜は食べに行こうか。…たまにはいいだろう?」
「そうですね、そうしましょうか」
「おそょと?」
「そうだよ、ご用意しようね」
「ぽちゃんも!」
「じゃあおめかししてあげてね」
ポコちゃんも連れて行くということで、意気揚々とまた着せ替えを始めた。
本当に気に入っているらしい。最近はどこに行くにも一緒だ。
「僕用意してきますね」
「あぁ、じゃあ湧に上着着せておく」
彼に湧を任せて出掛ける用意を始める。
ウェットティッシュにオムツと着替え…タオル…どれも必要だが嵩張るものばかりだ。
携帯や機械はなんでもコンパクトになっていくのにこういう用品はコンパクトにならないものかと常々思ってしまう。
それでも乳児の時に比べれば少しでも減ったし、出かけられる範囲が広がって嬉しいと思う。
「お待たせしました。どんな具合ですか」
「こちらも準備完了だ」
「しゅっぱーつ!」と車に乗り込む。
ポコちゃんと湧、お揃いの服を作ってみようか。セーラー服なんか可愛いだろうなぁと少し想像する。
…可愛い!
仕事が一段落したら作ろう。
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