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しおりを挟む「寝ましたか?」
「ああ、やろうか」
明日は休日、湧を寝かしつけ、今夜のお楽しみの用意がされている寝室へとうきうきで戻る。
咲夜はまだ寝ていないだろうが大丈夫だろう。うるさくしても壁は厚い。
「乾杯~」
「乾杯」
からん、と軽くぶつけたグラスを思い切り煽る。
無論、酒の強い透とそうでも無い俺は飲んでいる酒は違う。
…別に俺は弱いわけじゃない、普通だ。
涼しい顔で度数の強い酒をジュース割りにして飲んでいる透。…格好いい。
「お義父さんにもらったおつまみ、美味しいです」
「ほんとだな、また同じのを探してみようか」
父さんのくれたつまみのセット。洋風のものは生ハムやらチーズ、和風のものは魚介類とよりどりみどりで酒が進む。
今夜のは弱いのにしたからたくさん透とも話せる。
「ふふ、潤也さん、もう顔真っ赤ですよ」
「そんなことない…気のせいだ」
しかし数十分後、透にからかわれている自分がいた。
体がポカポカしているし、心が陽気になっている。酔っている自覚はあるが…認めたくない。
「はい、あーん」
透も少なから酔っているのだろう。チーズを口元に差し出してくれる。
遠慮なく頂き、彼の指先にキスを残した。
「今度、湧の幼稚園で遠足があるんですよ」
「楽しみだな、どこ行くんだ?」
湧も幼稚園に通い始めて早2ヶ月、最初は透と離れることを渋っていたものの、今では楽しそうにバスに乗っていく。
帰ってからは幼稚園での出来事を話してくれるのだが…その殆どに廣瀬の子供、海來君が入っている。相当仲が良いのだろう。
親同士の関係もあって赤ん坊の頃から一緒にいれば仕方がないのだろうか。
「遊園地だそうですよ、懐かしいですね」
「そうか…透はその日は仕事か?」
「いえ、おやすみです」
「そうか。…なら俺も有給取る、デートしよう」
いつもならサラッと言えないことがよく言える。不思議なものだ。酒とはすごい。
「デートですか、いいですねー。最近2人で出かけてませんもんね」
楽しみです、と身を寄せてきた彼の肩を抱き頭に頬を擦り寄せる。
「甘えん坊ですね」なんて言われてしまうが別にいい。よしよし、と撫でられてしまっても美味しいと思ってしまう。
…明日は休みだし、できるかな。襟の隙間から見える彼の素肌を見てそんなことを考えてしまう。
が、調子よく酒を飲んでしまい、結局寝かしつけられてしまうという結果に至った。
朝、ぼんやりする頭とともに悔しがっている中、隣ですやすやと天使のように眠る彼を見ると幸せになった。
また今度でも大丈夫。…何せ今度はデートが出来る。
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