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第3章 41
..
しおりを挟む撮影が始まってしばらく、仕事の電話をして戻ってくると、休憩中らしい湧と海來君が駆け寄ってきた。
「まま!あのね、かっこよくとれたって…!」
「ゆーまま!ゆーくんね!ゆーくんさ!」
「海來、ゆーまま困ってるから。落ち着いてー」
ごめんよ~、と湧本人以上に興奮して報告をしてくれる海來君を楓斗君が抱き上げると、湧に合わせてしゃがむ。
「かっこよく撮れた?」
「うん…!おじさんがかっこいーて、つつみさんも、かっこいーてゆってくれた!」
「よかったねー!楽しかった?」
よっこいせ、と湧を抱き上げ頬を撫でてやると「うん…!みーくんと、一緒」と嬉しそうに笑う。
かわいい…。
「続けてみる?」
「やる!みーくんと、一緒」
「そうだね、みーくんも一緒だね」
ほんと海來君のこと大好きだなぁ、と思いながら潤也さんに送るための写真を撮ろうと2人に並んでもらう。
「いいねいいね~!好きなポーズ撮ってみよ」
楓斗君が明るく声掛けをすると、少し内緒話をした後に腕を組んだポーズをバッチリ決めてくれる2人。
「かわいい…かっこいいね!」
自分もデレデレしながらたくさん写真を撮ってしまった。
何枚か激選して送るつもりだったが、どれも可愛かったし、少しづつ表情も違うので全部送ることにした。
「湧ー」
「ぱぱ!」
「頑張ったなぁ、ほら、堤さんにお礼言った?」
「いった!」
「偉いなぁ、…息子がお世話になりました。父です」
初めてだったので、帰りは話を聞きつつ堤さんがビルの外までお見送りしてくれた。
すると迎えに来ていた潤也さんもいたようで、堤さんに名刺を渡していた。
「苗字から何となくは思ってたんですけれど…ほんとに社長さんですね。…こちらこそよろしくお願い致します」
「じゃあ、今度も待ってるね。頑張ろうね」と朗らかに湧とハイタッチをひてくれて堤さんとは別れた。
「透も、お疲れ様。…2人とも、お腹空いただろう?何処か食べに行こうか」
「湧は何食べたい?」
「はんばーぐ」
と、いうことなので3人で半個室のハンバーグ屋さんへと向かった。
普通のファミレスも好きだが、潤也さんも立場が立場なので個室の方が都合が良いしゆっくりできる。
一生懸命今日の話をする湧にうんうんとデレデレしながら潤也さんが頷いている。
潤也さん、顔緩んでますよ。
2人ともかわいいなぁ、なんて思いながら2人の様子を1枚写真に撮った。
夜、湧を寝かしつけてベッドに入りいつもの夫婦会議…というかただの雑談をする。
「湧はモデル、続けられそうか」
「本人はまたやりたいって言ってました。さっきも次はいつかいつかって」
「そうか。…それならよかったな」
「はい。…けどモデルとなるとオーディションもありますし、そのためのレッスンとかもあるらしいんですが…それが苦手ならオファーのものだけでも良いし、と堤さんが」
「そうか…」
「海來君がいるのが大きいと思うんです」
「確かに仲が良さそうだったな…とにかく、送迎が難しかったらいつでも言うんだぞ。お前だって仕事があるんだから」
「潤也さんもじゃないですか」
「お互い仕事だから、一方にだけ負担がかかるのはおかしいだろう?…俺はどうにでもなるがお前はお前しか出来ない仕事だろう」
「ありがとうございます…潤也さんも、潤也さんにしか出来ない仕事がありますよ。とにかく、今日もお疲れ様てした」
「あぁ、お疲れ様。…おやすみ」
ちゅ、とリップ音を立てて軽くキスをし彼の懐へ潜り込む。
寝る体制はこれが1番安心する。
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