こっち見てよ旦那様

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「透、起きてるんだろう」

数十分もしないうちに彼がまた寝室に戻ってきて隣に腰掛けた。
今は毛布を被っているし、彼の姿は見えないけれど無視している。
…寝たフリだ。


「…誤解をさせた、本当にすまない。今さっきシャツのに気がついた」

寝てないってバレているのだろうか。
それでも今更動くわけにも行かずそのまま寝たフリを続行していると彼が話を続ける。

「…ゆりあは…その…昔から俺に固執しているようで、俺とお前の結婚も反対していたやつだ。だから結婚式にも来なかった。…だが最近、新しい取引先のリーダーにゆりあがいた。初めはあまり関わらないようにしていたが…いや、言い訳だな」

「お前を少しでも不安にさせたなんて、俺は愚かだ」と彼が小さく呟く。

「…前にも、キスマーク…ついてました…匂いも。…僕は耐えられない、潤也さんに僕以外の誰かの匂いや印がつくのは…嫌です、絶対」

布団の中から言ってやった。
αだけが独占欲が強いなんて嘘、Ωにだって自分のαを取られるなんて許さない。

「…お前に関わるのを止めたんだが…止めなかったんだな、あいつは」

「…ご飯に誘われました」

「行くのか」

「…一度お会いするのも手かと」

「…やめておけ、という資格は俺にないか」

「分かりません。…けど、言って欲しかったです。ちゃんと、あなたが何を抱えているのか」

「すまん…心配をかけさせたくなかったが、逆効果だった」

「もういいんです。…僕も早く言えばよかった」

布団から出てしょんぼりしている彼を抱き寄せる。
まだ僕以外の匂いがついているかもしれない。

すり、と彼の首元に頭を擦り付けると彼がくすぐったそうに笑う。

「…お前の匂いがする香水が欲しいな」

「そんなのありませんって」

「あればいくら出してでも買う」

「…香水なんかより、本人がここにいるのにですか」

「確かにそうだな」と押し倒され頭の頂点から鎖骨ら辺までちゅ、ちゅ、と何度もキスを落とされる。

「しますか?」

「…そうしたいところだが、お前も明日は仕事だろう。それに隈ができている。…寝るまでここにいるから、寝てくれ」

「…はぁい」

いい所だったのに、と拗ねつつ実はかなり眠い。
電気を消して彼の胸の中で目を閉じる。

「…なんでふて寝って分かったんですか」

ダメ元で話し始めたのかな、なんて思いながら尋ねると彼は

「…簡単だ。お前の寝息と呼吸の感覚が違った」

「へ、へぇ…」

怖。


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