155 / 219
43
..
しおりを挟む「透、起きてるんだろう」
数十分もしないうちに彼がまた寝室に戻ってきて隣に腰掛けた。
今は毛布を被っているし、彼の姿は見えないけれど無視している。
…寝たフリだ。
「…誤解をさせた、本当にすまない。今さっきシャツの染みに気がついた」
寝てないってバレているのだろうか。
それでも今更動くわけにも行かずそのまま寝たフリを続行していると彼が話を続ける。
「…ゆりあは…その…昔から俺に固執しているようで、俺とお前の結婚も反対していたやつだ。だから結婚式にも来なかった。…だが最近、新しい取引先のリーダーにゆりあがいた。初めはあまり関わらないようにしていたが…いや、言い訳だな」
「お前を少しでも不安にさせたなんて、俺は愚かだ」と彼が小さく呟く。
「…前にも、キスマーク…ついてました…匂いも。…僕は耐えられない、潤也さんに僕以外の誰かの匂いや印がつくのは…嫌です、絶対」
布団の中から言ってやった。
αだけが独占欲が強いなんて嘘、Ωにだって自分のαを取られるなんて許さない。
「…お前に関わるのを止めたんだが…止めなかったんだな、あいつは」
「…ご飯に誘われました」
「行くのか」
「…一度お会いするのも手かと」
「…やめておけ、という資格は俺にないか」
「分かりません。…けど、言って欲しかったです。ちゃんと、あなたが何を抱えているのか」
「すまん…心配をかけさせたくなかったが、逆効果だった」
「もういいんです。…僕も早く言えばよかった」
布団から出てしょんぼりしている彼を抱き寄せる。
まだ僕以外の匂いがついているかもしれない。
すり、と彼の首元に頭を擦り付けると彼がくすぐったそうに笑う。
「…お前の匂いがする香水が欲しいな」
「そんなのありませんって」
「あればいくら出してでも買う」
「…香水なんかより、本人がここにいるのにですか」
「確かにそうだな」と押し倒され頭の頂点から鎖骨ら辺までちゅ、ちゅ、と何度もキスを落とされる。
「しますか?」
「…そうしたいところだが、お前も明日は仕事だろう。それに隈ができている。…寝るまでここにいるから、寝てくれ」
「…はぁい」
いい所だったのに、と拗ねつつ実はかなり眠い。
電気を消して彼の胸の中で目を閉じる。
「…なんでふて寝って分かったんですか」
ダメ元で話し始めたのかな、なんて思いながら尋ねると彼は
「…簡単だ。お前の寝息と呼吸の感覚が違った」
「へ、へぇ…」
怖。
6
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ
MITARASI_
BL
I
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
Ⅱ
高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。
別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。
未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。
恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。
そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。
過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。
不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。
それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。
高校編のその先を描く大学生活編。
選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。
続編執筆中
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる