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しおりを挟む「透~!湧君~おはよー!」
「おはよう」
今日は幼稚園の親子遠足。
丁度仕事に都合のついた僕が湧について行くことになり、潤也さんは大変しょげていた。
それは廣瀬宅も同じだっただろうな、とウキウキの楓斗君を見て思う。
「ゆーくん!」
「あ、みーくん」
「おはよお!」と湧に飛びつく勢いで駆け寄り、当たり前かのように手を繋ぐ2人。
「まぁた仲良しこよしだよ」
「だね。…海來君のこと大好きな女の子、残念がってそうだね」
「なんか一緒に回ろうっていろいろ誘われたらしいんだけど、『ゆーくんと遊ぶからごめんね』って断ったらしいよ」
「うわぉ」
男前。
「でもさぁ、湧君も結構人気あるの知らないー?」
このこの~、と悪戯っぽく笑いながら小突いてくる楓斗君を小突き返し、首を振る。
「知らないかも。湧あんまり女の子とかそういう話してくれなくてね。…海來君ことばっかりだよ」
2人ともやるなぁ、と少し前を仲良く歩く子供達を見守りながらバスへと乗り込む。
本来なら親子で隣同士に座るはずだったが「ゆーくんととなり!」「みーくんといっしょがいい!」と揉めていると先生が隣でもいいと言ってくれた。
「小学校、どうする?」
「あー…公立か私立かってこと?」
「そう」
再来年には小学生。
家から近い…とは言っても自分たちの住んでいるところから公立の小学校は少し距離がある。
それか私立の小学校に行くか。
「正直どっちでもいいかなぁって。翼ともたまに話すけど…善し悪しわかんないよね。俺は公立だったけど、公立はいろんな子が集まってるイメージかな」
「良い子も悪い子も面倒な子もいろんな子がいたね」と思い出すように笑う楓斗君。
自分は私立の小学校だったが、子供達の家庭環境なんかは特に差が少なかった。
色々な子に触れ合える、という観点からすれば公立もいいと思うが…難しい。
高校や中学ではないからそれほど慎重にならなくても、と少し思うが6年間も通うのなら楽しい方がいいに決まっている。
そうこうしているうちにバスは出発し、最初はワイワイしていた車内も、やはり子供達は半数程が寝てしまい親達の談話がバスを占めていた。
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