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第二章 四大精霊
四十二話
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「へぇ、そうなんだ?でも、今の場合、土属性と風属性って、相乗効果あるのか?」
「正兄、植物育てるのに、土も大事だけど、風も重要な役割りあるんだよ」
「そっ、そうなのか?瑞樹は、親父と畑仕事してたから教えてもらえたんだな、俺は、手伝いなんてしてなかったからなぁ」
「でも、それなら、ファラムの力も合わせた方が、保水力も上がっていいんじゃないの?」
「はい、光輝様の言うような効果もあるのですが、もともと、この子達は、水との相性がいいようなので、下手をすると、粘土質や沼地の方に引き寄せらるかもしれないので、少し様子をみながら調整していきたいと思います」
「粘土質は困るね…陶芸家とかなら、喜ばれそうだけどね」
「あれ?寝ちゃった」
俺達が話してる間に、妖精さん達が、床の上でお互いにもたれながら眠ってしまっていた。
「お腹がいっぱいになったから、寝てしまったんですね」
「じゃぁ、本当に、身体が大きい方が、少食なんだ。不思議だけど、良かった。ちょっと、さめちゃったけど、俺達も食べよう」
「だな、と、その前に…」
正兄が、妖精さん達をまとめて抱っこして、リビングのソファーの上に下ろした。
「寝床も揃えないといけないな。木でままごとセットを作っている作家さんがいたから、ちょっと、話をしてみるか」
「日本の作家さん?」
「そう、明日、電話してみるよ」
[ワシの知り合いにも、木工が得意なヤツがおるから、何かつくらせるかい?]
「そうですね、様子をみて、必要になったらお願いします」
[あいよ]
それから、みんなで食事をした。天ぷらは好評で、大皿二つに盛ったものがきれいに終わってしまった。お蕎麦も、気に入ったようだけど、ファラムは箸が上手くつかえなかったので、途中からフォークで、巻いて食べていた…アルフさんは、蕎麦がきが気に入ったみたいで、ももんぐさんと、取り合いになって、正兄が、もう一丼、追加で作ってくれた。
ダリルは、箸の使い方も直ぐに覚えて、俺達に、石の事を語ってくれた。
「寝袋って…」
四大精霊が、封印されていた石を、集めないといけないのか、正兄が聞いたら、集める必要がないと言われた。その理由は、人間で言うところの、寝袋みたいなものだから必要ならば、また用意出来るからだと…
「ちなみに、キルさん以外の石は、なんなのか聞いてもいい?」
「はい、構いませんよ。アルフがエメラルド、ファラムがサファイア、僕がダイヤモンドです」
ハハ…エメラルド、サファイア、ダイヤモンドの寝袋って…
「…えっと、それぞれ、それなりの大きさがあったりするの?」
「力の差が少しあるので、キルのよりは、少し小さいですね」
「少しなんだ…でも、良かったぁー、封印石を手に入れないとダメなんて言われたら、破産どころの騒ぎじゃなかったからな」
「確かに、世界一大きなルビーだけで、いくらになるのか、想像もつかないんだけど…」
「そんな心配なさらなくても、主様方の手を煩わせなくとも、僕達で、回収は出来ますので、ご安心下さい。財産として、必要ならば、言って下さいね。ああ、アルフと、僕の石は、特に問題ないので、回収しておきましょう」
そう言って、両手を握ってテーブルの上に置き、目をつむると、両手の隙間から光が漏れだした…右が白で、左が緑…
そして、開かれた手には…
「だー、ヤバイって、そんな大きさの宝石、俺達が持てるものじゃない」
「しかも、アルフさんと、ダリルくんのだから、両方とも、瑞樹のだね」
「えっ?えっ?俺の?いやいやいや、いきなりこんな宝石渡されても…どうすればいいの?」
[ちょっと、いきなり取り出さないでよ。食事中だったんだから]
「あっ、ごめん、それにしても、アルフ随分小さい姿だね」
[時使いの魔女達に、使われた上に、一気にここまで来たから、消滅寸前だったのよ]
「あっ、そうか、ごめん。どうする?その猫に 戻すかい?」
[もう、いいわ、その中にトルト王を封印したから、解かれないようにしておいて]
「えー、マタゴ族は、あまりいい性格じゃなかったよねー、石の価値が下がるじゃないか」
[えー、だって、黒猫の方が瑞樹様、抵抗なく抱っこしてくれるんですもの]
石が出たことで、一旦、黒猫から出てきたアルフさんと、ダリルくんが、俺達…瑞樹の焦りを無視して話を進める。
そして、当然でしょって、いう感じで、黒猫にもどったアルフさんは、また蕎麦がきを食べ始めた…
「どうせ、力が弱まったのなら、ファラムみたいに、子供体型になれば良かったんじゃないの?」
[あっ…]
ため息混じりに、ダリルくんが言うと、アルフさんは、蕎麦がきから顔を上げ、瑞樹を切なそうに見上げてきた。
「今さら、無理だよ。いくら、子供姿でも…」
慌てて、拒否るって…何か、あったのか?
「あれ?何かしでかしたんですね。アルフ、軽率過ぎますよ」
[だって…嬉しくてつい…]
ついって…?
「そっ、それより、その石、どうすればいいの?」
瑞樹が、強引に話を変えてきた。これは、いつか聞き出さないとな。
「ただ、瑞樹様が、持っているだけでいいですよ。そうすれば、僕達…じゃないか…僕はこの中で、休むことも出来ますので、もしお困りであれば、売ることも出来ますよ。エメラルドの方は、価値が下がってしまいましたが…」
「持ってるだけって…しかも、そんな簡単に売れないでしょ」
「多分な、出所とかハッキリしてないと、盗品扱いだ。この際、深く考えずに、宝物ができたということで、大事にしろ」
「うう、正兄、他人事だと思って…」
「そんな心配なさらなくても、僕に任せてもらえれば、ちゃんとしたルートで、売ることが出来ますのでご安心下さい。長い時間、お役に立てるように、人間社会を勉強してきたので、お任せください」
「う、うん。僕には、よく分からないから…取り敢えずは、箱にでもしまっておくよ」
ダリルくんの笑顔に押されて、瑞樹は、大きなエメラルドと、ダイヤモンドを受け取り、力なく頷いていた。
ふー、こんなことになるのなら、キルさんには、申し訳ないけど、展示物になっていて良かったかもしれないと、思ってしまった…本当に、キルさんごめんなさい…
「正兄、植物育てるのに、土も大事だけど、風も重要な役割りあるんだよ」
「そっ、そうなのか?瑞樹は、親父と畑仕事してたから教えてもらえたんだな、俺は、手伝いなんてしてなかったからなぁ」
「でも、それなら、ファラムの力も合わせた方が、保水力も上がっていいんじゃないの?」
「はい、光輝様の言うような効果もあるのですが、もともと、この子達は、水との相性がいいようなので、下手をすると、粘土質や沼地の方に引き寄せらるかもしれないので、少し様子をみながら調整していきたいと思います」
「粘土質は困るね…陶芸家とかなら、喜ばれそうだけどね」
「あれ?寝ちゃった」
俺達が話してる間に、妖精さん達が、床の上でお互いにもたれながら眠ってしまっていた。
「お腹がいっぱいになったから、寝てしまったんですね」
「じゃぁ、本当に、身体が大きい方が、少食なんだ。不思議だけど、良かった。ちょっと、さめちゃったけど、俺達も食べよう」
「だな、と、その前に…」
正兄が、妖精さん達をまとめて抱っこして、リビングのソファーの上に下ろした。
「寝床も揃えないといけないな。木でままごとセットを作っている作家さんがいたから、ちょっと、話をしてみるか」
「日本の作家さん?」
「そう、明日、電話してみるよ」
[ワシの知り合いにも、木工が得意なヤツがおるから、何かつくらせるかい?]
「そうですね、様子をみて、必要になったらお願いします」
[あいよ]
それから、みんなで食事をした。天ぷらは好評で、大皿二つに盛ったものがきれいに終わってしまった。お蕎麦も、気に入ったようだけど、ファラムは箸が上手くつかえなかったので、途中からフォークで、巻いて食べていた…アルフさんは、蕎麦がきが気に入ったみたいで、ももんぐさんと、取り合いになって、正兄が、もう一丼、追加で作ってくれた。
ダリルは、箸の使い方も直ぐに覚えて、俺達に、石の事を語ってくれた。
「寝袋って…」
四大精霊が、封印されていた石を、集めないといけないのか、正兄が聞いたら、集める必要がないと言われた。その理由は、人間で言うところの、寝袋みたいなものだから必要ならば、また用意出来るからだと…
「ちなみに、キルさん以外の石は、なんなのか聞いてもいい?」
「はい、構いませんよ。アルフがエメラルド、ファラムがサファイア、僕がダイヤモンドです」
ハハ…エメラルド、サファイア、ダイヤモンドの寝袋って…
「…えっと、それぞれ、それなりの大きさがあったりするの?」
「力の差が少しあるので、キルのよりは、少し小さいですね」
「少しなんだ…でも、良かったぁー、封印石を手に入れないとダメなんて言われたら、破産どころの騒ぎじゃなかったからな」
「確かに、世界一大きなルビーだけで、いくらになるのか、想像もつかないんだけど…」
「そんな心配なさらなくても、主様方の手を煩わせなくとも、僕達で、回収は出来ますので、ご安心下さい。財産として、必要ならば、言って下さいね。ああ、アルフと、僕の石は、特に問題ないので、回収しておきましょう」
そう言って、両手を握ってテーブルの上に置き、目をつむると、両手の隙間から光が漏れだした…右が白で、左が緑…
そして、開かれた手には…
「だー、ヤバイって、そんな大きさの宝石、俺達が持てるものじゃない」
「しかも、アルフさんと、ダリルくんのだから、両方とも、瑞樹のだね」
「えっ?えっ?俺の?いやいやいや、いきなりこんな宝石渡されても…どうすればいいの?」
[ちょっと、いきなり取り出さないでよ。食事中だったんだから]
「あっ、ごめん、それにしても、アルフ随分小さい姿だね」
[時使いの魔女達に、使われた上に、一気にここまで来たから、消滅寸前だったのよ]
「あっ、そうか、ごめん。どうする?その猫に 戻すかい?」
[もう、いいわ、その中にトルト王を封印したから、解かれないようにしておいて]
「えー、マタゴ族は、あまりいい性格じゃなかったよねー、石の価値が下がるじゃないか」
[えー、だって、黒猫の方が瑞樹様、抵抗なく抱っこしてくれるんですもの]
石が出たことで、一旦、黒猫から出てきたアルフさんと、ダリルくんが、俺達…瑞樹の焦りを無視して話を進める。
そして、当然でしょって、いう感じで、黒猫にもどったアルフさんは、また蕎麦がきを食べ始めた…
「どうせ、力が弱まったのなら、ファラムみたいに、子供体型になれば良かったんじゃないの?」
[あっ…]
ため息混じりに、ダリルくんが言うと、アルフさんは、蕎麦がきから顔を上げ、瑞樹を切なそうに見上げてきた。
「今さら、無理だよ。いくら、子供姿でも…」
慌てて、拒否るって…何か、あったのか?
「あれ?何かしでかしたんですね。アルフ、軽率過ぎますよ」
[だって…嬉しくてつい…]
ついって…?
「そっ、それより、その石、どうすればいいの?」
瑞樹が、強引に話を変えてきた。これは、いつか聞き出さないとな。
「ただ、瑞樹様が、持っているだけでいいですよ。そうすれば、僕達…じゃないか…僕はこの中で、休むことも出来ますので、もしお困りであれば、売ることも出来ますよ。エメラルドの方は、価値が下がってしまいましたが…」
「持ってるだけって…しかも、そんな簡単に売れないでしょ」
「多分な、出所とかハッキリしてないと、盗品扱いだ。この際、深く考えずに、宝物ができたということで、大事にしろ」
「うう、正兄、他人事だと思って…」
「そんな心配なさらなくても、僕に任せてもらえれば、ちゃんとしたルートで、売ることが出来ますのでご安心下さい。長い時間、お役に立てるように、人間社会を勉強してきたので、お任せください」
「う、うん。僕には、よく分からないから…取り敢えずは、箱にでもしまっておくよ」
ダリルくんの笑顔に押されて、瑞樹は、大きなエメラルドと、ダイヤモンドを受け取り、力なく頷いていた。
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