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第四章 節約生活?
八十四話
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んん?えっと、人としての寿命があるけど、その後も、俺達は生き続けるって事?
「えっと、それは、決定事項ですか?」
『ふむ、いや桃とは違い、お主達は二択になっておる。桃の様になるか、通常の解除と同じように、人としての生を終えたと同時に消滅するかだ』
「光輝様…あっ、いえ、何でもないです」
何となく、聞いただけなんだけど、ダリルくんが、焦ったように俺を見る。
その言葉に、反応して回りを見ると、 俺達とずっと一緒にいられるかもしれないと思って、ちょっと、嬉しそうだった精霊達の表情が、くもってしまっていた。
「あっ、いや、まだ、整理できてないから、消滅を選ぶ訳じゃないよ。ただ、情報として、いろいろと、聞いておきたいんだ」
『ふむ、では、今は寿命の事を置いておくとしようか』
「あっ、えっと、寿命って、後十年以内ですか?」
瑞樹が慌てて、右手を上げ質問する。
『ふむ、お主達は…十七歳か…いや、十年以内ではないな。もう少し先だ』
「俺は、十年後に、寿命を聞きたいと思うけど、光輝は、どうする?」
なるほどね。
「俺もその方が良いな。十年あれば、いろいろ考えられるし、仕事もしてるだろうから、その先の、生活も想像できるかもしれないし、精霊達との付き合いも安定してると思うから…」
『ふむ、なるほど。そうやって人間は気持ちを落ち着かせるのか…桃には、一度に全部教えてしまったので、変な焦りに捕らわれ、人としての幸せを逃させてしまった…悪い事をした…少しずつ、情報をながし、導いてやれば良かったのだな…』
竜神様が、ぶつぶつ言いながら、目を閉じ考え込んでしまった。
それを聞きながら、俺と瑞樹も話し込む。
「母さん、寿命が決まっていたから、じいちゃん家に預けたのかなぁ?」
「うん、それに、力が半減とかなんとか言ってなかった?何か、障害が出てたのかなぁ?それで、独り暮らしなんかして、キツくなかったのかな?」
「だよなぁ。俺達、小さかったけど、何か力になれたかもしれないのに…」
『ホントに、良い子に育って…母さん嬉しいわ』
「「わっ、いつの間にっ」」
俺と瑞樹の間に母さんが現れ、手で涙を拭っている。
『ふむ、それは、ワシの落ち度であったな。桃よ許してくれ』
うわっ、竜神様が頭を下げた。なんか、この竜神様、想像していたより、腰が低い?
『んー、竜神様、そんなこと気にしないで下さい。人間だったときは、意志が弱かったから、ながされてしまったんです。でも、それが、私の意思でもあったのです。だから、私の所為であり、私以外の誰かの所為ではないのです』
おっ?母さんって、こういう人だったの?
更に、頭が混乱してきた。
『ふっ、桃は強いな。だから、我らに好かれるのだ。だが、ワシの落ち度というのは、本当だ。この辺りに住まうもので、蘇生が出来るのワシしか否んだのだ。だから、ワシが依頼を受けたのだが、ワシはまだ未熟でな、完全体での蘇生が出来んのだ。その影響で、桃の感情が大きく欠落した状態での蘇生になってしまって、随分、生きずらかったであろう?』
『まぁ、そうだったのですか?気がつかなかったです』
『…ふむ、そのー、ワシの蘇生の欠点で、脳に何らかの影響が出てしまうのだ。人間の身体はホンに複雑でな…すまなかった』
言葉を発する毎に、竜神様が小さくなって、最後の謝罪と共に、ポンッと姿が消えた。
「あっ、言い逃げた!」
ダリルくんが、容赦なくツッコミを入れた。
『まぁ、また、いじけたのね。また、しばらく出てこないのかしら?私を蘇生した後も、何だか落ち込んでしまって、十年ぐらい引きこもってたらしいのよねぇ。竜神様って、メンタル弱いのねぇ』
いや、母さん?困り顔で、そんなこと言ってるけど、俺の記憶では母さんも、弱いと思ってましたよ…
「えっと、それは、決定事項ですか?」
『ふむ、いや桃とは違い、お主達は二択になっておる。桃の様になるか、通常の解除と同じように、人としての生を終えたと同時に消滅するかだ』
「光輝様…あっ、いえ、何でもないです」
何となく、聞いただけなんだけど、ダリルくんが、焦ったように俺を見る。
その言葉に、反応して回りを見ると、 俺達とずっと一緒にいられるかもしれないと思って、ちょっと、嬉しそうだった精霊達の表情が、くもってしまっていた。
「あっ、いや、まだ、整理できてないから、消滅を選ぶ訳じゃないよ。ただ、情報として、いろいろと、聞いておきたいんだ」
『ふむ、では、今は寿命の事を置いておくとしようか』
「あっ、えっと、寿命って、後十年以内ですか?」
瑞樹が慌てて、右手を上げ質問する。
『ふむ、お主達は…十七歳か…いや、十年以内ではないな。もう少し先だ』
「俺は、十年後に、寿命を聞きたいと思うけど、光輝は、どうする?」
なるほどね。
「俺もその方が良いな。十年あれば、いろいろ考えられるし、仕事もしてるだろうから、その先の、生活も想像できるかもしれないし、精霊達との付き合いも安定してると思うから…」
『ふむ、なるほど。そうやって人間は気持ちを落ち着かせるのか…桃には、一度に全部教えてしまったので、変な焦りに捕らわれ、人としての幸せを逃させてしまった…悪い事をした…少しずつ、情報をながし、導いてやれば良かったのだな…』
竜神様が、ぶつぶつ言いながら、目を閉じ考え込んでしまった。
それを聞きながら、俺と瑞樹も話し込む。
「母さん、寿命が決まっていたから、じいちゃん家に預けたのかなぁ?」
「うん、それに、力が半減とかなんとか言ってなかった?何か、障害が出てたのかなぁ?それで、独り暮らしなんかして、キツくなかったのかな?」
「だよなぁ。俺達、小さかったけど、何か力になれたかもしれないのに…」
『ホントに、良い子に育って…母さん嬉しいわ』
「「わっ、いつの間にっ」」
俺と瑞樹の間に母さんが現れ、手で涙を拭っている。
『ふむ、それは、ワシの落ち度であったな。桃よ許してくれ』
うわっ、竜神様が頭を下げた。なんか、この竜神様、想像していたより、腰が低い?
『んー、竜神様、そんなこと気にしないで下さい。人間だったときは、意志が弱かったから、ながされてしまったんです。でも、それが、私の意思でもあったのです。だから、私の所為であり、私以外の誰かの所為ではないのです』
おっ?母さんって、こういう人だったの?
更に、頭が混乱してきた。
『ふっ、桃は強いな。だから、我らに好かれるのだ。だが、ワシの落ち度というのは、本当だ。この辺りに住まうもので、蘇生が出来るのワシしか否んだのだ。だから、ワシが依頼を受けたのだが、ワシはまだ未熟でな、完全体での蘇生が出来んのだ。その影響で、桃の感情が大きく欠落した状態での蘇生になってしまって、随分、生きずらかったであろう?』
『まぁ、そうだったのですか?気がつかなかったです』
『…ふむ、そのー、ワシの蘇生の欠点で、脳に何らかの影響が出てしまうのだ。人間の身体はホンに複雑でな…すまなかった』
言葉を発する毎に、竜神様が小さくなって、最後の謝罪と共に、ポンッと姿が消えた。
「あっ、言い逃げた!」
ダリルくんが、容赦なくツッコミを入れた。
『まぁ、また、いじけたのね。また、しばらく出てこないのかしら?私を蘇生した後も、何だか落ち込んでしまって、十年ぐらい引きこもってたらしいのよねぇ。竜神様って、メンタル弱いのねぇ』
いや、母さん?困り顔で、そんなこと言ってるけど、俺の記憶では母さんも、弱いと思ってましたよ…
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