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異世界人拾っちゃいました…
森歩き
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「靴…作った?ディルさんって、錬金術師なの?」
リョウに靴を渡すとそんな事を聞いてきた。
「いや、錬金術で作ったわけじゃない。手仕事さ。この世界では、自分で身につける物ぐらいは、皆、作れるぞ」
「えー?だってこれ、皮だよね?しかも、ブーツを一晩で作ったの?本当に?」
「なんだかなぁ?そんな、驚く程のことじゃないだろ。それより履いてみろ。気になるところがあれば調整するから」
「うん、あっ…足洗わなくちゃ」
リョウは靴を抱えて、また、池の方に走り出す。
ああ、そうか、ついでに旅仕度をさせてしまうか、森の中では、肌の露出は少ない方がいいからな。
荷物の中から、リョウでも身に付けられそうな物を出して池に向かう。
「スゴい、ちょうどいいし、メチャ軽い!しかも、カッコイイ」
池に着くと、リョウが跳び跳ねたり、走ったりしていた。どうやら気に入ってくれたようなので、一安心だ。
「ウィニングラビットの皮は、柔らかくて馴染みやすい。靴底には、スカイリザトの皮も使っていて、耐久性に優れているし、どちらも風属性だから軽い上に、普通に歩くより早く歩けるようになるんだ」
「えっ、それって、魔道具ってこと?」
「いや、魔道具とは違うな。素材の特徴で、空気抵抗とか重力が軽減されているだけだ」
「そっ…そうなんだ。スゴいね…」
「履き心地はどうだ?どこか痛いところとか、気になるところはあるか?」
「ないよ。ちょうど良くて、動きやすい」
「そうか、良かった。後、これを腕にはめてくれ、それと、フード付きのローブだ。少しデカイかもしれないが、森の中で肌を出しているのは危険だからな」
「分かった」
ん?リョウは何やら嬉しそうに、肘まで隠れる綿のアームウォーマーと、長めの麻のローブを身につける。そして、ローブを広げ足先から自分の服装を見回す。
「うわっ、アニメなんかで見ていた。冒険者みたいな服装だ」
そんな事を言い出した。
どうやら、異世界に来てしまったことを嘆くのではなく、楽しむ方向に向いてくれたようなので安心する。
昨夜と同じように、朝食にビストを食べ…って、同じじゃなかった。
昨夜は、固いとか文句を言っていたのに、今朝は『優しい甘味で、美味しいし、噛み応えがあるから、満足感もあっていいね』なんて言って食べている…なんだかなぁ?
その後、ざっとこれからの予定を話してから、二人で山道に出て、シーズに向けて歩き出す。
道すがら、シーズことや、ウィル族の成人の義について聞かれたので、説明しながら歩いていく。
慣れない道だし、子供ということを考えて、休みを多めにとって歩いたのだが、思っていたよりも距離が稼げた。
予定していた野営地よりも一つ先の野営地で、火を起こす準備をしながら聞いてみると、元々体を動かすのは好きで、将来はサッカーという競技の選手になるのが夢だったから、体力には自信があると語ってくれた。
特別疲れているようにも見えないし、人族の子供にしては、本当に体力があるのだろう。
「この調子なら、明日の昼頃には、シーズに着くな」
「ホント?じゃぁ、そこで、ディルさんは、冒険者になるの?」
「ああ、試験を受けて合格すれば、冒険者なれる」
「僕は?僕も冒険者になれる?」
「ん?リョウも冒険者になりたいのか?」
「うーん?まだ、よくわからないけど、こういう場合、冒険者になって、色々見て回った方が、この世界に早く馴染めるかなぁと思って…」
「なるほどね。確か、転移者やその子孫が多く住む街があって、支援者もいるから、街で問い合わせてみるか、昨日話した牧場での仕事が気に入ればそこにお願いしようかと思っていたけど…冒険者でもいいのか」
「えっ?それって、シーズの街で、ディルさんと別れるって事?」
リョウに靴を渡すとそんな事を聞いてきた。
「いや、錬金術で作ったわけじゃない。手仕事さ。この世界では、自分で身につける物ぐらいは、皆、作れるぞ」
「えー?だってこれ、皮だよね?しかも、ブーツを一晩で作ったの?本当に?」
「なんだかなぁ?そんな、驚く程のことじゃないだろ。それより履いてみろ。気になるところがあれば調整するから」
「うん、あっ…足洗わなくちゃ」
リョウは靴を抱えて、また、池の方に走り出す。
ああ、そうか、ついでに旅仕度をさせてしまうか、森の中では、肌の露出は少ない方がいいからな。
荷物の中から、リョウでも身に付けられそうな物を出して池に向かう。
「スゴい、ちょうどいいし、メチャ軽い!しかも、カッコイイ」
池に着くと、リョウが跳び跳ねたり、走ったりしていた。どうやら気に入ってくれたようなので、一安心だ。
「ウィニングラビットの皮は、柔らかくて馴染みやすい。靴底には、スカイリザトの皮も使っていて、耐久性に優れているし、どちらも風属性だから軽い上に、普通に歩くより早く歩けるようになるんだ」
「えっ、それって、魔道具ってこと?」
「いや、魔道具とは違うな。素材の特徴で、空気抵抗とか重力が軽減されているだけだ」
「そっ…そうなんだ。スゴいね…」
「履き心地はどうだ?どこか痛いところとか、気になるところはあるか?」
「ないよ。ちょうど良くて、動きやすい」
「そうか、良かった。後、これを腕にはめてくれ、それと、フード付きのローブだ。少しデカイかもしれないが、森の中で肌を出しているのは危険だからな」
「分かった」
ん?リョウは何やら嬉しそうに、肘まで隠れる綿のアームウォーマーと、長めの麻のローブを身につける。そして、ローブを広げ足先から自分の服装を見回す。
「うわっ、アニメなんかで見ていた。冒険者みたいな服装だ」
そんな事を言い出した。
どうやら、異世界に来てしまったことを嘆くのではなく、楽しむ方向に向いてくれたようなので安心する。
昨夜と同じように、朝食にビストを食べ…って、同じじゃなかった。
昨夜は、固いとか文句を言っていたのに、今朝は『優しい甘味で、美味しいし、噛み応えがあるから、満足感もあっていいね』なんて言って食べている…なんだかなぁ?
その後、ざっとこれからの予定を話してから、二人で山道に出て、シーズに向けて歩き出す。
道すがら、シーズことや、ウィル族の成人の義について聞かれたので、説明しながら歩いていく。
慣れない道だし、子供ということを考えて、休みを多めにとって歩いたのだが、思っていたよりも距離が稼げた。
予定していた野営地よりも一つ先の野営地で、火を起こす準備をしながら聞いてみると、元々体を動かすのは好きで、将来はサッカーという競技の選手になるのが夢だったから、体力には自信があると語ってくれた。
特別疲れているようにも見えないし、人族の子供にしては、本当に体力があるのだろう。
「この調子なら、明日の昼頃には、シーズに着くな」
「ホント?じゃぁ、そこで、ディルさんは、冒険者になるの?」
「ああ、試験を受けて合格すれば、冒険者なれる」
「僕は?僕も冒険者になれる?」
「ん?リョウも冒険者になりたいのか?」
「うーん?まだ、よくわからないけど、こういう場合、冒険者になって、色々見て回った方が、この世界に早く馴染めるかなぁと思って…」
「なるほどね。確か、転移者やその子孫が多く住む街があって、支援者もいるから、街で問い合わせてみるか、昨日話した牧場での仕事が気に入ればそこにお願いしようかと思っていたけど…冒険者でもいいのか」
「えっ?それって、シーズの街で、ディルさんと別れるって事?」
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