異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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異世界人拾っちゃいました…

シーズの街

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 二日目の朝は、街に着くのが楽しみらしく、起きた時から、テンションが高いリョウに落ち着く様に注意しながら出発した。
 ここの森は光と風の精霊の加護を受け、好戦的な強い魔獣はいないが、イタズラ好きな小妖精が数多くいる。小妖精は、善悪の概念がなく、ただ楽しいからとか、面白そうだからと言って、かなり酷いイタズラを仕掛けてくることがある。森生まれの者は、仲間意識があるのか、それほど酷いことはされないが、外から来た者は、たまに死人が出ることもあるから、気を付けないといけないのだ。

 そんな説明もしながら、走り出そうとするリョウを注意しつつ歩いていくと、木々が減り、視界が開けてきた。そして、なだらかな下り坂の先にシーズの街がみえた。

「あっ、あれが、シーズ?うわっ、なに?岩?山?えー、どうなってるの?早く、早く行こう」

 リョウは、目を丸くして、驚きの声をあげ、俺の手を引っ張る。もう、ずっと、注意してきたのに、聞いてないな…

 シーズの街の半分は岩山になっている。一番始めに住み着いたエルフが、穴をほり住居空間を作ったのだ。そして、それが今では、この街の族長が住む館兼役所になっている。
 そして、その裾野に、石の建物が多く広がっている。このシーズは、光の精霊と土の精霊の加護を受け、牧畜と毛織物の盛んな街だ。

「うわぁー」

 リョウが、口を開けたまま、キョロキョロと辺りを見回し、驚きの声をあげる。
 
「後で、ゆっくり案内してやるから、先に役所に行って、手続き済ませるぞ」

「え?先ずは、冒険者ギルドじゃないの?」

「いや、異世界人は、役所に届けを出すっていっただろ、それに、役所なら、鑑定士もいるから」

「あっ、アレルギー検査か…」

 ここで、リョウのテンションが一気に下がり、力も抜けたようになってしまった。
 
「おいおい、生活する上で、大切なことなんだから、ほら、しっかり歩け」

「うー、おかしすぎるよ。異世界って、部位欠損を再生させる薬とか、死者蘇生とか出来る魔法があるんじゃないの?それなのに、アレルギー気にして食事するなんて、変だよ」

 おいおい、駄々までこね出したよ。

「いろんな世界があるって言っただろ。それに、この世界では、部位欠損は治せないぞ、死者蘇生もない。もう、そんなだらだらせずに、ちゃんとしろよ」



   

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