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冒険者
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いろいろあったけど、ちょっと落ち着き、リョウの冒険者になるための訓練を再開したのだが、二つ問題点があることが分かった。
「器用なんですね。全ての武器を、それなりに使えてしまうんで、これって言う決め手がないんですよね。しかも…」
俺が、弓と短剣、その他の武器も基礎を教えたのだが、主力で使う武器が決まらないのと、ちょっと、困ったことに…
タリクさんと相談して、冒険者ギルドの教官に、意見を聞くことにしたのだ。 しかし、その教官も、どの武器が合っているのか、決めかねていて…何やら、言いにくそうにしている。
「ノーコンなんですね」
俺が、ハッキリと言うと、隣で聞いていたリョウが、キュ~とうなだれてしまった。
「そこなんですよね。下半身の鍛練はしっかりしていて、安定しているし、関節も柔らかし、回りの変化にも敏感に反応出来るのは、素晴らしいのですよ。でも、何故か、的とは違う所に飛ぶんですよね…」
「そうなんですよね。射るときの姿勢も問題ないし、射る瞬間の身体のブレもないのに、何故か、明後日の方向に矢が飛んでくんですよね…」
相談した教官、ゼグートさんと向かい合い、ため息混じりに問題点を口にする。
「ちゃんと、狙ってるんだけどね…」
リョウも、うなだれながら、呟いている。
始めは、慣れれば、コントロールも徐々に良くなるだろうと思っていたのだが…投石にしても、投げナイフ、投槍、弓矢、全てが、とんでもない所に飛んでいくのだ。
弓なんて、本当に姿勢もよく、玄もしっかり引けているのに…はぁ…
「まぁ、あれですね。幸い、ディルさんは、神業と言えるほどのコントロールを持っていますから、パーティーとしては、さほど問題にならないと思いますよ」
「しかし、もしもの時を考えて、魔法以外の遠距離用の武器も、持っていた方がいいと思っていたんですよね」
「確かに、接近戦に特化したような人達でも、弓や投擲の訓練してますからね。先制攻撃にしても、逃げる時にも役立てられますからね」
で、三人で相談した結果、ギルドには様々な武器が揃っているので、色々な武器を使ってみて、リョウが気に入ったのを主にして、普通の剣や槍といった武器の鍛練もしつつ、遠距離用の武器を探す事にした。
ちなみに、ゼグートさんの見立てでは、体術を後十日ほど訓練すれば、冒険者試験に合格出来そうと言うことだった。
体力や運動神経、魔術に関しては、べた褒めされたので、リョウのやる気を削ぐ事がなくて良かった。
「そうですか、リョウ君の武器は、まだ決まらないのですね。クラリーは、直刀のサーベルが主で、視力が良くなったので、弓の練習を始めました。体術と魔術は、モンディール様のお陰で問題ないですし、十日後の試験なら、間に合いそうですね」
「…」
役所に行き、リョウの世話役でもあるタリクさんに、ギルドでの事を報告すると、そう返されたので、思わず絶句に…
「その事なんですけど、本当に、クラリーちゃんを冒険者にするんですか?」
「勿論です。カトリーナの実家にも、報告したら、皆、喜んでくれまして、一家総出で、クラリーの装備を新調することになりました。勿論、モンディール様も協力してくださるそうなので、こちらでも楽しみにしているんですよ」
「そうなんですね…」
「何か、問題でも?」
未成年の女の子を冒険者にして、他人に委ねる事に抵抗がないのが問題だと思うのだが…
タリクさん一家は、俺とリョウを、信頼していると、力説するし、モンディールの加護があるので、自分の身は、自分で守れると、クラリーちゃんも、何故か自信ありげに宣言し出すし、モンディールまで出てきて、脅されてしまった…
「えーと、適性検査の方は?」
「大丈夫です。ディルさんの指導のお陰で、無事、クラリーとココは、Cランクで通りました。ミンテちゃんとココの相性もいいようなので、安心してください」
神の血を受け継いだ魔獣のミンテは問題なく適性検査をパスできた。そして、ペットだと思っていたココが、なんと、魔獣だった。神が造った種で、光属性の術を得意としていて、クラリーちゃんと従魔契約していた。
こうして考えると、バランスはそれなりにとれているよなぁ、リョウがどの武器を選んだとしても良いわけで…まぁ、贅沢を言えば、盾役が得意な重量系が欲しいかな、という感じではあるが、全員が、魔獣なので、魔術で補えるので必然は感じない。
うん、客観的に見て、かなり良いパーティーになりそうだ。
「器用なんですね。全ての武器を、それなりに使えてしまうんで、これって言う決め手がないんですよね。しかも…」
俺が、弓と短剣、その他の武器も基礎を教えたのだが、主力で使う武器が決まらないのと、ちょっと、困ったことに…
タリクさんと相談して、冒険者ギルドの教官に、意見を聞くことにしたのだ。 しかし、その教官も、どの武器が合っているのか、決めかねていて…何やら、言いにくそうにしている。
「ノーコンなんですね」
俺が、ハッキリと言うと、隣で聞いていたリョウが、キュ~とうなだれてしまった。
「そこなんですよね。下半身の鍛練はしっかりしていて、安定しているし、関節も柔らかし、回りの変化にも敏感に反応出来るのは、素晴らしいのですよ。でも、何故か、的とは違う所に飛ぶんですよね…」
「そうなんですよね。射るときの姿勢も問題ないし、射る瞬間の身体のブレもないのに、何故か、明後日の方向に矢が飛んでくんですよね…」
相談した教官、ゼグートさんと向かい合い、ため息混じりに問題点を口にする。
「ちゃんと、狙ってるんだけどね…」
リョウも、うなだれながら、呟いている。
始めは、慣れれば、コントロールも徐々に良くなるだろうと思っていたのだが…投石にしても、投げナイフ、投槍、弓矢、全てが、とんでもない所に飛んでいくのだ。
弓なんて、本当に姿勢もよく、玄もしっかり引けているのに…はぁ…
「まぁ、あれですね。幸い、ディルさんは、神業と言えるほどのコントロールを持っていますから、パーティーとしては、さほど問題にならないと思いますよ」
「しかし、もしもの時を考えて、魔法以外の遠距離用の武器も、持っていた方がいいと思っていたんですよね」
「確かに、接近戦に特化したような人達でも、弓や投擲の訓練してますからね。先制攻撃にしても、逃げる時にも役立てられますからね」
で、三人で相談した結果、ギルドには様々な武器が揃っているので、色々な武器を使ってみて、リョウが気に入ったのを主にして、普通の剣や槍といった武器の鍛練もしつつ、遠距離用の武器を探す事にした。
ちなみに、ゼグートさんの見立てでは、体術を後十日ほど訓練すれば、冒険者試験に合格出来そうと言うことだった。
体力や運動神経、魔術に関しては、べた褒めされたので、リョウのやる気を削ぐ事がなくて良かった。
「そうですか、リョウ君の武器は、まだ決まらないのですね。クラリーは、直刀のサーベルが主で、視力が良くなったので、弓の練習を始めました。体術と魔術は、モンディール様のお陰で問題ないですし、十日後の試験なら、間に合いそうですね」
「…」
役所に行き、リョウの世話役でもあるタリクさんに、ギルドでの事を報告すると、そう返されたので、思わず絶句に…
「その事なんですけど、本当に、クラリーちゃんを冒険者にするんですか?」
「勿論です。カトリーナの実家にも、報告したら、皆、喜んでくれまして、一家総出で、クラリーの装備を新調することになりました。勿論、モンディール様も協力してくださるそうなので、こちらでも楽しみにしているんですよ」
「そうなんですね…」
「何か、問題でも?」
未成年の女の子を冒険者にして、他人に委ねる事に抵抗がないのが問題だと思うのだが…
タリクさん一家は、俺とリョウを、信頼していると、力説するし、モンディールの加護があるので、自分の身は、自分で守れると、クラリーちゃんも、何故か自信ありげに宣言し出すし、モンディールまで出てきて、脅されてしまった…
「えーと、適性検査の方は?」
「大丈夫です。ディルさんの指導のお陰で、無事、クラリーとココは、Cランクで通りました。ミンテちゃんとココの相性もいいようなので、安心してください」
神の血を受け継いだ魔獣のミンテは問題なく適性検査をパスできた。そして、ペットだと思っていたココが、なんと、魔獣だった。神が造った種で、光属性の術を得意としていて、クラリーちゃんと従魔契約していた。
こうして考えると、バランスはそれなりにとれているよなぁ、リョウがどの武器を選んだとしても良いわけで…まぁ、贅沢を言えば、盾役が得意な重量系が欲しいかな、という感じではあるが、全員が、魔獣なので、魔術で補えるので必然は感じない。
うん、客観的に見て、かなり良いパーティーになりそうだ。
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