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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 30
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「うう…疲れたぁ…眠い…もうダメ…」
『わぁ、リョウ!危ないです』
「お、おい、リョウ!大丈夫か?」
『地竜の剣』と『聖域』の騒ぎが落ち着いたところで、集落の説明を受け、空き部屋を借り荷物を置いたところに、『黒狼の刃』のサイガさんが来て、俺達を夕食に招待してくれた。
地竜の剣はあまり乗り気じゃなかったが、こちらに太刀を扱える者がいないので、基礎知識だけでもつけておこうと、招待を受けた。
その席で話をしてる内に、話がリョウの修行についての話になった。
「全くの素人が、振るっても本来の力の半分も出せないであろうな…ここに、いる間に、我らが手解きをしても良いのだが…」
「ホント!教えてもらえるなら、習いたい!」
と、リーダーの話に、リョウが食い付き、習えることになったのだが…
「リョウ様、大丈夫でしょうか…」
その手解きをうけたリョウが、帰ってくるなり、倒れこみ、とっさに支えたミンテの背中で寝息をたてている。
そのリョウを見て、クラリーちゃんも心配げに呟く。
「しかし、超回復力があるのに、ここまで疲労するって、どんな修行なんだ?」
リョウに同行したミンテと地竜の剣を見る。
『ミンテは、最初の走り込みしか一緒じゃなかったです。コハクに影移動の習得の仕方習ったです』
「おお、出来そうなのか?」
『もう少し、闇魔法のレベル上げが必要ですけど、習得できる可能性は持ってるそうです』
「そんなこと分かるんだ」
『獣人族、固有のスキルみたいです』
便利だな。獣人のパーティーメンバーも検討しておこう。
「で、地竜の剣は?」
「ワレは、リョウについていたっスよ。でも、特別変わった修行はなかったスね。今日は、基本となる身体的なこと見てたみたいっス」
「それで、こんなになったのか?」
「だから『基本となる』身体測定っスよ」
「んん?どういう事だ?」
「リョウが、左手にはめてる腕輪、強化系や回復系のスキルを抑える魔道具っス」
「「えっ?」」
地竜の剣の言葉で、リョウの左手を見ると、確かに、見覚えのない緑色と朱色の麻糸の様なもので編まれた腕輪をはめている。
「特別な染料で染めたゲトー大陸の固有種の桧の皮で編んであるっス。その染料と編みかたで身体に関するスキルや魔術を抑制できたり、促進したり出来るようになってるっス」
「そんな事出来る道具があるんだ。さすが、元獣人族、国王の証し、詳しいな」
「ああ、レオンを助けるために、シンシアが考え出した技術っス」
一億年の歴史かぁ…
「で、これは、その術者じゃないと取れないものなのか?」
「取り外し自由なハズ…昔と変わってなければ…扱うものが決められてる様な危険なモノは、隠蔽魔法がかけられてるハズっす…」
へぇ、上手くできてるな。昔の事なので、自信が無さそうだが、地竜の剣の言葉を信用して、リョウの手から腕輪を取ると、ピクリと動いて、リョウが目を覚ました。
「あれ?何?」
目を覚ましたリョウが、ミンテの背中から、戸惑いながら、俺達を見上げてきた。それと同時に、ぐぅーとリョウのお腹が鳴り出した。
「睡眠欲の次は、食欲か、素直だな」
「あっ、僕、寝ちゃってたのか、ミンテちゃん、運んでくれたの?ありがとね」
皆に腹の虫の音を聞かれて恥ずかしいのか、真っ赤になりつつ、ミンテにお礼を言って誤魔化している。
「相当、しごかれたらしいな?ちょうど良かった。手を洗って夕飯に…」
と言いかけたら、リョウがクリーンをかけて、立ち上がる。
「もう、お腹空き過ぎててダメ。早く食べようよ」
うーん、魔術、便利だね。
この世界に住人の俺たちより、馴染んでないか?
『わぁ、リョウ!危ないです』
「お、おい、リョウ!大丈夫か?」
『地竜の剣』と『聖域』の騒ぎが落ち着いたところで、集落の説明を受け、空き部屋を借り荷物を置いたところに、『黒狼の刃』のサイガさんが来て、俺達を夕食に招待してくれた。
地竜の剣はあまり乗り気じゃなかったが、こちらに太刀を扱える者がいないので、基礎知識だけでもつけておこうと、招待を受けた。
その席で話をしてる内に、話がリョウの修行についての話になった。
「全くの素人が、振るっても本来の力の半分も出せないであろうな…ここに、いる間に、我らが手解きをしても良いのだが…」
「ホント!教えてもらえるなら、習いたい!」
と、リーダーの話に、リョウが食い付き、習えることになったのだが…
「リョウ様、大丈夫でしょうか…」
その手解きをうけたリョウが、帰ってくるなり、倒れこみ、とっさに支えたミンテの背中で寝息をたてている。
そのリョウを見て、クラリーちゃんも心配げに呟く。
「しかし、超回復力があるのに、ここまで疲労するって、どんな修行なんだ?」
リョウに同行したミンテと地竜の剣を見る。
『ミンテは、最初の走り込みしか一緒じゃなかったです。コハクに影移動の習得の仕方習ったです』
「おお、出来そうなのか?」
『もう少し、闇魔法のレベル上げが必要ですけど、習得できる可能性は持ってるそうです』
「そんなこと分かるんだ」
『獣人族、固有のスキルみたいです』
便利だな。獣人のパーティーメンバーも検討しておこう。
「で、地竜の剣は?」
「ワレは、リョウについていたっスよ。でも、特別変わった修行はなかったスね。今日は、基本となる身体的なこと見てたみたいっス」
「それで、こんなになったのか?」
「だから『基本となる』身体測定っスよ」
「んん?どういう事だ?」
「リョウが、左手にはめてる腕輪、強化系や回復系のスキルを抑える魔道具っス」
「「えっ?」」
地竜の剣の言葉で、リョウの左手を見ると、確かに、見覚えのない緑色と朱色の麻糸の様なもので編まれた腕輪をはめている。
「特別な染料で染めたゲトー大陸の固有種の桧の皮で編んであるっス。その染料と編みかたで身体に関するスキルや魔術を抑制できたり、促進したり出来るようになってるっス」
「そんな事出来る道具があるんだ。さすが、元獣人族、国王の証し、詳しいな」
「ああ、レオンを助けるために、シンシアが考え出した技術っス」
一億年の歴史かぁ…
「で、これは、その術者じゃないと取れないものなのか?」
「取り外し自由なハズ…昔と変わってなければ…扱うものが決められてる様な危険なモノは、隠蔽魔法がかけられてるハズっす…」
へぇ、上手くできてるな。昔の事なので、自信が無さそうだが、地竜の剣の言葉を信用して、リョウの手から腕輪を取ると、ピクリと動いて、リョウが目を覚ました。
「あれ?何?」
目を覚ましたリョウが、ミンテの背中から、戸惑いながら、俺達を見上げてきた。それと同時に、ぐぅーとリョウのお腹が鳴り出した。
「睡眠欲の次は、食欲か、素直だな」
「あっ、僕、寝ちゃってたのか、ミンテちゃん、運んでくれたの?ありがとね」
皆に腹の虫の音を聞かれて恥ずかしいのか、真っ赤になりつつ、ミンテにお礼を言って誤魔化している。
「相当、しごかれたらしいな?ちょうど良かった。手を洗って夕飯に…」
と言いかけたら、リョウがクリーンをかけて、立ち上がる。
「もう、お腹空き過ぎててダメ。早く食べようよ」
うーん、魔術、便利だね。
この世界に住人の俺たちより、馴染んでないか?
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