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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 43
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黒狼の刃の男性陣の気力がごっそり抜けてしまった様なので、修行は諦め、皆で夕食の準備をすることに…
リョウが「最後なのにぃ~」と、頬を膨らましていたが「神がいるのだから、そちらにお願いしろ」と、言われてしまっていた。
いや、だから、神達ってちゃんとした修行とか嫌いで、かなりヒドイことさせられるから…と、言いたかったのだが、おっさんとシスに止められた。
「そんなこと、ないわよね。モンディール」
「シスのいう通りだ。ちゃんと、その者に合った修行をさせとるぞ」
それを信じろと?
「信じる必要はない、事実なのだから」
「そうよ」
……
一応、基礎は教わったのだし、しばらく自主練で、それで、マクー大陸やゲトー大陸で道場にでも通わせればいいか。
「ホンに、お主は可愛くなくなったのう」
「本当に、誰のせいかしら…」
何か言っている二柱の事はほっといて俺も夕食の準備を手伝うことにする。
この集落は、入り口の門を入ると、右手に守衛室、左手にギルドの支所があり、その建物に並んで、寝床として貸し出してる長屋が二連ある。集落の中央には、復活した神木があり、奥にリョウ達が居た修練場、その横に小川があり、風呂場と洗濯場が設置されている。
そして、それぞれの長屋の中間、神木の近くに、石塀で囲まれた竈があり、そこで、煮炊きが自由に出来る。
大抵は個人や、パーティー単位で食事を作り、貸部屋で食べるのだが、黒狼の刃は、明日の朝ここを立つので、テーブルなんかを外に出す許可をとり、野外でお別れパーティーをすることにした。
俺は、仕込んでおいた雷鳥を取り出し一口大に切り、串に刺して、同じく、串焼きを作ったコクヨウさんの所に行き一緒に焼きはじめる。
コクヨウさんのは、ミンチにした何かの肉に、野草をいれ味付けまでしたものを串に付けながら形を整え焼いている。
「クン、嗅ぎ慣れない匂いだな。それは?」
「雷鳥の肉にディルをまぶし、レモングラスの葉で包んで置いたものです」
「ん?ディル?」
「ウィル族は、植物から名前を付けるので、食材と被る時があります…」
「ハハハ、そうなのか、で、そのディルは何か特長があるのか?」
「これをまぶすと、味付けの必要が殆どなくなりますよ」
「ん、確かに匂いが独特で、それだけでも食べれそうだな。何科の植物なのだ?」
「セリ科です。包んでいたレモングラスはイネ科です。食べられそうですか?」
「問題はないが…コハクは、無理かもな」
「え?コハクちゃん、セリ科ダメですか?」
「いや、ダメな訳じゃないが…」
そう言ってコクヨウさんが、見た先にコハクちゃんが居たのだが、鼻を押さえて涙ぐんでいる。
「あっ、この匂い…」
「あの娘は、匂いで好き嫌いがあり、エルフ族が好む薬草茶などは全く受け付けないのだ」
「知らなかったとはいえ、申し訳ない…」
俺は慌てて、風の精霊達に頼み、コハクちゃんには匂いが届かないようにしてもらった。
「…便利だなぁ」
それを見て、コクヨウさんが、呆れたように呟いていた。
美味しい物のために、冒険者になったというだけあって、黒狼の刃の人達は皆、料理上手だった。
特にミカゲさんの包丁捌きは、職人技で、クラリーちゃんや、ユキ達の野菜や肉を花の様に切り分けたり、リョウ達には、動物の形を模したりし、盛り付けも絵の様に美しく仕上げてくれた。
しかし、それを見て一番テンションが上がったのはシスだった。
「まぁ、凄い技を持っているじゃない。素晴らしいわ。その包丁もなかなかのモノね。烈震、鱗一枚あげなさい」
「ぎゃ!」
「嫌なの?」
「ぎゃぎゃ」
シスに言われて烈震が、鱗をミカゲさんに渡す。
「それで、更に良い包丁、作りなさいな」
「「「!」」」
…たまに、地上に降りると大盤振舞だ。
「今日だけで、今までの報酬以上の素材が手に入った様に感じるんだが…」
「俺もだ…」
「実際そうだろう。竜王の鱗なんて三代かけて信用してもらい、貰えるものだと聞いたぞ。それが、三日で手に入ってしまった…」
「神の毛髪にしたって、一本で一生分の稼ぎになるとか…」
「素材ではないが、神が直接創った魔獣の能力は計り知れないとか…まぁ、雪の女王は、神というわけではないが…同等の力を持つとされるしな…」
「「「はぁ…」」」
サイガさん達のそんな会話がきこえたきた。
そうなのか?じゃぁ、ココの能力って、初級の光属性の魔術だけじゃないのか?
『いや、ちゃんとレベルに合わせて成長するようになっておるぞ。今までは、家での生活の補助だけだったから余りレベルが上がっておらんだけで、因みに、ワシが創ったのだから、光だけではなく、火属性も持っておる。後方支援だけでなく十分戦えるぞ』
マジか…かなり凄いパーティーになったと思っていたが、更に認識を改めないといけないのか?
『まぁ…お主とリョウではれば、今の段階でも秘境以外だが、五大陸は平気だろう。まぁ、もう少し戦闘経験は必要だがな』
え?クラリーちゃんは?
『お前達について行けるように、あの鎧を作ったのだぞ?』
……え?
俺は、まぁ、それなりだろうと思ってはいた。しかし、リョウは、技能テストでもEランクだったし…クラリーちゃんは、Cだぞ。
『全く、養育者の強さも計れないとは…だから、ヒヨコというのだ。転異者の成長スピードは、こちらの者より早いのだぞ』
いや、だって、鑑定とか持ってないし、魔力量にしたって、強さに比例してる訳でもないだろ?
『確かにな…しかし、お主もまだまだ修行が必要のようだのう。リョウ達もおるし、何か、良い手を考えておこう』
あ、いや、普通に冒険者として、コツコツレベル上げするからいいよ。
『なぬ?』
そういうものだろ?まぁ、今の段階で、普通じゃない事もわかったし、これからは、余り手を貸さなくていいから。
『むー、ホンに、可愛くないのう…まぁ、良い。成人したのだしな。危険があれば、クラリーによって、分かるようになっておるし…見守る事にしよう』
そうしてくれるとありがたい。
リョウが「最後なのにぃ~」と、頬を膨らましていたが「神がいるのだから、そちらにお願いしろ」と、言われてしまっていた。
いや、だから、神達ってちゃんとした修行とか嫌いで、かなりヒドイことさせられるから…と、言いたかったのだが、おっさんとシスに止められた。
「そんなこと、ないわよね。モンディール」
「シスのいう通りだ。ちゃんと、その者に合った修行をさせとるぞ」
それを信じろと?
「信じる必要はない、事実なのだから」
「そうよ」
……
一応、基礎は教わったのだし、しばらく自主練で、それで、マクー大陸やゲトー大陸で道場にでも通わせればいいか。
「ホンに、お主は可愛くなくなったのう」
「本当に、誰のせいかしら…」
何か言っている二柱の事はほっといて俺も夕食の準備を手伝うことにする。
この集落は、入り口の門を入ると、右手に守衛室、左手にギルドの支所があり、その建物に並んで、寝床として貸し出してる長屋が二連ある。集落の中央には、復活した神木があり、奥にリョウ達が居た修練場、その横に小川があり、風呂場と洗濯場が設置されている。
そして、それぞれの長屋の中間、神木の近くに、石塀で囲まれた竈があり、そこで、煮炊きが自由に出来る。
大抵は個人や、パーティー単位で食事を作り、貸部屋で食べるのだが、黒狼の刃は、明日の朝ここを立つので、テーブルなんかを外に出す許可をとり、野外でお別れパーティーをすることにした。
俺は、仕込んでおいた雷鳥を取り出し一口大に切り、串に刺して、同じく、串焼きを作ったコクヨウさんの所に行き一緒に焼きはじめる。
コクヨウさんのは、ミンチにした何かの肉に、野草をいれ味付けまでしたものを串に付けながら形を整え焼いている。
「クン、嗅ぎ慣れない匂いだな。それは?」
「雷鳥の肉にディルをまぶし、レモングラスの葉で包んで置いたものです」
「ん?ディル?」
「ウィル族は、植物から名前を付けるので、食材と被る時があります…」
「ハハハ、そうなのか、で、そのディルは何か特長があるのか?」
「これをまぶすと、味付けの必要が殆どなくなりますよ」
「ん、確かに匂いが独特で、それだけでも食べれそうだな。何科の植物なのだ?」
「セリ科です。包んでいたレモングラスはイネ科です。食べられそうですか?」
「問題はないが…コハクは、無理かもな」
「え?コハクちゃん、セリ科ダメですか?」
「いや、ダメな訳じゃないが…」
そう言ってコクヨウさんが、見た先にコハクちゃんが居たのだが、鼻を押さえて涙ぐんでいる。
「あっ、この匂い…」
「あの娘は、匂いで好き嫌いがあり、エルフ族が好む薬草茶などは全く受け付けないのだ」
「知らなかったとはいえ、申し訳ない…」
俺は慌てて、風の精霊達に頼み、コハクちゃんには匂いが届かないようにしてもらった。
「…便利だなぁ」
それを見て、コクヨウさんが、呆れたように呟いていた。
美味しい物のために、冒険者になったというだけあって、黒狼の刃の人達は皆、料理上手だった。
特にミカゲさんの包丁捌きは、職人技で、クラリーちゃんや、ユキ達の野菜や肉を花の様に切り分けたり、リョウ達には、動物の形を模したりし、盛り付けも絵の様に美しく仕上げてくれた。
しかし、それを見て一番テンションが上がったのはシスだった。
「まぁ、凄い技を持っているじゃない。素晴らしいわ。その包丁もなかなかのモノね。烈震、鱗一枚あげなさい」
「ぎゃ!」
「嫌なの?」
「ぎゃぎゃ」
シスに言われて烈震が、鱗をミカゲさんに渡す。
「それで、更に良い包丁、作りなさいな」
「「「!」」」
…たまに、地上に降りると大盤振舞だ。
「今日だけで、今までの報酬以上の素材が手に入った様に感じるんだが…」
「俺もだ…」
「実際そうだろう。竜王の鱗なんて三代かけて信用してもらい、貰えるものだと聞いたぞ。それが、三日で手に入ってしまった…」
「神の毛髪にしたって、一本で一生分の稼ぎになるとか…」
「素材ではないが、神が直接創った魔獣の能力は計り知れないとか…まぁ、雪の女王は、神というわけではないが…同等の力を持つとされるしな…」
「「「はぁ…」」」
サイガさん達のそんな会話がきこえたきた。
そうなのか?じゃぁ、ココの能力って、初級の光属性の魔術だけじゃないのか?
『いや、ちゃんとレベルに合わせて成長するようになっておるぞ。今までは、家での生活の補助だけだったから余りレベルが上がっておらんだけで、因みに、ワシが創ったのだから、光だけではなく、火属性も持っておる。後方支援だけでなく十分戦えるぞ』
マジか…かなり凄いパーティーになったと思っていたが、更に認識を改めないといけないのか?
『まぁ…お主とリョウではれば、今の段階でも秘境以外だが、五大陸は平気だろう。まぁ、もう少し戦闘経験は必要だがな』
え?クラリーちゃんは?
『お前達について行けるように、あの鎧を作ったのだぞ?』
……え?
俺は、まぁ、それなりだろうと思ってはいた。しかし、リョウは、技能テストでもEランクだったし…クラリーちゃんは、Cだぞ。
『全く、養育者の強さも計れないとは…だから、ヒヨコというのだ。転異者の成長スピードは、こちらの者より早いのだぞ』
いや、だって、鑑定とか持ってないし、魔力量にしたって、強さに比例してる訳でもないだろ?
『確かにな…しかし、お主もまだまだ修行が必要のようだのう。リョウ達もおるし、何か、良い手を考えておこう』
あ、いや、普通に冒険者として、コツコツレベル上げするからいいよ。
『なぬ?』
そういうものだろ?まぁ、今の段階で、普通じゃない事もわかったし、これからは、余り手を貸さなくていいから。
『むー、ホンに、可愛くないのう…まぁ、良い。成人したのだしな。危険があれば、クラリーによって、分かるようになっておるし…見守る事にしよう』
そうしてくれるとありがたい。
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