異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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冒険の始まり

ハバー大陸一周の旅 49

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 頭に烈震と地竜の剣を乗せたまま、貸部屋に戻る。

「バレン、明日の朝、土砂崩れの規模を見たいから、乗せてくれるか?」

『お一人で回られますか?皆様も?』

「たぶん、皆だな。リョウ達も行きたがるだろう」

『畏まりました』

 後は…

「ミンテ、起きてるかい?」

『ハイなの、影の中だと平気なの』

「そうなのか?少し出てこれるか?」

『分かったの』

 影移動の時に見たような現象はなく、スーと、音もなく、俺の影からミンテが出てきた。
 が、でかすぎて天井に頭をぶつけてしまった。

 外に居るときに出してみれば良かった。

「ゴメン。ミンテ大丈夫か?」

『別に痛くないから大丈夫なの、でも、ちょっと、窮屈なの』

 だよな…

 五、六人のパーティー用の部屋を借りたから、玄関直ぐの大部屋は六坪程の広さがあるが、五メートル近い今のミンテが横たわると、かなり狭く感じる。
 耳もヘニョとして、尻尾も丸まってしまっているが、影に入ったばかりの時のような、不安定な魔力は感じられない。

「少し落ち着いたみたいだけど、どうだ?戻れそうか?」

『むー、よく分からないの、どうすればいいですか?』

 俺の問いに、クーンとうなだれ、頭の烈震に泣きそうな目で、ミンテが、訴える。

「くるる、ルーラルルー」

 烈震が俺の頭からミンテの頭に移り…

「目を閉じて、ゆっくりとした呼吸で、気持ちを落ち着かせる。だそうですよ」

「分かったの」

 ミンテが目を閉じ、呼吸を落ち着かせ始めると、烈震が、ゴニョゴニョと何かを言い始めた。すると、青白い光がミンテを包み、その光が徐々に小さくなる。

 五十センチ程の大きさになったところで、光はおさまり、烈震は、ふよふよと俺の頭の上に戻ってきた。

「ミンテ、大丈夫か?」

 床で延びてしまっていたミンテを抱き上げて、背中をさする。

『きゅー、疲れたの、眠いの』

「もうすぐ夕飯だけど、どうする?ちょっと寝てから、食べるか?」

『食べる!食べてから寝るの!』

 元気そうで、食欲もある良かった。

 しかし…

 ミンテの前足のつけねを持ち、少し身体から離してデローンと伸びたミンテを観てみる。

『どうしたですか?抱っこしてて欲しいです』

 体長五十センチ程、尻尾も同じくらい。

 五メートルの巨体がねぇ…

 ミンテを抱き直し、背中をポンポン叩く。大きいのも悪くはないが、たまには。こうして抱っこしたいから、身体の大きさを変えられるのは、ありがたいなぁと思った。

 確実に、ミンテも神の領域に入ってきてるよなぁ…俺達のパーティーは、どこに向かっているんだろうか…

「ディル様、どうしたッスか?浮かない顔して、他にも、心配事ッスか?」

「いや、なんか、ごくごく普通の、一般的な冒険者になるはずだったんだけど…何故か、その道を外れてる気がして…」

「今さらッスか?」

「え?」

「何、驚いてるンスか?生まれた時から、普通とか、一般から、かけ離れているお人が?」

 ……い、一番の新入りに言われるとは思わなかった。しかも、今まで、天上暮らしだった奴に、世間知らずの様に言われるとは…

『ディル?大丈夫ですか?』

 ショックで座り込んだ俺を、ミンテが心配し出す。

「大打撃だ…」

『え?え?何がです?ココ呼んで来ますか?』

「何、寝言をほざいとる?大打撃を受けたのはワシらじゃ」

 心配するミンテの声とは別の声に反応し、顔を上げれば…

「は?じいちゃん?後でって言ってたけど、降りてきたの?」

「ああ、お前の力の解放で予定が早まってしもうた」

「何の?」

「地殻変動じゃ、今、天上と空の住人総出で、地上人に余り被害が出ない様に、調整しておる」

「は?」

 規模が大きすぎて、頭がついていけないんですが?

「ど、土砂崩れだけじゃないのか?」

 じいちゃんは、大きく息を吐き出した。

「お前の力の余波で、大陸が南に少しズレた。さらに、モンディール山も噴火したし、マクー大陸でも、大地震が発生し、その影響でスーン大陸に大津波が押し寄せておる。気圧にも変化を及ぼし、ゲトー大陸では、集中豪雨、エンプ大陸では、雪の女王の力の抑制が出来ず寒波で大変な事になっておる」

「モンディール山が噴火?」

 俺は慌てて部屋を飛び出し、集落の門の上に飛び乗る。同じ大陸内とはいえ、夜間の上に、対角で距離があるから見えづらいが、微かに赤いものが見える。

『おっさん無事か?モン族の集落の人達は?』

『大丈夫だ。噴火口が海に向くように調整した。多少、火山灰は降ったが、結界も間に合ったので、皆無事だ』

『良かったぁー』

『だから安心して、ユピロー様の話を聞くのだぞ』

 門から降りると、リョウ達が料理を持ってこちらに歩いてくるところだった。

「あれ?ディル?休んでなくていいの?」


 



 

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