ダチュラの魔女

山﨑ヒカル

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 舞踏会が予想より長引き、魔力が切れようとしていた。魔力の源は太陽であり、暗闇では魔力を消耗するだけである。レイラは人がいなくなる時間まで隠れるだった。

「舞踏会で見かけない顔と思ったら……そのドレスはレイラ様ですか?」

 そう言って、ソフィアは口元を半月状にして微笑む。その笑みは、太陽の下でしか生きられない魔女を嘲笑っていた。

「傾国の美女であるレイラ様のお顔がブスとは知りませんでした!」

 レイラはソフィアに侮辱されても、何も言い返すことができない。なぜなら、レイラに自信がないからである。

「いや、傾国のブスとは言えますね! だって、魔女は国を滅ぼすっていう言い伝えがありますし。……なら、殺しても問題ないですよね?」

 ソフィアは護身用の小型ナイフを取り出す。

「そう言えば、魔女の血って青色でしたっけ……レイラ様の血もそうなんでしょう⁈」

 ソフィアは、細い腕で刃を斬りつける。レイラは護身術でソフィアの攻撃を避けた。

「お前が……お前が死ねば、私は地獄から抜け出せるんだ!」

 そこには、いつも上目遣いでか弱さを演じているソフィアはいない。代わりに、目が血走った、欲深い人間が立っていた。

 レイラはソフィアの攻撃を避けきる。レイラは慣れた手つきでソフィアのナイフを奪い、胸ぐらを掴んで首に刃を突きつける。

「離して、離してってば」

 ソフィアは宙に浮いた足で、レイラを蹴り続ける。

「不愉快でしょうがないわ」

「は、はぁ?」

「こう思った事はない? 月はクレーターで肌が荒れていても、見えづらくていいなって……私の醜さは隠せないのかしら?」

 レイラは、舞踏会の事もあり耐えきれなかった。頬をつたい、種が土に落ちる。この種が花を咲かせるなら、彼女の悩みはなかったことだろう。

「意味分からないことほざいてんじゃないわよ! 離せって言ってんの! 聞こえないの⁈」

「これは正当防衛よ。離して欲しかったら、約束を守って」

「守る! 守るから!」

「オリバー様にこのことを言わないで」

 レイラはソフィアから手を離し、その場から去る。レイラの姿が見えなくなるまで、ソフィアはレイラを睨み続けていた。

「……っ! 覚えてなさいよ!」
 

 

 

 

 


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