ダチュラの魔女

山﨑ヒカル

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 事件から数日後、ウォーカー宅に二人の女が集まっていた。

「君が魔女だというのは本当かい?」

 レイラは黙って、下を俯いている。その様子を意地悪そうに見ている女が一人。

「レイラ様が魔女だと知った時、びっくりしました! レイラ様もびっくりしたのか、私をナイフで刺そうとしましたよね? ぐすん、こわぁーーい」

 ソフィアは、オリバーの腕をここぞとばかりに抱きしめる。無論、その瞳に宿っているのはレイラへの復讐心である。

「あなたが最初に刃物を取り出したんでしょう⁈ 私は自分の身を守ったに過ぎません。しかも、約束を破るなんて……」

「ふえーーん、怒らないで下さい! 怖いですぅ」

「私は怒ってなどいません! 都合がいいように脚色しないで下さい!」

「はぁ……少し落ち着いて話をしてくれるかい? 令嬢方の声を荒げる様子は、見たくない」

 オリバーはそう言って、ティーカップを静かに置く。底に残った僅かな茶は、三日月を描いていた。オリバーは、ゆっくりと席から立つ。

「僕はまだ質問に答えてもらっていない。君がことを、から聞きたいんだ」
 
「そんなことはですよ! 速く、この女とは縁を切りましょう! そうしたら、私達で婚姻関係を結ぶことができます! そうだ……この女の処遇は、王様に決めてもらいましょう! きっと、業火の中で醜い悲鳴を叫びながら苦しむでしょう! その死体を飾って、結婚式を挙げたらきっと華やかでしょうね! だって、国を救った英雄の結婚式ですもの!!」

「ソフィア、君からはいつも甘い香りがするね」

「えっ⁈ オリバー様急に何を仰るんですか?」

 オリバーはソフィアを引き寄せる。オリバーは整った横顔をソフィアの耳元に近づけ、言葉を囁いだ。

「いい匂いがするのは……頭の中にあるお花畑のせいかい?」

 そう言い終わった後、オリバーはソフィアの腹部に剣を突き刺す。ソフィアが困惑する前に、剣は引き抜かれた。ソフィアは床に倒れ、腹部から大量の血が噴き出ている。時間が経てば多量出血で死に至るだろう。

「ここで立ち話するのは、君への失礼に当たる。部屋を変えようか?」

 レイラは呆然とし、ソフィアの冷えきっていく体を見つめることしかできなかった。





 
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