機人ヴォルフォリオスのぐうたらな日常

流星群

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第1話 見た目はカッチョイイロボだけど、のらりくらり

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 遥か遠い未来の地球には人間の姿はほぼ皆無であった。しかし、人間の心を持った機械生命体は存在している。
 それは機人。科学技術の進歩で、人間の心・頭脳をロボットの中へ移植する技術が完成し、紆余曲折あって普及。
 そして、それを享受しているのが、俺。ヴォルフォリオスだ。
 俺は見た目こそ、トランスフォーマーとか、そういったアニメに出てきそうなガンマン風ロボだが、心はれっきとした人間だ。え? 意味分かんないって? 俺は10歳まで人間だったワケ。法律上、物心や分別がしっかりつくまではまだ人間でいなくちゃいないんだ。
 でも、10歳の誕生日を迎えたら、好きなデザインの機人スーツをこの身に出来るワケだ。いきなり、身長180mの鋼鉄ボディになったワケだ。そして、6年経って今俺はヴォルフォリオスとして保安系の仕事をしながら、小計を立てているってこった。
 その証拠に。ハイ、ヒット。犯罪者ロボを追い掛け、自慢の早打ちで、相手の両足を撃破した。あとは回収隊員に任せて、のーんびりするとするか。

 ヴォルフォリオスは図書館へと向かった。
 ここでは古い歴史のデータファイルが有り、それを閲覧できる場所となっている。
 ヴォルフォリオスは図書館内コンピュータの空席に座って、これまでの歴史に目を通してみた。
 ――現在から、50年近く前。多くの企業や組織は高精度の機械に仕事を任せばいい状態で、数少ない若者たちは職を探すのが困難となっていた。だが、それでは人間が給与を得て、金を使って経済を回してくれなくなるので、困る。
 とはいえ、機械より便利な人材など中々見当たらない。
 そこで、先進国政府は人間の肉体のサイボーグ化を可決した。
 しかし、己の身体を機械へと移す事には思いの外、抵抗を示す人間は少なかった。
 なぜなら、あらゆる面で便利だからだ。
 まず、熱い・寒い・痛いなどを感じない。温度の上下などをセンサーは伽っ気こそするが。
 次に、衰えない。正確にはちょっとしたパーツ交換で、上位互換な存在へとグレードアップが可能となる。
 例えるなら、30歳になる前に、20歳の体へと戻し、その上当時20歳だった体よりも高性能な身体を得るようなもの。
 まぁ、本人さえ望めばいつでもグレードアップは可能だだが。
「データインプット完了。今日はこんぐらいでいいか」
 閲覧する=両目のカメラアイが画面上の情報を完全に保存した。
 ヴォルフォリオスは立ち上がり、図書館を後にする。
 そして、街中をぶらぶらと歩く。
 白瓶のビルが多いが、地球の自然保護における観点か、ある程度木々を残している街中をガチャガチャと音を立ててヴォルフォリオスはのらりくらりと歩く。
 街を見渡すとさまざまな機人が沢山いる。
 限りなく人間に近いヴィジュアルのタイプ。これは女性が中身であることが多い。
 人間の女性という造形美? がやはり捨てられないのだろう。
 他にも、動物顔やら、車と融合したようなのも。実にヴァリエーション豊富だなぁとヴォルフォリオスは感嘆した。
 しかし、動物はそのまま。大木の上部に取の巣があり、親鳥がひな鳥へ餌をやっている。
「おぉ、大発見。こいつは……」
 データ照合を開始。結果、イワツバメというツバメと瞬時に判明。
「おぅ。イワツバメだな」
 そこで新たな足音が轟く。
「おっは~、ヴォルフォリオス」
 フランクに声を掛けて来たのは龍+剣士デザインのドラブレイバー。同じく、戦闘型機人である。
「ドラブレイバーか」
「イワツバメの親子かぁ」
「あぁ。珍しいだろ?」
「確かに。俺っちたちは人間時代から親子という概念にいないからなぁ」
「精子・卵子の貯蔵庫からランダムに組み合わされて出来たのが元々の俺たち。人間時代は専用施設で育てられた。人間の親子などもはや過去の産物だからな」
「ヴォルフォリオス。お前っちは人間の親子ってのを体験してみたかった?」
 鋼鉄の顔面部を左右へ動かし、ヴォルフォリオスは否を示す。
「いいや。体験なんかしなくて良かったと思うぞ。過去のデータによると、親と言うのは選べないらしい。自分にとって良い環境ならまだしも、劣悪な環境を強いられるのは……ぞっとしないか?」
「へへ。だよなぁ。俺っちなんか、人間の時は同年代の奴らよりスンゲーチビだったじゃんか」
「俺もそんなに大きくはなかったけどな」
「あのままチビ人間として生きていくと考えたら俺っち、ゾッとするぜ。未来永劫コンプレックスにならぁ」
「俺はどうも筋肉に縁がない、貧相な少年だったからな。無力なもやし少年。そして、青年・中年と惨めになっていく未来だっただろう。それに、人間の姿のままだと、俺らなんかよりももっと悲惨な人もいたらろうな」
 ドラゴブレイバーは首肯する。
「不細工貧乏に生まれると洒落になんないアルティメット絶望ライフっしょ。マジで科学技術様に感謝だし」
「あぁ。さて、いつまでも立ち話もなんだ。カフェでオイルを飲みにでも行こうじゃないか」
「オッケー。ぐいっと一杯。イイねぇ~」
 こうして、2人の機人はカフェへと向かった。
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