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25.堕ちていく★
久しぶりにリリィと対面したシュトラールは、トラウからリリィが後宮に入る準備が整った事を聞いた。
整うまでが早すぎる事を訝しく思うと、結婚当初からルーチェが少しずつ準備をしていたことを明かされた。
うまく呑み込めず呆然とし、心臓は痛いくらい早鐘を打つ。思わず執務机に肘を突き頭を抱えた。
「ルーチェは私の気持ちなど信じていなかったのだな」
「信じていない、というのではなく、王太子妃として様々な想定のもと動いていただけかと思います」
「いつの間にかリリィを教育して王宮に入れていたじゃないか……そんなにも私の事が信じられないか……!!」
どん! と執務机を叩き再び頭を抱えた。
ハナから信用されていなかったこと、いくら愛を囁いても無駄だったこと、それをルーチェがどんな思いで聞いていたのか想像するだけで腸が煮えくり返る。
シュトラールとしてはルーチェを労り最大限に気遣い愛を伝えていたつもりだったが、ルーチェからすればいずれ心変わりすると思われていた屈辱。
これ以上何かをしても信用されないならお望み通りにしてやるという怒り。
だがそうすればルーチェは益々離れていくだろうという焦燥。
シュトラールの中にぐるぐるととぐろを巻いたように渦巻いては蝕んでいく。
「殿下、男爵令嬢は手を付けずに然るべき所に下賜すべきです。妃殿下にこれ以上失望されては殿下の為になりません」
「うるさい! ルーチェは側室や愛妾を入れろと言った。添い寝係がいても構わないとも。私の事はどうでもいいのだろう? 何をしてもルーチェが言ったのだから文句を言われる筋合いなどないだろう?」
子供のように駄々をこねる主にトラウは頭痛がした。
この幼稚な主は拗ねているだけだ。妻に愛されていないと思い八つ当たりしているんだ、と思っても溜息が溢れる。
「後宮に行く」
「殿下!」
「ルーチェがお膳立てしたんだ。もう知るものか」
制止するトラウを振り払い、シュトラールは後宮へ足向ける。だが思い止まらせようと侍従は扉の前に立ち塞がった。
「妃殿下は倒れられて眠っています。それでも後宮に行くのですか?」
「……眠っているならいいじゃないか。知らないままでいられるよ」
その言葉にトラウは呆然とし、力無く腕を下ろした。
邪魔する気配が無くなったとシュトラールは扉を開け、後宮の方へ向かおうとしたが幾分冷静にもなってきていた。しかし腹の虫は収まらず、くるりと方向を変えルーチェの部屋へと向かった。
一言文句でも言ってやろうかとも思って。
扉を叩こうとしたが少し開いていたのでそのままゆっくりと開く。
すると弱々しくもルーチェの声が聞こえたのでそのまま入ろうとしたが、内容を聞いて足が止まった。
「夢を見ていたわ。貴方がこうしてずっと手を握っていてくれたから私は不安が無くなっていったの。ありがとう、シアン」
その言葉にシュトラールはドクンと心臓が跳ねた。
シアンとはだれだ? ずっと手を握っていたとは? と。
見ればルーチェの手を握る男がいた。
ぽつりと聞こえた呟きによれば、男は今帰って来たばかりだと言う。
当たり前だ。ルーチェが眠っている間、ずっとそばにいて声をかけていたのはシュトラールだ。
一週間眠っていたルーチェを思い出し、早く目覚めてほしいと手を握り励まし続けていた。
それを他の男と間違えるなど、と侮辱されたと思ったシュトラールは、瞬時に怒りで沸騰しその場を離れた。
ずかずかと早足で向かった先は後宮だった。
「王太子殿下、ご機嫌麗しゅう」
「リリィはどこだ」
後宮管理人は笑顔のままリリィのいる部屋へ案内した。
扉を開けると憔悴したようなリリィがベッドの端に座っていた。
人が入って来た気配に顔を上げれば愛しの男。
「シュティ! ……あ、王太子殿下……」
「シュティでいい。リリィまで殿下と言わないでくれ」
己の内に燻る激情をぶつけるように、リリィに荒々しく口付ける。
何度も慣れ親しんだそれに、久しぶりだというのに難なく受け入れてくれたリリィに歓喜し、性急にリリィの服を脱がせにかかった。
「殿下、ダメです! 私は……ルーチェ様に……」
「ルーチェの名前は出すな! 黙って私を受け入れろ……!」
声を荒げたシュトラールに、ビクッと肩を跳ねさせた。こんなに機嫌の悪い彼を見たのは初めてで、リリィはすぐに抵抗を止めた。
深く口付け、服を脱がせながら胸を揉みしだき、顕になった乳首を指で乱暴に捻る。
後宮にいるからか脱がせやすい服ですぐに白い素肌が晒された。
乱暴にされても漏れ出る喘ぎ声が耳障りで片手を突っ込んで舐めさせた。
ルーチェの付けた教育と手入れで滑らかになり、以前と比べ少し引き締まった身体にシュトラールはすぐに劣情を浮かべる。
「待っていてくれたんだな。嬉しいよ」
己の為に健気に努力していたのだと思うと捨てたはずのものが沸々と湧いてくる。
瞳を潤ませ頬を赤らめる仕草もシュトラールを煽っていく。
あわいに手を添えると既に泥濘んでいて、わざと音を出すようにして指で解していく。
「リリィは濡れやすいんだな。……ルーチェとは大違いだ」
皮肉めいた言葉に抗議しようとした瞬間、激しく出し入れされ親指で淫芽をぐりぐりと押し潰されてリリィは呆気なく達してしまった。
はくはくと空気を求めて肩で息をしているうちにシュトラールは己の服を手早く脱ぎ、昂ぶりに手を添え一気に貫いた。
「や……ああっあ、ひや、あああああっ」
「……ハッ、きっつ。私以外を受け入れてなかったのか?」
ビクビクと痙攣しながらリリィは達してしまった己に信じられない気持ちでいた。
同時に涙が溢れてくる。
「泣くなリリィ。私はお前を愛してやるから」
「ああっ! はぁん! ひぃっぅっう、はぁっあっあああああっ」
慣れた身体は激しい抽挿に蜜を噴き出し歓喜に震える。
久しぶりだというのに素直に悦び心とは裏腹に求めてしまう。
これは恩を仇で返すような真似だ。
そう思っても快楽に弱いリリィは次第に気持ち良さに抗えなくなり、自分から腰を動かしてシュトラールを求めた。
「ハハッ、やっぱりリリィはいいな。最高だ。ルーチェなんかよりよほどいい」
「はあっああん! シュティ! イク! イッちゃう!」
「イケ! よがり狂って乱れろ! ……っ出る!」
一際強く奥に押し込めるようにして腰を打ち付けると、シュトラールはリリィの腹の中に精をぶちまけた。
一滴も溢さぬように、胸を揉みながらそのうねりを堪能する。
少しして息を整え、再び腰を動かし始めた。
「シュティ、私、まだイッて……」
「こんなもんで終わるわけないだろう?」
一度抜いて気怠げに息をするリリィをひっくり返し、シュトラールは白濁を押し込めるようにしてゆっくりと挿入する。
浅く小刻みにイイトコロを擦るようにすればリリィの中がざわざわと絡み付いて吸い付いてくる。
荒々しくしても自分勝手に好きに動いてもリリィは悦び付いてきてくれるという安心感で日頃溜まっていた鬱憤を晴らすように貪っていく。
リリィもシュトラールの怒りを感じてはいるが、愛する男に抱かれた歓喜、そして先日見せつけられたルーチェとの交わりを思えば半ばあてつけのようにシュトラールを求めた。
結局その日、ルーチェが目覚めても二人が後宮から出る事は無かった。
互いの離れていた間を埋めるように寝て起きては繋がり、貪り、互いの身体に痕を付け合った。
翌日になって、目覚めたはずのルーチェが何も言ってこないことに憤りを感じればいくらでも性欲が湧いてきてリリィにぶつけられた。
――ただ、性欲は満たされても、心は乾いていく一方で。
精が尽き果てる頃には、なぜ今自分が抱いているのはルーチェではないのだろうと思いながらシュトラールは溢れ出る精をリリィの中に放った。
薄れゆく意識の中、リリィはシュトラールが泣いているように感じて、「バカな人だ」と思いながら目を閉じた。
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