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Chapter.4 力の覚醒編
Episode.25 新たな一歩
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あれから何日が経ったのだろう、俺は胸の痛みのせいで食事を摂って寝るを繰り返していた。
フィオがいなくなってから最初に目覚めた時、食卓には彼女が用意してくれていた食事が置かれていた。
「…………」
俺は一人、誰もいない食卓を眺める。
屋敷内は以前の光景が嘘の様に静まり返っていた。
その静けさを振り払う様に俺は目の前の食事を食べ始める。
「何でかな、あんなにまずいまずい言ってたのに……」
それはフィオが毎日作っていた野草のスープだった。
「……うまい」
苦味があって嫌いだったはずなのに、今日のは美味しく感じられた。
「……っ」
その瞬間、今までの出来事が走馬灯の様に駆け巡る。
「……一人でなんてやっていけるかよ」
俺はそれに耐えきれず、自分の中にあった本音をぶちまけた。
「俺は二人がいたから頑張れたんだ、二人がいなきゃ何も出来ない」
口にすれば寂しさが増すだけ、そう理解していながらも俺は言わずにはいられなかった。
「……うぅ」
俺は抑えていた感情が爆発し、食卓で一人泣いた。
「あ゛ぁぁぁぁ」
人が見たら情けないと思うかもしれない、それでも関係なかった。
この知らない世界で唯一とも言える希望が失われたのだ、後の事を考えればここで吐き出しておかないと精神が保たない。
俺はその日、声が枯れるまで泣いて気絶する様に眠った。
その後は屋敷にある保存食などを食べ、飢えを凌ぐ生活が続いた。
……
…………
………………
……………………
数日後、聞き覚えのある声がして俺は目を覚ました。
「ロストー? フィオさんー? 賢者様ー? 誰か、いませんかー?」
それは盗賊団退治の時に出会ったロナだった。
「いっ、いる! いるから入ってきてくれっ!」
俺はまだ傷の痛みで上手く動けないので大声で自分がいる事を伝える。
「ロスト? 分かった、お邪魔します」
その俺の声が届き、ロナがゆっくりと此方にやって来るのが足音で分かった。
そして、自室の扉を開けて中を覗くと……
「ロストっ!? どうしたの、その包帯!?」
「やばい奴に襲われてな、こんな有様だよ」
俺の姿を見た途端、ロナは大慌てで駆け寄り声をかけてくれる。
俺はそんな彼女に今までの経緯と現在自分が置かれている状況を簡単に説明した。
「信じられない、フィオさんと賢者様が?」
「ああ、もう屋敷に戻る事はないらしい」
事情を説明するとロナは動揺していたが、暫く経つと冷静さを取り戻した。
「じゃあ、ここにはロストだけ?」
「そうだな、こんな広い屋敷に俺一人だ」
俺は少し自暴自棄になり、ロナにそう返答する。
「決めた」
ロナは暫く黙り込んでいたが、意を決した様にそう呟いた。
「?」
俺は彼女が何を言っているのか分からず、首を傾げる。
「ロスト、私達の町に来なよ」
それは一人で生きていかなければならない不安を抱えた俺にとって、救いとも呼べるものだった。
Episode.25 新たな一歩
一週間後、胸の痛みもだいぶ治まったのでロナの提案でウィンミルトンへ向かう事になった。
「ロスト、もういけそう?」
「ああ、問題ない」
俺はベッドから起き上がり、ロナと一緒に旅立つ準備を始める。
「ロナ、ありがとうな、一週間も看病してくれて」
あの後、ロナは町には帰らずに一週間付きっきりで看病してくれたのだ。
「ロストは町を救ってくれた恩人だからね、これくらい当然だよ」
「俺が救った訳じゃないけどな」
そう返すがロナが嬉しそうに笑っているので、それ以上野暮な事を言うのは止めておいた。
「荷物は私が全部持つからさ、ロストは後から付いて来て」
「分かった、ありがとう」
ロナは自分の荷物の他に斧や俺の衣類が入った麻袋を持ってくれ、二人で屋敷を出る。
旅立つ直前、俺はルドルフさん達と三人で過ごした屋敷を一人眺めていた。
この世界に来てから一年近く過ごした場所だ、それなりに愛着もある。
「今までお世話になりました」
家主は既にいないが、俺は頭を下げて感謝の言葉を口にした。
「ロスト、行くよー?」
「ああ」
ロナからその合図が出るまで、俺はずっと屋敷を眺め続けていた。
俺を生かしてくれたこの場所を忘れない様に……
「そういえば、ロナは何で屋敷に来たんだ?」
ウィンミルトンへ向かう道中、俺は気になっていた事をロナに尋ねてみた。
「あー、それはねぇ」
ロナは思い出した様に懐から何かを取り出して見せた。
それは青く輝く綺麗な石だった。
「別れる時に話したでしょ? 首飾りの石、新しいのが見つかったら届けるって」
そういえば、そんな話をしていた様な気がする。
ロナは手に持った石を俺の首飾りに付いた石と取り替えると納得した様に頷いた。
「結果的にだけどロストを助けられて良かったよ、これも大精霊の加護のおかげかな?」
「それだったら、俺も大精霊様に感謝しないとな」
互いに言葉を交わし、笑い合うと再びウィンミルトンへ向けて歩き出した。
森を抜ける時、二人で緊張しながら慎重に進んだが例の黒騎士は現れなかった。
「到着、ロストお疲れ様ー」
「ああ、ロナも荷物持ってくれてありがとうな」
前回より朝早く旅立ったのと一度歩いた道のりだった為か、日が沈む前にウィンミルトンに辿り着く事が出来た。
「別にこれくらい大した事ないよ、ロストこそ胸の痛みは大丈夫?」
「まだちょっと痛むけど、気にする程じゃない」
俺達は町の入口に辿り着くと荷物を置き、一旦休憩を入れる。
「トール、心配しなくてもロナは大丈夫だ」
「そんなの分からないだろ! 道中、瘴魔か盗賊に襲われてるかもしれないっ!」
すると、前方から何やら騒がしい声がしたので視線を向けるとエリックとトールが口論しながら此方にやって来るのが見えた。
「「あ」」
そして、俺とロナがいる事に気付くと二人して間抜けな声をあげた。
「ロナ、お前無事だったのか!?」
「ぶ、無事も何も危険な目になんか遭ってないって」
心配して駆け寄るトールに、ロナは若干引き気味で応対する。
「あれ、ロストくんも来てたのかい?」
「ああ、実は……」
横にいる俺に気付いたエリックがそう声をかけてくれ、今までの経緯を改めて三人に話して聞かせる事にした。
自分でもまだ整理がついていない屋敷での出来事を……
フィオがいなくなってから最初に目覚めた時、食卓には彼女が用意してくれていた食事が置かれていた。
「…………」
俺は一人、誰もいない食卓を眺める。
屋敷内は以前の光景が嘘の様に静まり返っていた。
その静けさを振り払う様に俺は目の前の食事を食べ始める。
「何でかな、あんなにまずいまずい言ってたのに……」
それはフィオが毎日作っていた野草のスープだった。
「……うまい」
苦味があって嫌いだったはずなのに、今日のは美味しく感じられた。
「……っ」
その瞬間、今までの出来事が走馬灯の様に駆け巡る。
「……一人でなんてやっていけるかよ」
俺はそれに耐えきれず、自分の中にあった本音をぶちまけた。
「俺は二人がいたから頑張れたんだ、二人がいなきゃ何も出来ない」
口にすれば寂しさが増すだけ、そう理解していながらも俺は言わずにはいられなかった。
「……うぅ」
俺は抑えていた感情が爆発し、食卓で一人泣いた。
「あ゛ぁぁぁぁ」
人が見たら情けないと思うかもしれない、それでも関係なかった。
この知らない世界で唯一とも言える希望が失われたのだ、後の事を考えればここで吐き出しておかないと精神が保たない。
俺はその日、声が枯れるまで泣いて気絶する様に眠った。
その後は屋敷にある保存食などを食べ、飢えを凌ぐ生活が続いた。
……
…………
………………
……………………
数日後、聞き覚えのある声がして俺は目を覚ました。
「ロストー? フィオさんー? 賢者様ー? 誰か、いませんかー?」
それは盗賊団退治の時に出会ったロナだった。
「いっ、いる! いるから入ってきてくれっ!」
俺はまだ傷の痛みで上手く動けないので大声で自分がいる事を伝える。
「ロスト? 分かった、お邪魔します」
その俺の声が届き、ロナがゆっくりと此方にやって来るのが足音で分かった。
そして、自室の扉を開けて中を覗くと……
「ロストっ!? どうしたの、その包帯!?」
「やばい奴に襲われてな、こんな有様だよ」
俺の姿を見た途端、ロナは大慌てで駆け寄り声をかけてくれる。
俺はそんな彼女に今までの経緯と現在自分が置かれている状況を簡単に説明した。
「信じられない、フィオさんと賢者様が?」
「ああ、もう屋敷に戻る事はないらしい」
事情を説明するとロナは動揺していたが、暫く経つと冷静さを取り戻した。
「じゃあ、ここにはロストだけ?」
「そうだな、こんな広い屋敷に俺一人だ」
俺は少し自暴自棄になり、ロナにそう返答する。
「決めた」
ロナは暫く黙り込んでいたが、意を決した様にそう呟いた。
「?」
俺は彼女が何を言っているのか分からず、首を傾げる。
「ロスト、私達の町に来なよ」
それは一人で生きていかなければならない不安を抱えた俺にとって、救いとも呼べるものだった。
Episode.25 新たな一歩
一週間後、胸の痛みもだいぶ治まったのでロナの提案でウィンミルトンへ向かう事になった。
「ロスト、もういけそう?」
「ああ、問題ない」
俺はベッドから起き上がり、ロナと一緒に旅立つ準備を始める。
「ロナ、ありがとうな、一週間も看病してくれて」
あの後、ロナは町には帰らずに一週間付きっきりで看病してくれたのだ。
「ロストは町を救ってくれた恩人だからね、これくらい当然だよ」
「俺が救った訳じゃないけどな」
そう返すがロナが嬉しそうに笑っているので、それ以上野暮な事を言うのは止めておいた。
「荷物は私が全部持つからさ、ロストは後から付いて来て」
「分かった、ありがとう」
ロナは自分の荷物の他に斧や俺の衣類が入った麻袋を持ってくれ、二人で屋敷を出る。
旅立つ直前、俺はルドルフさん達と三人で過ごした屋敷を一人眺めていた。
この世界に来てから一年近く過ごした場所だ、それなりに愛着もある。
「今までお世話になりました」
家主は既にいないが、俺は頭を下げて感謝の言葉を口にした。
「ロスト、行くよー?」
「ああ」
ロナからその合図が出るまで、俺はずっと屋敷を眺め続けていた。
俺を生かしてくれたこの場所を忘れない様に……
「そういえば、ロナは何で屋敷に来たんだ?」
ウィンミルトンへ向かう道中、俺は気になっていた事をロナに尋ねてみた。
「あー、それはねぇ」
ロナは思い出した様に懐から何かを取り出して見せた。
それは青く輝く綺麗な石だった。
「別れる時に話したでしょ? 首飾りの石、新しいのが見つかったら届けるって」
そういえば、そんな話をしていた様な気がする。
ロナは手に持った石を俺の首飾りに付いた石と取り替えると納得した様に頷いた。
「結果的にだけどロストを助けられて良かったよ、これも大精霊の加護のおかげかな?」
「それだったら、俺も大精霊様に感謝しないとな」
互いに言葉を交わし、笑い合うと再びウィンミルトンへ向けて歩き出した。
森を抜ける時、二人で緊張しながら慎重に進んだが例の黒騎士は現れなかった。
「到着、ロストお疲れ様ー」
「ああ、ロナも荷物持ってくれてありがとうな」
前回より朝早く旅立ったのと一度歩いた道のりだった為か、日が沈む前にウィンミルトンに辿り着く事が出来た。
「別にこれくらい大した事ないよ、ロストこそ胸の痛みは大丈夫?」
「まだちょっと痛むけど、気にする程じゃない」
俺達は町の入口に辿り着くと荷物を置き、一旦休憩を入れる。
「トール、心配しなくてもロナは大丈夫だ」
「そんなの分からないだろ! 道中、瘴魔か盗賊に襲われてるかもしれないっ!」
すると、前方から何やら騒がしい声がしたので視線を向けるとエリックとトールが口論しながら此方にやって来るのが見えた。
「「あ」」
そして、俺とロナがいる事に気付くと二人して間抜けな声をあげた。
「ロナ、お前無事だったのか!?」
「ぶ、無事も何も危険な目になんか遭ってないって」
心配して駆け寄るトールに、ロナは若干引き気味で応対する。
「あれ、ロストくんも来てたのかい?」
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横にいる俺に気付いたエリックがそう声をかけてくれ、今までの経緯を改めて三人に話して聞かせる事にした。
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