こぼれ落ちる砂

月見秋

文字の大きさ
上 下
2 / 3

砂のありか。

しおりを挟む
仕事。
それは楽しくもあり、憂鬱でもある。
私の手は人より小さい。
その分記憶の砂はするするとこぼれていく。
私は大事な仕事の砂を必死に握りしめながらかき集める。
けれどすべてが集まることはもうない。
こぼれた砂は風に乗ってどこかへ飛んでいく。
私はただそれを見つめることしかできない。
仕事仲間は手が小さいからという理由は知らずどんどん新たな砂を私にかけていく。
私の手はもう何も持てない。
どんどん砂が溢れていく。
なんとか手に残る砂を箱に分けようとするが、数が多過ぎて間に合わない。
一生懸命やってるうちにこぼした砂も含めて大きい手の仕事仲間がさっさと箱に分けていく。
私は厳しい目で私を見つめるその仕事仲間をただ黙って見つめるしかないのであった。
しおりを挟む

処理中です...