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第1章 追放と出会い
第9話 勇者様の底力
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魔物の咆哮が空気を裂く。
しかし、勇者様の声がそれを上回る勢いで響き渡る。
「アスターさん、好きだぁぁぁ!ずっと前から!!!」
私は思わず息を呑んだ。
困惑する私を他所に、自身を奮い立たせるかのようにそう言うと、一歩一歩重い足を前に進めて、魔物に接近する。
そして魔物の眼前に迫った時。
勇者様は大きく息を吐いて、剣を振りかぶる。
「アスターさんにガンバレって言われたんだ、死んでも頑張る。」
その言葉とともに魔物の懐に飛び込んで、容赦なく切りつける。
そのあまりの迫力に、私も、パーティーメンバーの方々でさえも息を飲む。
【グァァッ】
どす黒い体液を垂らす魔物は、雷のような悲鳴をあげる。
だが、勇者様は怯まない。ボロボロの身体ながら、力いっぱい剣を振るう。
まずは一振確実に魔物の急所を突き、跡形もなく散らす。
「俺はっ!」
剣を握る手に力を込めてもう一振。
今度は大きく振るったことで、一度に大量の奇形の魔物達を切りつけていく。
「早くお前らをぶっ倒して、」
今度は先程振るった方とは逆の方向に切り返し、さらに追加される魔物を払う。
「アスターさんに!」
私の名前を叫んで、チラリと振り返ってコチラに視線を向けウインクをする。
私の心臓はドキリと跳ねる。魔物を前にした緊張からなのか、勇者様の力に圧倒的されたからなのか、それとも、彼の戦場でのものとは思えない甘い言葉と仕草からなのか。
赤くなる私を見てか、勇者様は未だ窮地なのにも関わらず、クシャりとした無邪気な笑みを一瞬だけ見せる。
しかし、すぐに真剣な面持ちになり、魔物の方を見据える。
一度剣を最初の構えに戻して、意識を剣先に集中させて。
「真っ正面から告白するんだよ!」
集中から解き放たれた瞬間に出されたその声は、戦場の空気を震わせるほど真っ直ぐで。
それと同時に彼の持っていた大剣が眩く光る。
勇者様が一歩踏み込むと、その衝撃で地面が割れる。
「カッケー姿見せて告白すんだよ!!」
大剣が振り抜かれた瞬間。
見たことの無い閃光と、聞いた事のない轟音が私たちを包み込む。
幾分か経ち、やっと静まったと思ってゆっくりと目を開けた。
散々蔓延っていた魔物は跡形もなく消え去っていた。
「俺のアスターさん大好きパワー舐めんなよ。」
まっさらになった目の前の光景を横目に、勇者様はそう吐き捨てて、すぐ様私の方を見る。
私は、彼から目を背けることも出来ず、ただ呆然と見つめ返していた。
勇者様はふらりとこちらに歩み寄り、顔を真っ赤にしながら、言葉を探すように口を開く。
「ア、アスターさん。驚かせてしまって申し訳ない。改めて言わせてもらいたいんだけど……
お、俺、アスターさんのことがずっと……す……」
その瞬間、バタッという音ともに彼の膝が崩れた。
「勇者様!?」
私は慌てて駆け寄る。
彼の顔は青白く、意識が朦朧としている。
「アスターさんの幻が見える。これが走馬灯……幸、せ……」
勇者様が途切れ途切れの浅い息で、そんなことを口にする。
私は、ただ、彼の名前を呼ぶことしか出来ず、ここでもまた自分の無力さに絶望してしまう。
自分は涙なんて流せる存在ではないのに、自然と頬を伝う熱い雫。
そんな時、後方からマム様の冷静な声が届いた。
「当然よ、普通に根性論なんだから、これ。」
しかし、勇者様の声がそれを上回る勢いで響き渡る。
「アスターさん、好きだぁぁぁ!ずっと前から!!!」
私は思わず息を呑んだ。
困惑する私を他所に、自身を奮い立たせるかのようにそう言うと、一歩一歩重い足を前に進めて、魔物に接近する。
そして魔物の眼前に迫った時。
勇者様は大きく息を吐いて、剣を振りかぶる。
「アスターさんにガンバレって言われたんだ、死んでも頑張る。」
その言葉とともに魔物の懐に飛び込んで、容赦なく切りつける。
そのあまりの迫力に、私も、パーティーメンバーの方々でさえも息を飲む。
【グァァッ】
どす黒い体液を垂らす魔物は、雷のような悲鳴をあげる。
だが、勇者様は怯まない。ボロボロの身体ながら、力いっぱい剣を振るう。
まずは一振確実に魔物の急所を突き、跡形もなく散らす。
「俺はっ!」
剣を握る手に力を込めてもう一振。
今度は大きく振るったことで、一度に大量の奇形の魔物達を切りつけていく。
「早くお前らをぶっ倒して、」
今度は先程振るった方とは逆の方向に切り返し、さらに追加される魔物を払う。
「アスターさんに!」
私の名前を叫んで、チラリと振り返ってコチラに視線を向けウインクをする。
私の心臓はドキリと跳ねる。魔物を前にした緊張からなのか、勇者様の力に圧倒的されたからなのか、それとも、彼の戦場でのものとは思えない甘い言葉と仕草からなのか。
赤くなる私を見てか、勇者様は未だ窮地なのにも関わらず、クシャりとした無邪気な笑みを一瞬だけ見せる。
しかし、すぐに真剣な面持ちになり、魔物の方を見据える。
一度剣を最初の構えに戻して、意識を剣先に集中させて。
「真っ正面から告白するんだよ!」
集中から解き放たれた瞬間に出されたその声は、戦場の空気を震わせるほど真っ直ぐで。
それと同時に彼の持っていた大剣が眩く光る。
勇者様が一歩踏み込むと、その衝撃で地面が割れる。
「カッケー姿見せて告白すんだよ!!」
大剣が振り抜かれた瞬間。
見たことの無い閃光と、聞いた事のない轟音が私たちを包み込む。
幾分か経ち、やっと静まったと思ってゆっくりと目を開けた。
散々蔓延っていた魔物は跡形もなく消え去っていた。
「俺のアスターさん大好きパワー舐めんなよ。」
まっさらになった目の前の光景を横目に、勇者様はそう吐き捨てて、すぐ様私の方を見る。
私は、彼から目を背けることも出来ず、ただ呆然と見つめ返していた。
勇者様はふらりとこちらに歩み寄り、顔を真っ赤にしながら、言葉を探すように口を開く。
「ア、アスターさん。驚かせてしまって申し訳ない。改めて言わせてもらいたいんだけど……
お、俺、アスターさんのことがずっと……す……」
その瞬間、バタッという音ともに彼の膝が崩れた。
「勇者様!?」
私は慌てて駆け寄る。
彼の顔は青白く、意識が朦朧としている。
「アスターさんの幻が見える。これが走馬灯……幸、せ……」
勇者様が途切れ途切れの浅い息で、そんなことを口にする。
私は、ただ、彼の名前を呼ぶことしか出来ず、ここでもまた自分の無力さに絶望してしまう。
自分は涙なんて流せる存在ではないのに、自然と頬を伝う熱い雫。
そんな時、後方からマム様の冷静な声が届いた。
「当然よ、普通に根性論なんだから、これ。」
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