少女と卵と青春と

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第2部(完)

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少女はどうやら過去にたどり着いたようだ。
高校3年生の時である。
割愛するが、少女は懐かしさと若さ独特の楽しさ故にしばらくそれとなく生活した。
本題だが、少女には好きな男の子がいる。テニス部を所属していて、もうすぐ高校生最後の大会に出場する。

『どうすればいいんだろう』
少女はテニス部の練習風景を眺めながら、周りを見渡しながら考えていた。
ここは大きな公園である。ベンチもあり屋根がついている。またトイレもいくつか設置してある。
『あれ?テニスコートの近くにあんな建物あったっけ。あとあそこの自販機…』
低めだが2階建の建物があった。ドアも窓もない、いうならば壁だけである。周りの木々に溶け込みそうな青緑色一色で気付けば奇妙で不気味である。自販機はトイレの建物の横にある。
『これがあの人が言ってたやつかな。ここでは青春をいじっちゃいけないんだ』
少女はそんなに大事には捉えなかった。少女が知る限り恋敵がいないので焦る必要がなく、それとなく好きな人に告白すれば卵は孵化すると思っているからである。
『でも、どうやって告白しようかな。どうせなら最後の大会の後にしようかな。』
少女はあの時なんであんなに頑なに告白しなかったのか不思議なくらい楽観的に考えていた。
『ん?あ!〇〇ちゃーん!』
少女は近くに友達が通っていったのでこちらに呼んだ。
『なにしてたの?』
『なにもしてないよ!』友達は焦りながら答えた。
『ん?そうなんだー、テニス部のあの子かっこいいよね』
少女は他人事のようにそう言った。
『そうだね…』友達は俯いた。
『ん?ひょっとして好きなの?』少女は簡単に聞いた。
『うん…今から告白しようと思ってたところ』
『え…』少女は言葉が出なかった。あと恋敵がいることを知った。
2人の間にしばらく沈黙が流れた。
少女はその間、少年との約束を思い出していた。
(この場所はあの時とは偽りがあって、青春に影響させちゃだめな場所…。あと、友達の告白をやめさせたら罪になるし青春に影響させたことになる…)
少女はそう結論付けた。
しかし、少女は体と口が勝手に動いた。
『私が今からあの人に告白するの!』
少女は自分の頭の中とは違うことを言っていることに驚いた。
友達もたいそう驚いたようで目をくりくりさせていた。
『た、だめだよ!私が先に…!』
友達はそう言って抵抗したが、少女は被せて
『告白したもん勝ちでしょ、あと私の卵は4つもあるし』
『そ、そんな…私は5つある…』
『っ!!見せなさいよ!卵!ほんとに4つあるか確認するから!』
補足だが卵は想いが強ければ強いほど数が増える。つまりこの卵が青春の証であり卵を孵すのが青春の目的でもある。卵とは青春のことである。
プチッ、プチッ
卵が2つ潰れる音がした後、3つ卵が出てきた。
少女は卵を潰したことを知っていたが罵った。
『ほら3つじゃない、私の方が彼への想いが強いのよ』
友達はひたすら泣いている。
少女は心の中では悪びれていたが告白をしに体が動いた。
少女はなんなく好きな人に告白した。恋は実らなかったが卵は孵化した。卵からは元気な百足が産まれる。その百足が青春の悪い思い出を食べるのだ。
友達はその後告白し、見事恋は実ったようだ。
元気のない百足が産まれた。友達にとって青春に嫌な思い出はそれほど多くもなく元気な百足である必要がない。納得である。

少女はしばらく新しく後悔しながら白い象が迎えに来るのを待っていた。
しかし、それは一向に現れなかった。
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