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第1章
騒動の解決案 中編
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「あのバカエルフの奴どこ行ったんだよ」
腹も立ちつもる。
怒りはあったが同時に内心の不安感。
彼女が先に先生につかまってしまうと今後どうなるのかは想像ついてしまう。
この世界へ呼び出した責任感もあるから彼女が痛い目には合ってほしくはない気持ちだ。
「第1校舎棟に来てみたけど、それらしいのはいないし、目撃したっていう人もいなさそうだよな」
そもそも講義中のこの校舎に目撃者がいるはずもない。
よもや、生徒に紛れ込んで講義を行うなんてことをしている?
あながち魔法でも使えばできそうなものである。だけど、過敏になっているこの状況下でそうなってしまえば悪目立ちも起こりそうだ。
(そんな雰囲気は起こってるようには見えない)
廊下を歩き進んでいく。
「おい」
「げっ」
まずいことに鬼頭先生に見つかってしまった。
今は講義中なのにこのような場所で道草を食ってさぼっている場所など彼女のような真面目を絵に描いた鬼教師が許してくれるはずもない。
怒り心頭にこちらに近づいてきた。
「おまえ、保健室に行った後に授業にもどらずこんな場所で何をしているんだ?」
「いや、ちょっと真藤先生に頼まれごとで不審者の捜索を」
「不審者? そのような話は聞いて――」
その時、校内アナウンスのコールの音が入った。
『現在、講義中の教師、並びに学生にお伝えします』
そのような初めのあいさつ文から伝えられてしまう。
ついに最悪の事態へと発展した。
「おまえが言っていたのはこれか」
「えっと……」
「お前が探す必要はない。先生が探すからお前は……」
という促しを他所に――
「鬼頭先生、今の放送聞きましたか? 我々も急いで一度職員室に戻りましょう」
「あ、案内先生、そうですね、ただその前に今ここにいる生徒を……あ、駄城! 待て!」
急ぐように彼女の怒りの声から逃れるように走る。
廊下の角を曲がって何かに衝突した。
「いぎゃっ」
「いったぁ~、なんですか」
目の前には何も見えない。
だけど、声だけは聞こえた。
それも身近から。何よりもその声は聞き覚えを感じる。
「イリューナさん?」
「っ!」
「イリューナさん、そこにいるのか?」
「…………」
スっと伸ばした手がふよんと柔らかいものに触れた。それを鷲掴みにした。
「捕まえた!」
「いぎゃぁあああああああ!」
女性とも思えない劈くような悲鳴。
手に伝わる感触はなんだろう、この妙にもちもちした感触。手ではないことは確かだ――
「へ?」
自身の身体は考えをまとめ始めていた段階で天井から真っ逆さまに落とされた。
「ぐへっ」
後頭部から床に叩い落される。
日々雪日に殴られてるのが幸運にも体の頑丈さを発揮した。
後頭部から落ちたのに死なずに済んだようだ。
「くっそっ、今の明らかにイリューナさんだ。イリューナさんこれ以上学校を暴れまわるな! それ以上暴れたら取り返しがつかないことになるんだぞ!」
「私はまだまだ冒険がしたいのでーす!」
声の下方向はもう離れていた。
「くそっ! また逃げたのか。でも、どこから……ん?」
なんとなく、妙に変な感じのが見えた。
先ほどイリューナの何かふくよかなものを触った手からビリビリと走るかのような光の線が廊下の先を辿る様に見えた。
「これなんだ?」
それに従うように走ると空き教室の扉がひとりでに開いた。
「そういうことか」
急いで自分はその空き教室の中へと入った。
その空き教室がまさか自分の部室だとは思わずに――
腹も立ちつもる。
怒りはあったが同時に内心の不安感。
彼女が先に先生につかまってしまうと今後どうなるのかは想像ついてしまう。
この世界へ呼び出した責任感もあるから彼女が痛い目には合ってほしくはない気持ちだ。
「第1校舎棟に来てみたけど、それらしいのはいないし、目撃したっていう人もいなさそうだよな」
そもそも講義中のこの校舎に目撃者がいるはずもない。
よもや、生徒に紛れ込んで講義を行うなんてことをしている?
あながち魔法でも使えばできそうなものである。だけど、過敏になっているこの状況下でそうなってしまえば悪目立ちも起こりそうだ。
(そんな雰囲気は起こってるようには見えない)
廊下を歩き進んでいく。
「おい」
「げっ」
まずいことに鬼頭先生に見つかってしまった。
今は講義中なのにこのような場所で道草を食ってさぼっている場所など彼女のような真面目を絵に描いた鬼教師が許してくれるはずもない。
怒り心頭にこちらに近づいてきた。
「おまえ、保健室に行った後に授業にもどらずこんな場所で何をしているんだ?」
「いや、ちょっと真藤先生に頼まれごとで不審者の捜索を」
「不審者? そのような話は聞いて――」
その時、校内アナウンスのコールの音が入った。
『現在、講義中の教師、並びに学生にお伝えします』
そのような初めのあいさつ文から伝えられてしまう。
ついに最悪の事態へと発展した。
「おまえが言っていたのはこれか」
「えっと……」
「お前が探す必要はない。先生が探すからお前は……」
という促しを他所に――
「鬼頭先生、今の放送聞きましたか? 我々も急いで一度職員室に戻りましょう」
「あ、案内先生、そうですね、ただその前に今ここにいる生徒を……あ、駄城! 待て!」
急ぐように彼女の怒りの声から逃れるように走る。
廊下の角を曲がって何かに衝突した。
「いぎゃっ」
「いったぁ~、なんですか」
目の前には何も見えない。
だけど、声だけは聞こえた。
それも身近から。何よりもその声は聞き覚えを感じる。
「イリューナさん?」
「っ!」
「イリューナさん、そこにいるのか?」
「…………」
スっと伸ばした手がふよんと柔らかいものに触れた。それを鷲掴みにした。
「捕まえた!」
「いぎゃぁあああああああ!」
女性とも思えない劈くような悲鳴。
手に伝わる感触はなんだろう、この妙にもちもちした感触。手ではないことは確かだ――
「へ?」
自身の身体は考えをまとめ始めていた段階で天井から真っ逆さまに落とされた。
「ぐへっ」
後頭部から床に叩い落される。
日々雪日に殴られてるのが幸運にも体の頑丈さを発揮した。
後頭部から落ちたのに死なずに済んだようだ。
「くっそっ、今の明らかにイリューナさんだ。イリューナさんこれ以上学校を暴れまわるな! それ以上暴れたら取り返しがつかないことになるんだぞ!」
「私はまだまだ冒険がしたいのでーす!」
声の下方向はもう離れていた。
「くそっ! また逃げたのか。でも、どこから……ん?」
なんとなく、妙に変な感じのが見えた。
先ほどイリューナの何かふくよかなものを触った手からビリビリと走るかのような光の線が廊下の先を辿る様に見えた。
「これなんだ?」
それに従うように走ると空き教室の扉がひとりでに開いた。
「そういうことか」
急いで自分はその空き教室の中へと入った。
その空き教室がまさか自分の部室だとは思わずに――
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