逆召喚したらエルフ本当に呼び出せちゃったよｗｗｗｗｗ

第１章

騒動の解決案 前編

　雄馬たちは先輩たちの目撃証言を元に体育館を目指した時に、不穏な空気を感じ取った。
「やけに騒がしくない？」
「ああ、そうだな」
　突然に、体育館の扉は開かれて教師が数人出てくる。
　そのうち数人の教師は額からを血を流し、さらに数人の生徒が肩に担がれて運び込まれてきたのだ。
「え」
「おい、お前らちょうどいい。手を貸してくれ」
「な、何があったんですか？」
「不審者だ。コスプレをした変な女が暴れてな。早く警察に連絡しないとまずい。さっき第2校舎側に向かっていくのを見たんだが……」
　怪我をしている教師は非常に疲れ切った顔でまるで自分が見たことが幻影でも見たかのような戸惑い方をしていた。
「先生？」
「と、とにかくだ手伝ってくれ」
　雪日の質問に対して何も答えず、数学の教師で堅物で知られている真藤先生の強引な押しに負けて雪日は女子生徒を肩に担いだ。雄馬も重傷の男性教師を肩に担ぐ。
「重い……」
「人一人分くらい何重いって言ってるのよ」
「お前みたいに俺はゴリラじゃないんでな」
「誰がゴリラよ。あとで絞めるから」
「へいへい……にしてもこれって……まさかと思うがアイツの仕業って思いたくないんだが……」
「……雄馬、まずは先生や先輩たちを保健室に運びましょう。イリューナさんを探すのはその後がよさそうかもしれないわ」
「そうだな……だけど、これは俺のせいみたいなもんだよな……くそっ」
「何であんたのせいっすか？」
　突然に聞こえるはずもないと思っていた声が聞こえて顔を上げて前を向いた。
「明菜……」
「げっ、倉本」
「げっ、とはなんすか？　ダメユウに「ゲッ」とか言われる筋合いはないっすよ」
「普段俺に対して行ってる言動の数々を言っての言葉だったならその神経を疑うぞ」
「……それで、どうしたんすか、この状況？」
　さらりと流しながら雪日のサポートに入る倉本。
　後ろ目に奥の体育館から担架で重傷な先輩たちを運び出していく教師や無傷な先輩たちの姿を見て険悪な顔を見せた。
「よもや、この騒動例のあなた方の知り合いが行った悲劇だったら看過できないっすよ」
　後に倉本は厳しい言葉で続けた。
　さすがにそうなるとわかりきっていた。
　雄馬は頭を深く下げる。
「すまん。確かにこれはもう見過ごせとかは言えないのもわかってる。でも、彼女も決して悪気があったわけではないと思うんだ。だから、まずは彼女の身柄は俺らが絶対拘束する。そのあとは絶対に学校のみんなには謝らせるし警察へ行けというなら警察にだって連れていく」
「雄馬！？　イリューナさんは……っ」
「雪日、これはもう大事なんだ。今更、警察に連れてかないとかはできない……。傷害事件が起こってるんだ」
「でも……」
　雄馬自身にも苦渋の決意でもある言動。
　ここまで来てしまえばもうその方法以外になかった。
　彼女がもしも警察に連れてけば人体実験とか軍人に連れて枯れて解剖とかだって想像できてしまう。
　最悪、自分でさえ呼びだした本人だからその流れになる可能性もある。
「はぁー、訳ありなのは当初から気付いていたことっすけど……ユッキーが妙にかばうなら大目に見てどうにかこっちででっち上げとかできないことはないっすよ」
「え……でっちあげってどういうこと明菜」
「ユッキーはウチがどういう家柄だったかもう忘れたっすか？」
　その言葉を聞いて雄馬は思い出す。
「そうだ、倉本の家ってこの町の有数の資産家で政治家の……」
「明菜っ！」
　倉本に力強く抱き着いた雪日。
　顔を真っ赤にして倉本は雪日の抱擁に打ち震えていた。
「まぁ、大切な親友の困りごとっすから……」
「大切な親友じゃなくって大好きな親友じゃねぇの」
　適切なツッコミをいれたが彼女を怒らせ、強い拳の一撃を腹に受ける。
「てめぇ、人を肩に担ぎながらなんて器用な拳を……」
「ほらっ、ダメユウは力が弱いんだからそのどうしようもない知人を探してきたらどうっすか？　ユッキーは私とこの急病人たちを運ぶっすよ」
「くっそ、力弱いって貶されてるがぐうの音もでねぇ」
　実際、武道で鍛えている彼女たちに比べて自分がとんでもない非力なのは認めようもない事実であった。
　なので、その場は倉本の指示に従って雄馬は足を動かす。
「すまん、恩に着る」
「雄馬、あとで私も行くから！」
「ああ！　急いで見つける！」
　雄馬はイリューナを探すために走り出した。
　その背中を見送りながら倉本と雪日は保健室に行く。
「さて、私もあらゆるところへと電話するっす。ユッキー、その人物の詳細とか教えてくださると助かるっすけど大丈夫っすか？」
「ええ、でもどうして？」
「変わり身を用意するのに必要っすからね」