世界の破壊と終わりの先でさようなら

ryuu

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プロローグ

プロローグ1

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「ふぅー」

 目の前には散乱した肉片が赤い海底という血の中にごろごろと転がっていた。ひどく臭く、腐臭が周辺に漂う。
 もともと酒場というのもあってアルコールの臭さと腐臭という臭いが合成されもはや強烈な科学兵器とも呼ばれる存在にその区域はなっていた。

 だが、その光景をこの俺、運勢優駄うんせいゆうたは平然と観察する。

 周囲に散った肉片と壁に貼りついた臓物を見て考えた。

 殺し方、動機、侵入経路。

 現場の状況を念入りに観察を続ける。

 カウンターの裏に落ちていた何かの破片を拾うとソレをパックに入れて懐へとしまう。

 ほかにないかと観察を続けると――

 邪魔な存在が阻害するように足音を立て入ってくる。

「おい、ここは警察の管轄だ、運勢」

「あぁー、これはこれは警察庁の一条刑事おっつでーす」

「……」

 黒いスーツの切れ長の目をした30過ぎの男。明らかに俺よりも年齢は上であるにもかかわらず容赦もなくへらへらした態度で接した。

 そのまま、現場は警察組織、国の治安を守る組織へと任せて現場の居酒屋を出る。

 相も変わらず濃い霧が国を覆うようにして立ち浮かんでいる。

「おい、運勢」

 後ろから一条進いちじょうすすむ刑事は声を掛けてきた。

「なんすか?」

「お前、現場を荒らしていないだろうな?」

「あはは、ただ観察していただけですよ」


「…………観察していただけにしてはずいぶん前から現場にいたようだが? 貴様が現場の第一発見者なのを確認済みだ」

「あー、たまたまあの行きつけのバーで飲もうとしていたら偶然にも出くわしただけですよ、こっちだってこんな面倒事は嫌いですよ」

「偶然に面倒と来たか……、ふっ。貴様のような民間崩れらしい発言だ」

「馬鹿にしてくれて結構」

 踵を返してそのまま立ち去ろうとした俺の肩を強引に一条刑事は掴んでくる。

「まだ何かあるんすかぁー?」

「貴様がやったんじゃないだろうな?」

「はぁ? 冗談はよしてくださいよ。なんで、そんなこと」

「あのバーではよくない噂もあった。よもや、教団事件と絡んでいたことがわかって腹を立て殺害したというのも考えられる」

「そんな推理をして警視庁のエリート刑事はマジでその推察を信じてるんですか?」

「冗談に決まっている」

 わかりづらい冗談とも思えないマジな顔をしていた。

 続けるように一条刑事はこちらを見ると口を開いた。

「教団事件は捜査はしていないよな?」

「………あのバーではただ飲みに来ただけですよ。ちゃんとそちらさんに連絡したでしょう。俺はこれで帰らせていただきます」

 一条刑事の手を振り払い、その場を走っていく。

 夜闇の霧に紛れる中で一条刑事の俺の名前を呼ぶ怒声だけが聞こえた。
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