世界の破壊と終わりの先でさようなら

ryuu

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プロローグ

プロローグ６

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　悲鳴の行く手はフードの二人組が逃げていった方向。
　監視塔より先は第5区画に繋がる道。
　区画境界ラインがある。
　その場所はフェンスで敷居があり簡単には先に進めないはずであり、どこかで立ち止まりを食らっていると想定で来た。
　その想定は予想通りだった。
　一人の女の子が5区画の入り口に入れず立ち止まりを食らい、対立したように立つ男の存在もうかがえた。
　褐色の肌に小さな躰に目立つような銀髪。
　また別の襲撃者があの二人組を襲いかかっているのか。　
（二人組の一人はやっぱり女の子か。しかし、もう一人は？）
　二人で行動していたと思われる女性の相方の存在が見当たらない。
　彼女は追い詰められて肩を抑えながら後退している状況対処を優先するべきと判断し行動をする。
　胸元に忍ばせた拳銃に手を触れる。
　襲撃者が女性へととびかかかる。
　民間警備会社の人間としては非武装の市民に襲いかかろうとしている危険な市民の武力行使はやむ得ない状況と判断し――

「ったく、めんどうくせぇー」

　毒づきながらも拳銃を取り出して引き金を引いた。
　銃弾は襲撃者の足を撃ち抜く。
　襲撃者の足を撃ち抜くと飛んだ最中にド派手に転倒する。

「おい！　そこのお前こっちへ来い！」

　女性へと呼び掛け、彼女がこちらに向かい駆け込んでくる。
　男もまた彼女を後ろから追いかけてきた。
　拳銃で応戦し、彼の追跡を阻害する。

「くそぉ！　ムガク手伝え！　　ちっ！　あのバカ応答しねぇ！」

　どうやら彼が俺の手で重傷を負っているのをまだ認知していないのか。
　相手はチームワークに乏しい存在だと読めた。
　ともするならば、今のうちに彼女を連れて警察機関に応援を頼むのが無難であると考える。
　携帯にタイミングよくブザーが鳴った。

「もしもし！」
『あ、ようやくつながったです。あの、何度電話かけたと思ってるんですか！』
「珠代か！　今すぐこっちに応援をよこせ！　例のバーの事件の犯人と思われる奴に追われてる！　要救助者もいるから至急！」
『はぁ！？　なんですかそれ！　って、今どこなんですか？！』

　返事に応えようとしたときに追跡者から放たれた電流が勢いよく周囲の街灯の照明機材を粉砕し、俺の携帯までも壊す。
　まさに高圧力電攻撃というやつだ。
　
「おいおい、やってくれるじゃねぇの！」

　手が痺れて携帯の破損によって頭皮に外傷を被った。
　救助者の彼女に怪我一つなかったのが救いではあろう。
　結果として足を止めることになった。

「その女を渡しな！」
「渡したら見逃してくれんのか？」
「ぎひっ！　どう思う？」

　不気味な冷ややかな笑い。
　絶対にありえない。
　そう語っていようかというほどに。

「おい、お前何をしたってんだ？　それにお仲間はどうした？」
「ネルソンは……私をかばって……」

　口ぶりから大体の事情を察して頭を抱えるほどの状況だと思い知らされた。
　殺人罪を侵した犯罪者と対面しているわけなのだ。

「ったく、だっりぃーしめんどうだなぁ。どうにかしないと逃げれねぇわけだ」

　助けが来てくれる保証は十分に低い。
　ならば、ここで対抗できうるだけの手段を講じるしかないという状況判断を見出す。

（さっき能力を一時的に使って疲労状態がまだ残ってる。もう一度使えば危険だろうなぁ）

　懐に忍ばせてるタブレットケースを取り出して中に入った錠剤を口に入れてかみ砕く。

「なぁ、あんた」
「はい？」
「何があったんだか知らないけどしっかりと事情説明をあとでしてもらうからな。それとすぐそこで身を隠してろ！」

　左手から冷気を放出させて氷柱を襲撃者の男に向けてはなった。

「っ！　魔法士か！」

　放たれた氷柱を襲撃者は雷撃で粉砕する。
　それは想定されている通りだった。
　氷柱の中には隠された能力がもう一つあった。
　砕かれた氷柱が閃光を放った途端に爆発を引き起こした。
　襲撃者の男が火だるまの中に包まれてもがき苦しみだす。

「未だ、逃げるぞ！」

　俺は女の手を引いてダッシュで駆け出した。

「貴様らぁああ逃がすかぁああ！」

　

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