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第1章 警察殺しの切裂き魔
新たな仕事
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0区に存在する仕事先の事務所『鴉』の扉を乱雑に開けて俺は入社をした。
煤と包帯まみれの俺を見て桃月珠代が「プスッ」と吹きだす笑い。
俺は彼女を睨み、社長デスクに座る幼馴染を見下ろしながらその机に音を立てるように手をついた。
「俺の家がなくなったぞ! どうしてくれんだ!」
「遅刻するからでしょ」
「ふざっ、ふざけんな!」
彼女の胸ぐらをつかみにかかろうとしたけれど俺の手は掴む前に氷漬けにされていた。
それは彼女の保有する能力による効果。
なによりも、彼女に逆らえないという証明。
「ユウ、私に逆らうとはいい度胸ね」
「ぐっ……今日から俺はどう生活すればいいのかわかってるのか? ホームレス生活だぞ」
「その辺は大丈夫。手は打ってあるの」
「どんな?」
「その前にユウタ、あなたに新しい仕事」
「仕事よりもどうすればいいのかをだな……」
「入って頂戴、リリシアさん」
「おい、聞けよ!」
人の話を全く聞かずマイペースさを崩さない幼馴染社長は別室に待機していたと思われる誰かに呼びかけた。
この鴉の本部所の隣室でもある隣の扉が開き、一人の少女が入室してくる。
「おまえ……」
その少女の姿を見て俺は思わず驚いてしまった。
なにせ、その少女は昨日助けたあのフードの女。
長い金髪、猫のようなつぶらな瞳をした黄金の目、小ぶりな鼻と口、モデルを超えるかのようなスタイルと美貌。
町で歩いているだけでその美を独り占めしてしまったかのような存在。
昨日にフードで隠されていた顔をはっきりとみたのは今回が初めてだ。
息をのむほどに綺麗な彼女が口を開く。
「昨日は助けていただきありがとうございました駄城様。ワタクシはアリルテッド皇国第3皇女リリシア・リン・アリルテッドと申します」
「…………ちょっと待てよ、皇女様だって?」
なんだかマズイことに巻き込まれそうな予感に頭を抱える。
昨日助けた時からなんとなくただ者じゃないとは思いこんではいたけれども皇女様とは……。
「そう。彼女、アリルテッド皇国の皇女様よ。大物を救ったようでさすがねユウ。警察からすさまじい数の情報をよこせという嘆願書が来ているわ」
「はぁー」
大仰なため息がこぼれた。
アリルテッド皇国は世界で使われる武器製造や魔道機器などの文明を製造してきた国。
君主制度を採用してきた一騎当千の国でもある。
俺の持つ乏しい知識だと国の内情はこのくらいしか知らない。
「アリルテッドの皇女様がどうして昨晩狙われていたんだよ? 狙われるなんかがあったのか?」
「それは我が国で大きなクーデターが起きたからです」
「あ? なんでクーデターなんか?」
「理由はわかりませんが内部では今の王家に不満を抱いていたものが多かったのです。その王家に不満を抱いていたモノの中で父の神官を務めていたものが反逆の徒を築き上げてクーデターを起こしました……」
「マジかよ……。じゃあ、昨日のはその手先ってわけか?」
「はい」
九条アリスの様子を見ると彼女も大まかに説明を聞いていたようで頷く。
「警察には話はしてあるのかアリス?」
「警察にあなたが保護を任せたようだけど、彼女は何も口を割らなかったようでね。あなた以外に話す気はないということを言ったそうなの。だから、私が昨日警察署に出向いて彼女を引き取る手続きにどれだけ手間を要したかわかる? ねぇ、わかる? うふふ」
「それはご迷惑をおかけいたしました」
「まぁ、私が彼の上司だって話をした後にもだいぶ時間を要したけど自らの素性とクーデターの件は話してくれたわ。それで、ユウタには今後のことで少し決まったことがあるの」
すっごくいやらしい笑みを浮かべる彼女に背筋が凍りつくようなぞわぞわとした感覚が走る。、
「しばらく彼女のボディーガードをしなさい」
「はあ!?」
「あ、あと彼女の素性を隠すために彼女は名目上はあなたの相棒としているわ。警察にも私の部下って話をすれば何かと都合がいいのよ」
「おい! 最後のがホンネだろう! って、まさかさっきの新しい仕事ってこれのことか!?」
「そう。それと、家の件だけど彼女と同じ警察社寮に寝泊まりでよろしく」
「ハメラレタ! そういうわけかよ! 家を爆破しても問題ないのはうまくこの展開に持ち込むためか! 」
「これくらい都合がいいことを受け入れなさい。そうじゃないとあなたが壊した第2区の弁償費用を給料から差っ引くけどいい?」
「くそぉ……」
がっくりとうなだれた俺の傍で爆笑する珠代。
困り顔のリリシアを見る。
「まぁ、最初の任務ってわけじゃないけど彼女に町でも案内してあげてきなさいよ」
とんでもない大変な一日が始まりそうな予感がするぞこれ……・
煤と包帯まみれの俺を見て桃月珠代が「プスッ」と吹きだす笑い。
俺は彼女を睨み、社長デスクに座る幼馴染を見下ろしながらその机に音を立てるように手をついた。
「俺の家がなくなったぞ! どうしてくれんだ!」
「遅刻するからでしょ」
「ふざっ、ふざけんな!」
彼女の胸ぐらをつかみにかかろうとしたけれど俺の手は掴む前に氷漬けにされていた。
それは彼女の保有する能力による効果。
なによりも、彼女に逆らえないという証明。
「ユウ、私に逆らうとはいい度胸ね」
「ぐっ……今日から俺はどう生活すればいいのかわかってるのか? ホームレス生活だぞ」
「その辺は大丈夫。手は打ってあるの」
「どんな?」
「その前にユウタ、あなたに新しい仕事」
「仕事よりもどうすればいいのかをだな……」
「入って頂戴、リリシアさん」
「おい、聞けよ!」
人の話を全く聞かずマイペースさを崩さない幼馴染社長は別室に待機していたと思われる誰かに呼びかけた。
この鴉の本部所の隣室でもある隣の扉が開き、一人の少女が入室してくる。
「おまえ……」
その少女の姿を見て俺は思わず驚いてしまった。
なにせ、その少女は昨日助けたあのフードの女。
長い金髪、猫のようなつぶらな瞳をした黄金の目、小ぶりな鼻と口、モデルを超えるかのようなスタイルと美貌。
町で歩いているだけでその美を独り占めしてしまったかのような存在。
昨日にフードで隠されていた顔をはっきりとみたのは今回が初めてだ。
息をのむほどに綺麗な彼女が口を開く。
「昨日は助けていただきありがとうございました駄城様。ワタクシはアリルテッド皇国第3皇女リリシア・リン・アリルテッドと申します」
「…………ちょっと待てよ、皇女様だって?」
なんだかマズイことに巻き込まれそうな予感に頭を抱える。
昨日助けた時からなんとなくただ者じゃないとは思いこんではいたけれども皇女様とは……。
「そう。彼女、アリルテッド皇国の皇女様よ。大物を救ったようでさすがねユウ。警察からすさまじい数の情報をよこせという嘆願書が来ているわ」
「はぁー」
大仰なため息がこぼれた。
アリルテッド皇国は世界で使われる武器製造や魔道機器などの文明を製造してきた国。
君主制度を採用してきた一騎当千の国でもある。
俺の持つ乏しい知識だと国の内情はこのくらいしか知らない。
「アリルテッドの皇女様がどうして昨晩狙われていたんだよ? 狙われるなんかがあったのか?」
「それは我が国で大きなクーデターが起きたからです」
「あ? なんでクーデターなんか?」
「理由はわかりませんが内部では今の王家に不満を抱いていたものが多かったのです。その王家に不満を抱いていたモノの中で父の神官を務めていたものが反逆の徒を築き上げてクーデターを起こしました……」
「マジかよ……。じゃあ、昨日のはその手先ってわけか?」
「はい」
九条アリスの様子を見ると彼女も大まかに説明を聞いていたようで頷く。
「警察には話はしてあるのかアリス?」
「警察にあなたが保護を任せたようだけど、彼女は何も口を割らなかったようでね。あなた以外に話す気はないということを言ったそうなの。だから、私が昨日警察署に出向いて彼女を引き取る手続きにどれだけ手間を要したかわかる? ねぇ、わかる? うふふ」
「それはご迷惑をおかけいたしました」
「まぁ、私が彼の上司だって話をした後にもだいぶ時間を要したけど自らの素性とクーデターの件は話してくれたわ。それで、ユウタには今後のことで少し決まったことがあるの」
すっごくいやらしい笑みを浮かべる彼女に背筋が凍りつくようなぞわぞわとした感覚が走る。、
「しばらく彼女のボディーガードをしなさい」
「はあ!?」
「あ、あと彼女の素性を隠すために彼女は名目上はあなたの相棒としているわ。警察にも私の部下って話をすれば何かと都合がいいのよ」
「おい! 最後のがホンネだろう! って、まさかさっきの新しい仕事ってこれのことか!?」
「そう。それと、家の件だけど彼女と同じ警察社寮に寝泊まりでよろしく」
「ハメラレタ! そういうわけかよ! 家を爆破しても問題ないのはうまくこの展開に持ち込むためか! 」
「これくらい都合がいいことを受け入れなさい。そうじゃないとあなたが壊した第2区の弁償費用を給料から差っ引くけどいい?」
「くそぉ……」
がっくりとうなだれた俺の傍で爆笑する珠代。
困り顔のリリシアを見る。
「まぁ、最初の任務ってわけじゃないけど彼女に町でも案内してあげてきなさいよ」
とんでもない大変な一日が始まりそうな予感がするぞこれ……・
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