ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

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第2章 最初の開拓

霧山の決断

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 王女との話し合いを終えて、与えられている王室の一室にしてぼうっとしていた。
 ベットの上であおむけになって天井をみつめながら頭の中で会話を何度も繰り返した。
 その中で分かったことをまとめれば、自分たちは利用されて召喚された。
 さらには帰れない存在にまでなっている。

「最悪なことこの上ない上にあの王女は俺らを執拗に戦わせようとしていたわけか。つか、魔王の存在を消そうともしたいようだしな」

 魔王の存在はいろんな国には脅威でしかないのだろうことはわかってきた。
 勇者という存在を使って魔王の侵攻を退けさせるだけでなく、他国との争いも避けさせるきっかけを作ったのだ。 
 それほどまでにも恐れる魔王という存在の異常性。

「いったいどんなやつなんだよ。この世界の魔王」

 オトコなのかオンナなのかさえわかっていないらしい魔王という存在。
 急にこのイシュラナという世界に出現した経緯も不明だとなおのこと恐怖だった。
 魔王の目的は世界支配だけが目的でないように思われる節もあると王女は言っていた。

「魔王に勇者か。本当に異世界にいるんだなぁ」

 改めて感慨深くため息がこぼれた。
 
「うん?」

 あることが思い込んだ。
 そもそも、この世界へと魔王の兵士を入っていたのを知っていた王女たち。
 わざと招き入れたということだろうが、そもそもその過程において重要な要素が抜けていた。

「どうやって俺らがこの世界へ召喚されるのを彼女たちに伝えたんだ?」

 それは情報を流す方法があるということだった。
 ともするならばと俺はそそくさとベットから飛び上がりベットから足をおろして足早に部屋を飛び出すと隣室の扉を叩いた。

「種村さん、種村さんいますか!」

 反応はないが、中からガタリと音だけがした。
 
「すみません、入りますよ!」

 慌てて入ると誰もいなかった。
 リビングにまで足を進めて間きりを挟んだ向こう側の寝室も遠目から見てもいる様子はない。

「たしかにいる気配が………」

 背後から扉の軋む音がした。
 ゆっくりと振り返るとちょうど、壁際にある浴室の扉を開けてバスローブ姿の種崎さんが出てきた。
 艶やかに濡れた髪をバスタオルで拭って、開けた胸元にしたたる水滴、濡れそぼって上気した頬。
 妖艶さを伴ったその美貌に思わず口と鼻を抑える。

「きゃっ! なんであなたがいるんですかっ!」

 少し前までの軽い口調ではなく堅い口調に戻って俺を怒鳴りつける。
 即座に手に鈍器のような物体をもって構えた。

「ちょっと、おちついてください! しっかりとノックはしたんですよ! 返事がなかったんで無断で上がりこんだのは申し訳なかったですけど何もする気はないです! ただ、話をしたくて!」
「女性の寝室へ無断で入りこむのはマナー的にどうなんでしょうか?」
「そ、それはごもっともで……」

 彼女は俺の横を通り過ぎ、リビングにあるソファに腰を下ろした。
 だけど、手にはいつでも何かしてくれば殴り殺すとばかりに鈍器のような物体は常備している。
 不用意な発言が命取りだと痛感する。

「それで、話ってなんですか?」
「あの、種村さんは勇者召喚の真相を聞いて、まだこの世界で何かを実行しようと考えてますか?」
「…………」
「俺はこの世界に召喚した王女には確かに思うところありますしキレたい気持ちです。でも、怒ったところでどうにもなりませんし帰る方法もわかりません。だから、なるべく自分が長く滞在をしたいと望めるような環境を作るつもりで行動をします」
「あなたは強いね」
「え」
「私は……もう無理。本当だったらアイドル声優としてどんどん有名になって充実した生活を送るはずだったのよ……。それなのに、わけもわからず選ばれてどうしてかこんな世界に。しかも、呼び出した理由は争いごとに利用するためであった。最初から争わせて命の危険に身を置かせる作戦だった。そう、あんな怖い目にあの女が合わせた!」
「種村さん……」

 心底恐怖が身に染みているのか身体が震えていた。
 俺はかける言葉が見つからない。
 ただ、そっとそばに近寄る。
 
「隣座っていいですか?」
「なんかする気なら……」
「何もしませんよ」
「…………いいわ」

 そっと隣に腰を下ろす。
 彼女が吐息を零す。

「おかしい。ずっと男性が駄目だったはず私がなぜかこの世界に来て初めて男性が大丈夫になった。それも一緒に飛ばされたあなただけが平気」
「あはは、それはファンとしてはうれしいですね」
「そのようね。格好を見れば見当つくわ」

 彼女の目線が俺の着こんでる痛シャツに向いていた。
 彼女が演じていたキャラクター『愛嬢雪絵』。

「そのキャラも演じて何年になるのかしら」
「もうすぐで10年くらいですね。初期のころからのファンでしたから」
「よく本人も覚えていないことをすらすらと……」
「伊達にファン歴長くないですから!」
「正直そういうところは気持ち悪いよ」
「うぐっ」

 今の言葉は心にくる。
 けれど、ご褒美にも近い言葉と解釈すればメンタル的には回復できる。

「あ、あの種崎さん。俺は少し前まで全然ダメな奴でした。だけど、ある時のあなたをみて勇気をもらいました」
「ゆうき?」
「そうです。イベントであなたは今後の抱負や活動について語っていた時、言っていました。『どんなにくじけそうになったとしても私はそんなことなんか無視して自分のやりたいように努力して頑張っていく』と」
「私そんなこと……」
「いいえ、言ってましたよ。俺はその言葉を聞いてあなたのことが好きになってファンになった。病気から復帰した当時のあなたはなんとも可哀そうに思えましたけど、でも本当にやりたい仕事を頑張ってしているあなたの姿は本当に俺の尊敬する人で今でもそうです」
「私はそんなに強くないの。あれは言わされてるだけで……」
「たとえ、そうだったとしても俺にはあなたの本心のように聞こえていた。そう、そんなオタクの願望であってもいい。俺はあなたを尊敬しているんです」

 俺はソファから立ち上がる。

「さっきも言いましたけど、俺は利用されてようともう構いません。王女にもう一度、『カレースープ』の配給食の交渉に行ってきます。この世界の文化を変えて自分が永住できやすいようにしたいので」

 彼女に背中を向けて部屋の扉にまで向かい歩いていく。
 背中を向けながら彼女に言う。

「もしも、まだ俺の憧れてるあなたであるならどうかこの世界のことも考えて少しでも前向きに考えてください。たしかに王女のやり方は酷いです。でも、今はこの世界で生きていくしかないって事もまた事実なんです」

 そう言って俺は最後にキツイ一言も残しながら部屋を出ていった。


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