ライバーな俺が大好きな声優アイドルと一緒に異世界へ召喚されてしまったので新しい世界で生きる方法を作りました。(改題しました

ryuu

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第1章 異世界の勇者

プロローグ

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 大きなドーム会場。
 2万人という観客を収納できる大きくて広い施設。
 そこには宗教のようにその二万人の客がどんどんと一枚の権利を獲得できた証拠となるチケットをもって入場していく。
 その観客の中の一人である俺、霧山頭きりやまとうも今日のための準備をして勇んで会場の中へと入る。
 今日は大好きな声優アイドル種村雪菜たねむらゆきなの出演作品『アイドルプロデュエットアクション』の7周年記念ライブだ!
 ライブはアーティストが広い会場で歌って観客を沸かせる一種のパフォーマンスという娯楽。
 演奏会には近いのだがオタクのライブはまったくもって別物だ。
 客の一人一人はそれぞれがペンライトと呼ばれる光る棒を手にして演者を応援しなきゃならない。
 中には毎度のことながら行われるライブに乗じて資金稼ぎの一端で行われるグッズ販売。
 その商品を身に着けてくるプロがいる。
 この俺もまたそんなプロだ。
 今日も始発の電車で会場まで来て物販列に並んでまで購入したライブグッズを着用して会場入りをしている。
 座席もしっかりと最速先行抽選で当選させたプレミアムチケット。座席もアリーナの目の前を確保済み。
 ようやくようやく、こんな奇跡とも呼べる座席を手にすることができて感無量だ。
 目の前にステージがあるということ自体で興奮は最高潮。
 周囲の観客という同志たちも興奮がやまないようでセトリを予想している。
 セトリとは歌う曲のリストのことだ。何を歌うのかという予想を考えているのだろう。
 おおよそはライブのタイトルにもなっている歌が最後に持ってくる形が多い。
 他はその時の運営サイド次第。
 オレはとにかく種村雪菜が演じている黒髪ロングに黒ストのお姉さまキャラでおなじみの『愛嬢雪絵あいじょうゆきえ』の歌が多めに出てくることを願うばかりだ。

「しっかし、後ろまでびっしりだよなぁ。倍率クッソ高いもんな」

 毎年毎年のことでこのライブはチケットをとるために円盤を買うか雑誌を買うか、ファンクラブの会員にならなければならない。
 ファンクラブ会費も年会費5000円もするからお金も軽く飛ぶ。
 それでも、行きたい奴らはかなり多くいる。ファンクラブも20万人もの登録者数を誇っているがそのうちわずか当選できるのは会場の人数2万人だけ。
 円盤とかになるとファンクラブ登録者数よりはすくないがそれでも約3万人の購入者がいて毎回のことながら円盤を10万円分買う連中もいるけれども当選しないということもある。
 その中の激戦を勝ち抜いた猛者がここには集っている。

「お、今日も完璧装備やないですか同志キリ」

 周囲の状況に圧巻していれば俺の前を通り抜けてその隣の席に腰を下ろした重装備の中年男性。
 彼はオフ会を通して仲良くなったネット友達のアカイさんである。お互いに本名は聞きださないのは暗黙のルールである。それはネットの友達同士の付き合いならばたとえ一緒にライブに参加したとしてもそこは控えるというものである。
 それでも、仲良くなると必然とイベントに同席する間柄になるので名前も知っているわけなのだが本名は決して口にしないのもまた暗黙の了解であった。
 今回はアカイさんは俺が当選したチケットの連番者。
 もちろん、ライブは一人参加は寂しい。一人参加はしたことがあるけれども、ソロと親しい友人がいるとでは違う。


「アカイさんも遅かったっすね」
「いやはや、物販で非常に並びまして」
「言ってくれれば代行をしましたよ」
「何を言うのであろうか。戦場での品は自らで勝ち取ってこそ」
「ほしいものはそれで買えたので?」
「むろん! ばっちり!」
 
 彼は両手にブレードを取り出した。
 ブレードはペンライトの通称。ライブ好きであるライバーの中での固有名称みたいなものだ。
 アカイさんの両手にあるペンライトカラーはそれぞれ推しキャラの色とデザインを模したものだ。

「アカイさんは確か『西城あかりさいじょうあかり』『上城ゆりあうえしろゆりあ』推しでしたね」
「さよう。この二人は百合カップルでも有名!中の人である『東海心愛とうみここあ』と『希土鳴きどめい』は幼い顔立ちと元気な性格が持ち味で拙者の心にもハートフルアタックでござる」

 さっそく推しキャラの持ちセリフを引用して白熱したトークをする。
 あとライブ開始まで1分はある。
 俺もライブ装備を着用して携帯を椅子の下においてるトートバックの中に入れた。
 いつもライブ時には身軽さが重要である。
 このバック一つにすべてを収めている。
 携帯に流れた『連続殺人鬼の脱走というニュース速報』が目を止まるが気にせずにライブ開始を今か今かと待ち望む。

 全然始まらない。

「延長はあることであるぞ。そうソワソワするでない。待つのもまたライバーたるものの宿命。楽しみでもあろう」
「そうですね」

 当の言ってるアカイさんも十分にそわそわしていた。
 なんていっても待望のライブである。
 数か月もまたされたライブを今これから楽しもうというのだ。
 興奮はやまない。

「しかし、キリ氏。拙者は感謝しておる。貴重なライブの同席者に選んでいただけて。今日は酒をおごるでござるよ」
「いいよいいよ。アカイさんは以前の6周年ライブでは俺は同席者に選んでいただけたんだし」
「そう言ってもらえると嬉しい限りであるな」
「それより、ほら照明落ちましたので始まると思います」

 ライトが消灯し、広い舞台ステージの両サイドの液晶画面に映像が映し出されてこれからというときのタイミングだった。
 機材トラブルだろうか。
 映像が乱れ始めた。
 舞台ステージに登場していた演者たちも困惑をしている。

「みなさーん、ちょっとまってくださーい! もうしばらくたって――」

 演者の声が聞こえた時に、液晶画面が大きく輝きだした。
 突然に悲鳴が聞こえた。
 何事かと思い至ったときに、自分の視界が急にぐらつき始めた。

「なんだ?」
「なんでござろうか。え……キリ氏!?」
 
 急に身体に浮遊感が生まれた。
 何かに身体が吸い込まれていく感覚。
 おもわず手にしていたブレードを振り回した。
 それは無意味な行動でしかなく悲鳴を上げ、意識が何かに飲み込まれて沈んでいった。
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