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11、葛藤
しおりを挟むリフィアは、ヴァイスへの恋心を自覚している。
婚約者でもない男性と親密になるのはいけないことだと思いながらも、ヴァイスに会いたいという気持ちが抑えられない。
会うたびに愛しい気持ちが膨れ上がるが、同時に罪悪感のようなものも感じている。
この感情に戸惑いながらも、放課後のヴァイスとの図書室デートはすっかり習慣になっている。
ルナントフに邪魔されることのない二人きりの時間。
二人はすっかり定位置になった、二人掛けのソファに座った。
幸せな時間のはずなのに、ヴァイスは最近のリフィアを見ていると胸が痛む。
手を伸ばし、リフィアの顔にかかる髪を耳にかけ、頬に触れる。
「少し痩せたね。原因はわかってるけど・・・」
毎日、一日中ルナントフに束縛され、恐怖に支配されている。
精神的苦痛が大きいせいで食欲が湧かず、初めて会ったときよりも痩せてしまった。
「私がルナントフ様のご期待に応えられないのがいけないのです」
「違う!・・・ごめんね、僕が悪いんだ。君への気持ちが抑えきれないから。こうやって会っていることがバレたら、ルナントフに叱られて辛い思いをさせるってわかっているのに、君に会いたい気持ちが止められない!」
ヴァイスは今にも泣きそうな、切ない表情を浮かべるが、どこか怒りが滲んでいるようにも見える。
ルナントフがリフィアの婚約者という肩書きを得ていることが妬ましいだけでなく、彼女を束縛して苦しませていることに怒りが込み上げているのだ。
愛する人を苦しめていることに、ルナントフはどう思っているのだろうか。
だが、リフィアを苦しめているのは自分も同じだと感じている。
自分が現れなければ、彼女はこんな状況に陥ることはなく、今でもルナントフと仲良く過ごしていたに違いない。
それでも、転生して再び出会えたこの奇跡を逃すことはできない。
「リフィア、君が好きだ」
そう言って、リフィアを強く抱きしめる。
「出来ることなら、君をあいつから奪ってやりたい。僕は君を幸せにする自信がある」
その気持ちが嬉しくて、リフィアは涙が溢れる。
「リフィアは、僕のことどう思ってる?」
伝えたい。
自分もヴァイスが好きだと言ってしまいたい。
「私、私は・・・」
だが伝えてもいいのかわからず、黙り込んでしまった。
ヴァイスは抱きしめていた腕を緩め、リフィアの顎をくいっと持ち上げた。
形の良い唇を、リフィアの唇に近づける。
リフィアは、このまま流れに身を任せてしまおうかと悩むが、咄嗟にヴァイスの口を両手で覆う。
「いけません!私には婚約者がいます。これ以上は・・・」
手のひらに、ヴァイスの唇が当たっていることに気づき、慌てて両手を下げる。
「すみません!」
「リフィア、僕の目を見て」
ヴァイスはリフィアの真っ赤な頬を両手で包んだ。
「君が僕を望んでくれるのなら、僕は、君とルナントフの婚約を解消させる。どんな手を使ってもだ。もちろん、君に非がない方法でね」
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