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24、デート再び
しおりを挟むヴァイスは今、リフィアと王都の四区でデートの最中だ。
命を狙われていることは、リフィアには伝えていない。
以前、街で襲撃されたことがあるため出歩くのは控えたほうがいいと思っているが、リフィアの誘いを断れるはずがない。
現在二人の後方には、シャッテンが数名、陰から護衛をしている。
週末の午後ということもあり、人通りが多い。
宝飾店に入った二人は、お揃いのピアスを探している。
リフィアは初デートでヴァイスに贈り物をもらい、そのお返しがまだできていない。
「これ、どうかな?」
「きれいね!学園でも着けられそう!」
ヴァイスが指を差したのは、青と緑のマーブル模様のガラス玉のピアスだ。
青はヴァイスの瞳色、緑はリフィアの瞳色である。
リフィアは店員に尋ねる。
「これ、もう一組ありますか?」
店員は「少々お待ち下さい」と言って、在庫を見に行った。
リフィアは伯爵家の娘だが、自由に使えるお金は多くない。
そこで、安価な物が買える平民地区の店にやってきたのだ。
「ございましたよ」
店員は奥から同じ物を持ってきた。
「よかった!着けて帰ってもいいですか?」
「もちろんです」
すると、ヴァイスが支払おうとする。
「ちょ、ちょっと待って!これは私からの贈り物なんだから、私が払うの!」
「お揃いのピアスを探すのが目的だったから、僕が払っても問題ないよ」
贈り物をしたかったリフィアは納得いかなかったが、結局ヴァイスに押し切られてしまった。
「着けてくれる?」
ヴァイスはピアスをリフィアに渡した。
「うん・・・」
ピアスを着けるだけなのに、頰が火照ってしまう。
ヴァイスは少し屈み、リフィアは両耳にピアスを着けた。
「どう?」
「とても似合ってるわ」
銀髪のヴァイスに、青と緑のピアスはよく映える。
艶のあるガラス玉は、宝石のように輝いて見える。
同様に、ヴァイスもリフィアにピアスを着けた。
「リフィアの白い肌に、すごく合ってるよ」
そう言って、リフィアの耳を優しく撫でた。
店を出た二人は手を繋ぎ、次の目的地に向かって歩き出す。
「ふふ、お揃いってなんだか懐かしいわ!」
前世でもキーホルダーや食器など、お揃いの物を買っていた。
それを思い出しているであろうリフィアは上機嫌だ。
ふんわりと跳ね上がるような、舞っているかのような軽い足取りは妖精のように愛らしい。
真っ白のワンピース姿が余計そう思わせるのだろう。
「今日は一段と可愛いね」
リフィアは頬を赤く染め、俯いてしまった。
「あ、ありがとう・・・」
二人は広場にやって来た。
やはり賑わっている。
恋人や友達、親子が楽しそうにお喋りをしたり、遊んだりしている。
絵を描いている人、読者をしている人、楽器を演奏している人もいる。
自分たちが住んでいる貴族地区では見られない光景であり、前世を思い出させる眺めだ。
「私、平民地区好きだなぁ」
「僕も。懐かしく感じる」
広場にはいくつかの屋台があり、ヴァイスとリフィアはお目当ての軽食と飲み物を買った。
アーラが美味しいとオススメしていたものだ。
二人はベンチに座り、それにかぶりつく。
「んんー!美味しい!お肉は柔らかくて、野菜もたくさん入っていて、ソースの辛味が丁度いいわ!」
リフィアは食レポをした。
薄い生地のパンに肉や野菜が挟んであり、ソースがかかっている。
タコスのような見た目だ。
「うまっ!これ、かなり好きかも」
味だけでなく、かぶりつけるのも好みだ。
フォークもナイフもいらず、ここでは大きな口を開けて食べても、口にソースを付けても、誰にも注意されない。
リフィアは驚いている。
「ヴァイスの口から、『うまっ!』って初めて聞いたわ」
「はは、前世に似た食べ物だからかな?口調が航太に戻った」
「飲み物も美味しい!」
「これ、炭酸だ・・・うまいな」
リフィアは懐かしそうに言う。
「前世と同じ食べ物や、似たものを結構見かけるわ」
「そうだね。これからも色んな所に食べに行こう」
「うん!」
その後は、カフェでスイーツを食べ、本屋に行き、手を繋いでのんびり散歩をした。
二人は前世のようなデートを思い切り満喫したのだった。
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