魔王エルデネス3

葉雲屋

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ガルノ公国の章

3.

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「どうかね」

エルデネスが、更に問う。

ビビは俯き──目を、前髪に隠し、しばらくして、見上げた。

「じゃあさ、魔王!私を連れていきたいなら、これ!」

ビビ、特製爆弾。

腰の鞄に入っている。小さくても、威力は保証されていて、ビビはそれをぽいぽいとエルデネスに投げた。

魔王の身体が、大爆発に包まれる。

轟音。

「よっしゃあ!……って、あれ?」

爆風が晴れたとき、エルデネスが、まったく無傷なままそこにいた。

「……そっちに、降りて良いかね」

「……どうぞ」

「マジで最強かよ、魔王……」

「ふむ」

エルデネスが、石畳の上に降り立つ。

「余は”全てを燃やす炎”も使える。それで、自分に触れる爆風のみ燃やしたのだ」

「丁寧に解説するじゃん」

「連れてゆきたいからな」

エルデネスが、ビビを見る。

パーナが「おお……」と、目を見張る。

「改めて、どうだ。余と来ないか。それとも、何か不満が?」

「ふ、不満っていうかさー、うーん、これはもっと要求できる感じね……」

ビビは、ニッと笑い、

「魔王、私は安くないよ!だったらさ、すっごい爆発、見せてよ!私、爆発が好きなんだ!」

「爆発か」

「うん!爆発させる技術なら、パーナ様にだって負けてないよ!」

エルデネスが、パーナを見る。

パーナが頷く。魔王は「やれやれ」と首を振った。

「とんでもない国だな、ここは……」

「魔王、”イジュラルタル”をやってよ!」

「イジュラルタルだって!?」

パーナが飛びあがった。

「何だね、イジュラルタル、とは」

「公国の最終兵器、海から現れる機械兵士さ!コアは古代のものなんだけど、公国の技術が詰まってる!」

「そんなものを、良いのかね?」

「できるんなら、イジュラルタルも本望さ!」

パーナが胸を叩く。

「ふむ。やはりとんでもない国、というか、とんでもない二人だな」

「おっ!怖気づいちゃってるの、魔王?」

「まさか。しかし、面白い女性だな、ビビ。そのイジュラルタルとやらを吹き飛ばして、何としても連れて帰るぞ」

「素敵だわ!」ビビが飛び跳ねる。「イジュラルタルを吹っ飛ばす相手なら、どこまでもついて行っちゃう!」

「話は決まりだな、魔王!」

と、パーナが、四角いリモコンのようなものを取り出した。

中に、古代の魔石が入っている。スイッチで起動し、イジュラルタルと共鳴、呼び寄せるのだ。

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