魔王エルデネス3

葉雲屋

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ガルノ公国の章

4.

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「いくぜ!せーの、ポチッ!」

パーナが軽快な声と共に押すと、しばらくして、海面が大きく盛り上がる。

頭が見え、胴体が見え、足に、まで出て来た。足の周り一帯に、円盤状の石があり、それごと海底から出て来たらしい。

見た目は、巨躯の騎士という感じだ。だが、両肩に大きな砲台を担いでおり、剣や盾などは持っていない。

「こいつはやばいぜ、魔王!いくらお前でも粉々になるかもな!」

「ふむ」

エルデネスが、ビビを見る。

「では……この者を、イジュラルタルを”ものすごい爆発”で倒したら、余のものになってくれるかね?」

「!もちろん!その時は、良いよ!」

「良かろう」

エルデネスは、飛行魔法で飛び上がった。

「余の信念は”約束と対価”。君の約束への対価を払うとしよう」

「よぉし!覚悟しろよ、魔王!」

パーナが、もう一度リモコンを押す。

すると、イジュラルタルの胴体──腹の部分が、扉のように開き、三つめの砲台が出て来た。

「イジュラルタル・ガルノ砲!吹き飛べ、魔王!」

キュイイイン!と、何かが旋回する音。

イジュラルタルがガシャガシャと動くと、砲台からエネルギーが発射される。それは直接エルデネスには行かず、イジュラルタルの少し前で混ざり合い、白い球体となってゆく。

それが、大きくなる。最大になったのち、空中のエルデネスへ向かうのだろう。

「ふむ。なかなかのエネルギーだ。言うだけの事はある」

「ならば、余は待とう」エルデネスはそう続け、飛んだまま待った──相手の全力を引き出して、叩き潰す。

やがて、そのエネルギー弾が、エルデネスを余裕で飲み込めそうなぐらい大きくなると、

カッ

と発射された。ビビの眼も、パーナの眼も、戦闘というより期待に輝いている。

(妙な奴らだが、筋は通っている)

エルデネスは、両手を前に出した。

「”フロンティア”」


超絶魔法:フロンティア
エルデネス全力の魔法。範囲内の全てを吹き飛ばし、消滅させる。


超絶、魔法。

エルデネスの両手から、光が放たれ、それがまず”イジュラルタル・ガルノ砲”の光弾を貫通する。貫通された光弾は、形を保てないという風に揺らぎ、消滅。

そして、イジュラルタルに着弾。”フロンティア”の魔力はそこからドーム状に広がり、イジュラルタルを、地面を、海面の一部を消し去った。

「なっ、す、すげぇ!」

とパーナ。

フロンティアが広がっている間、轟音が唸る。


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