魔王エルデネス3

葉雲屋

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ガルノ公国の章

5.

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終わりに、あったのは無。

削られた海面が補充される。ビビもパーナも、口をあんぐり開けている。

「こ……こんな力……魔王!」

「スッゴ。爆発っていうか、次元が違うものね……」

「余の全力だ」

エルデネスが戻ってくる。

「まずは、戦争を決着させなくてはな。ガルノ公国は、どうする」

「好きにしてくれ」

「パーナ様。でも、仕方ないよね……」

「降伏。それしかないさ。一瞬でこの島を消してくる相手に、出来る事なんてないよ」

「よろしい。これに、降伏署名を。国の代表は……」

「あー、まあ、何とかするよ」

パーナが、肩をすくめた。

「今日は、驚きっぱなし。いや、他の国の話も聞いていたんだけどね。……でも、いつか追い付いて見せるさ。人生は目標だ」

「ふむ。その発言は楯突きを意味するが……」

エルデネスは首を傾げた後、フッと笑った。

「まあ、良かろう。そしてビビ、約束通り」

「勿論!」

ビビは、胸を叩いた。

「とんでもない力を持ってるんだね、魔王!喜んでついて行くよ!貴方について行けば、もっとすごい爆発が見られそう!」

「フッ。見る景色に景色は退屈しないさ。余が約束する」

エルデネスが、ビビの横腹にそっと触れながら、パーナを見る。

「ではな、また様子を見に来るぞ。変人達よ」

「な──」

声をあげかけたビビと共に、エルデネスが消える。

「変人、ね」

パーナは、一人、頭の後ろで腕を組んだ。

「さーて、どうしようかな。途方もないけど、いや、だからこそ、ワクワクしてきた」



収納玉内、エルデネスの城。

今回、エルデネスは、門の内側に帰った。

「!」

アリスが、それを見る。何かをしていたのだろう。

「へ?何これ、すっご、お城だあ……」

「余の城だ。好きに暮らせ」

「エルデネス!」

アリスが、つかつか歩いてくる。

「その子!ガルノ公国の子ね!ついに公国まで手にかけたの!貴方って人は!」

「わ!すっご……知ってます!エイレン王国のアリス様ですよね!」

ビビは口に手を当てて言うと、エルデネスを見た。

「アリス様も?やっぱり規格外だよ、魔王……」

「……?懐柔されてる……?」

アリスが首を傾げる。

そして、ビビに事情を聞いた。しばらく言葉を交わしていたが、彼女はみるみる上気し、

「あ、貴女!いや、そのパーナって男も!何よそれ、そんな事で易々と!」

ビビの胸倉を掴んだ。

「民は、国はどうなるの!?遊びじゃないのよ!?」

「止めたまえ」

エルデネスが、鋭く言う。

「それぞれの考えがあるものだ。話はついている。分からぬと思っても、否定するものではない」

「……ッ」



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