10 / 53
アルーレ帝国の章
2.
しおりを挟む
人々は不気味な現象、二つの町の損失、低下する治安に恐怖した。
ザヒド、カグラは激怒する。サハル、ラザドにそれぞれ急行し、とにかく悪人たちを引きはがして、帰路、合流した。
「このままじゃ、帝国が危ない!」
「ああ、そうだカグラ。クソッ、魔王め……」
ザヒドは剣を抜き、やりきれない思いで叫んだ。
「姿を現せ!魔王エルデネス!」
「──いいだろう」
無が、答えた。
砂上、姿を現す。ザヒドの咄嗟の一撃を受け止め、カグラに微笑む。
「サハルに来い。そこで決着をつけよう」
言うと、砂が舞い上がり、魔王はその中に消えた。
エイレン王国に聖龍がいたように、アルーレ帝国には「炎獣バリュシム」という召喚獣がいる。
どの国にもいるというより、「召喚獣に目を付けた勢力」が生き残ってきた、といえる。ザヒドとカグラは魔王討伐軍を編成し、炎獣の用意も進めた。サハルの不逞な輩達は、軍兵を見て息をひそめるが、荒れ放題の町はそのままだ。目が覚めたとしても人々は途方に暮れるだろう。
(それでも、やり直していかなければならない)
カグラ達は、町の前にいる。壊されたものは、直すしかない。その前に魔王を倒さねば。
砂が渦巻き、エルデネスが現れる。カグラに、ザヒド。魔法兵に槍兵、弓兵。彼は目を細めた。
「今だ、カグラ!」
「ええ、ザヒド!」
いきなり”バルデロック”を放つ。
「”ジーナ”」
◇
干渉魔法:ジーナ
エルデネスの魔法。相手の魔法に魔力を侵入させ、暴発させる。
敵の魔法を探る事で、術者に新たな発見がある事も。
◇
「な……うわあっ!」
斬撃が、放たれた所で暴発する。
入り込み、暴発。エルデネスの理解は、自分の魔法に留まらない。
「”ゼウス”」
空が暗転。激しい雷が襲う。
「そして”ジェシカ”」
◇
風神魔法:ジェシカ
風ではなく、気流を扱う、エルデネスの魔法。
◇
雷の次に、暴風。
衝撃で舞い上がった砂に、人間が、今度は吹き飛ばされる。
「くうッ!」
「何て魔力だ、魔王!」
と、叫ぶザヒドのもとに、一歩二歩、砂に足をめり込ませながら、一人の男が歩み寄った。
「剣将軍、召喚準備、整いました!」
「!良し!」
町の中で、炎獣の儀式を進めていたのである。
ザヒド、カグラは激怒する。サハル、ラザドにそれぞれ急行し、とにかく悪人たちを引きはがして、帰路、合流した。
「このままじゃ、帝国が危ない!」
「ああ、そうだカグラ。クソッ、魔王め……」
ザヒドは剣を抜き、やりきれない思いで叫んだ。
「姿を現せ!魔王エルデネス!」
「──いいだろう」
無が、答えた。
砂上、姿を現す。ザヒドの咄嗟の一撃を受け止め、カグラに微笑む。
「サハルに来い。そこで決着をつけよう」
言うと、砂が舞い上がり、魔王はその中に消えた。
エイレン王国に聖龍がいたように、アルーレ帝国には「炎獣バリュシム」という召喚獣がいる。
どの国にもいるというより、「召喚獣に目を付けた勢力」が生き残ってきた、といえる。ザヒドとカグラは魔王討伐軍を編成し、炎獣の用意も進めた。サハルの不逞な輩達は、軍兵を見て息をひそめるが、荒れ放題の町はそのままだ。目が覚めたとしても人々は途方に暮れるだろう。
(それでも、やり直していかなければならない)
カグラ達は、町の前にいる。壊されたものは、直すしかない。その前に魔王を倒さねば。
砂が渦巻き、エルデネスが現れる。カグラに、ザヒド。魔法兵に槍兵、弓兵。彼は目を細めた。
「今だ、カグラ!」
「ええ、ザヒド!」
いきなり”バルデロック”を放つ。
「”ジーナ”」
◇
干渉魔法:ジーナ
エルデネスの魔法。相手の魔法に魔力を侵入させ、暴発させる。
敵の魔法を探る事で、術者に新たな発見がある事も。
◇
「な……うわあっ!」
斬撃が、放たれた所で暴発する。
入り込み、暴発。エルデネスの理解は、自分の魔法に留まらない。
「”ゼウス”」
空が暗転。激しい雷が襲う。
「そして”ジェシカ”」
◇
風神魔法:ジェシカ
風ではなく、気流を扱う、エルデネスの魔法。
◇
雷の次に、暴風。
衝撃で舞い上がった砂に、人間が、今度は吹き飛ばされる。
「くうッ!」
「何て魔力だ、魔王!」
と、叫ぶザヒドのもとに、一歩二歩、砂に足をめり込ませながら、一人の男が歩み寄った。
「剣将軍、召喚準備、整いました!」
「!良し!」
町の中で、炎獣の儀式を進めていたのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる