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サルベネス王国の章
7.
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「この中に入れ」と、王都を出たところで言われた。
「入る……?」
「立っていればいい」
途端に、ルザミネの見ている景色が渦巻きだし、見知らぬ「謁見の間」が、周囲に現れた。
「君の対価も説明する。使いきれぬ程の黄金と、この城の贅沢だ」
「それと、家族は要るか?」と、エルデネスが続ける。
「君の家にも、黄金を送ろう。家の栄華、という訳だ」
「家族……」
エルデネスは、数段上の玉座に座っている。
ルザミネは、彼を見上げて、唇を噛んだ。
「家族は、居ない。私は、身寄りを無くした。……国王に拾われた。恩を、返そうと。頑張ってきて、それで!」
ルザミネが、目に涙をためて、叫ぶ。
「貴様の所為だ!貴様が現れるから!私は、国王は!サルベネスは!」
「栄華を約束しただろう、不満か?」
エルデネスの返事は、冷ややかだ。
「黄金で、栄華など!」
「折衝案、だ。――別に屈しなくてもいい。余は対価の分、君を貰うだけだ」
「意味は、分かっているな?」と、エルデネスが言う。
「君は戦利品としてここに来た。覚悟していると思うが。――寝室に行くぞ。自分で着いてくるか、連れ込まれたいか、決めよ」
エルデネスが、立ち上がる。
ルザミネの横を、すり抜けて、扉に手をかける。
そこで、エルデネスの背中が止まった。
ルザミネは……行くしかなかった。エルデネスの後を、歩いて追う。
扉が、閉じられた。静まり返る部屋に、確かに光る、玉座。
「入る……?」
「立っていればいい」
途端に、ルザミネの見ている景色が渦巻きだし、見知らぬ「謁見の間」が、周囲に現れた。
「君の対価も説明する。使いきれぬ程の黄金と、この城の贅沢だ」
「それと、家族は要るか?」と、エルデネスが続ける。
「君の家にも、黄金を送ろう。家の栄華、という訳だ」
「家族……」
エルデネスは、数段上の玉座に座っている。
ルザミネは、彼を見上げて、唇を噛んだ。
「家族は、居ない。私は、身寄りを無くした。……国王に拾われた。恩を、返そうと。頑張ってきて、それで!」
ルザミネが、目に涙をためて、叫ぶ。
「貴様の所為だ!貴様が現れるから!私は、国王は!サルベネスは!」
「栄華を約束しただろう、不満か?」
エルデネスの返事は、冷ややかだ。
「黄金で、栄華など!」
「折衝案、だ。――別に屈しなくてもいい。余は対価の分、君を貰うだけだ」
「意味は、分かっているな?」と、エルデネスが言う。
「君は戦利品としてここに来た。覚悟していると思うが。――寝室に行くぞ。自分で着いてくるか、連れ込まれたいか、決めよ」
エルデネスが、立ち上がる。
ルザミネの横を、すり抜けて、扉に手をかける。
そこで、エルデネスの背中が止まった。
ルザミネは……行くしかなかった。エルデネスの後を、歩いて追う。
扉が、閉じられた。静まり返る部屋に、確かに光る、玉座。
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