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アシュレ王国の章
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「来たぞ、国王」
と、エルデネスが、ぽい、と、血だらけの衛兵の死体を放り捨てる。
その先には、玉座に座る、アシュレ国王。
「――やはり、来たか」
「敵が弱かったものでな」
「それは良い。大事なのは、精神よ」
アシュレ国王が、立ち上がる。
盛り上がった筋肉に、刺々しい髭。肉体だけなら、エルデネスを圧倒している。
「セレシアも、お前のものか?」
「その通り」
「俺は、自由の為に戦う」
国王が、腰の剣を抜き放つ。
それは、エルデネスの軍刀が、三本は収まりそうな、巨大な剣だった。
「貴様に頭を垂れるぐらいなら、死ぬまでだ。アシュレの民も、それを理解している。破壊できるのなら、存分に破壊せよ」
「──そうか」
国王の、縦振り。
エルデネスは、それを受けた。彼の身体は、沈まない。そのまま、攻撃に転じる。横振りを、今度は、アシュレ国王が受けて。
エルデネスの動きが、速くなった。
「ふッ!」
と、エルデネス自身も体を浮かせながら、縦振りを放つ。何とそれは、受けた王の足を、床にめり込ませるほどの一撃だった。
国王の足元が、丸く凹む。
「あ、有り得ん!」
「終わりだ」
首が飛ぶ。
エルデネスが、軍刀を振って、仕舞う。
城を出たところで「エルデネス!」と声をかけられた。
「この野郎!アシュレの自由の為に!あんたを討つ!」
(ほう。5人、の、市民か)
エルデネスは、内心感心しながら、軍刀を抜いた。
指の鳴る音が、聞こえた。
「はっ!」
と、セレシアが飛び起きる。彼女の金髪が、さらさらと顔を動く。
ついた両手に、絨毯の感触。
「気が付いたかね?セレシア」
「お前は……エルデネス!」
数段上の玉座に、エルデネスが座っている。
「てめぇ、ここどこだ!アシュレは、どうなった!」
「思っている通りだよ」
「何……」とセレシアは言い、その眉が、目尻が、下がってゆく。
しかし、一気に吊り上がり、
「何人……何人殺した!」
「向かって来た者全員だよ」
エルデネスは、顔を上げた。
「王都を、歩いた。最後の方には、悲鳴も上がらなくなっていたな」
良い国だった、と、エルデネスは続けた。
と、エルデネスが、ぽい、と、血だらけの衛兵の死体を放り捨てる。
その先には、玉座に座る、アシュレ国王。
「――やはり、来たか」
「敵が弱かったものでな」
「それは良い。大事なのは、精神よ」
アシュレ国王が、立ち上がる。
盛り上がった筋肉に、刺々しい髭。肉体だけなら、エルデネスを圧倒している。
「セレシアも、お前のものか?」
「その通り」
「俺は、自由の為に戦う」
国王が、腰の剣を抜き放つ。
それは、エルデネスの軍刀が、三本は収まりそうな、巨大な剣だった。
「貴様に頭を垂れるぐらいなら、死ぬまでだ。アシュレの民も、それを理解している。破壊できるのなら、存分に破壊せよ」
「──そうか」
国王の、縦振り。
エルデネスは、それを受けた。彼の身体は、沈まない。そのまま、攻撃に転じる。横振りを、今度は、アシュレ国王が受けて。
エルデネスの動きが、速くなった。
「ふッ!」
と、エルデネス自身も体を浮かせながら、縦振りを放つ。何とそれは、受けた王の足を、床にめり込ませるほどの一撃だった。
国王の足元が、丸く凹む。
「あ、有り得ん!」
「終わりだ」
首が飛ぶ。
エルデネスが、軍刀を振って、仕舞う。
城を出たところで「エルデネス!」と声をかけられた。
「この野郎!アシュレの自由の為に!あんたを討つ!」
(ほう。5人、の、市民か)
エルデネスは、内心感心しながら、軍刀を抜いた。
指の鳴る音が、聞こえた。
「はっ!」
と、セレシアが飛び起きる。彼女の金髪が、さらさらと顔を動く。
ついた両手に、絨毯の感触。
「気が付いたかね?セレシア」
「お前は……エルデネス!」
数段上の玉座に、エルデネスが座っている。
「てめぇ、ここどこだ!アシュレは、どうなった!」
「思っている通りだよ」
「何……」とセレシアは言い、その眉が、目尻が、下がってゆく。
しかし、一気に吊り上がり、
「何人……何人殺した!」
「向かって来た者全員だよ」
エルデネスは、顔を上げた。
「王都を、歩いた。最後の方には、悲鳴も上がらなくなっていたな」
良い国だった、と、エルデネスは続けた。
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※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
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