魔王エルデネス

フィアス連邦の章

2．

「終わりだ、エルデネスッ！」

バンクルにも、それは見えない。
一面、砂嵐だったからだ。ただ、恐らく、砂王の牙が、彼を捉えた事は分かった。
砂嵐が、もはや竜巻となり、更に収縮していく。それが砂の塊までになり、フッと消えたとき、ベルオスと──エルデネスがいた。
バンクルの、大きな二本の牙。その間――口内に、軍刀を突き刺して、止めているエルデネス。

「お、おお……！そんな、馬鹿な！」

「”ゼウス”」

ベルオスの身体に、二度の雷。
エルデネスの身体にも、電流が走る。それは、バチバチと、目にも見えた。無論、エルデネスには効かないが。
砂王の巨体が、砂漠に倒れる。

「おのれ、エルデネス！ならば――この技で仕留めてやる！」

バンクルの前で、巨大な魔法陣が、三つ展開。

「もはや、命はよい……エレラに、ベルオスに、そしてフィアスに身を捧げ、この魔法を放つ」

「ふん」

エルデネスは、軍刀を仕舞った。
そして、両手を前に出す。

「心意気も、力も見事。ならば余も、全力で相手しようか」

「ほざけ！」

三つの魔法陣、それぞれから、巨大な魔力が放たれる。それは通り過ぎた後に、何も残さない力だ。
エルデネスはそれを、見つめ。魔王の身体から、長く影が伸び。

「”フロンティア”」

◇
超絶魔法：フロンティア
エルデネス全力の魔法。範囲内の全てを吹き飛ばし、消滅させる。
◇

バンクルの、魔法。
撃った、バンクル。
どころではない。──周囲、景色、景観、眺望が、消える。





砂漠に。
巨大なクレーターが出来、立っているのは、エルデネスのみ。

「さて──連邦の、本部に行こうか」