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3巻 序章~毒の秘密とアルカナフェイトと古代魔導語と
役者は揃う
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俺達とジルベニスタとコーマの6人と1匹は、グリモワール邸に足を踏み入れる。先ほど顔を出したアリーゼ子爵は「すぐ戻る」と言い残し、入り口脇にある小さな階段を上がっていった。
そのまま入り口から入ったすぐに見える大きな両開きの扉。その扉の前にセバスさんが案内してくれる。入り口を入った時からどこか澄んだ森の中にでもいる様な、清浄な空気が漏れ出ている様なそんな印象を持った。
「なんだか居心地が良いな。この香りはなんだろう。凄く落ち着く」
グリューンが大きく鼻を広げて、くんかくんかと匂いを吸い込んでいる。
「そうですねレンジさん。大きな滝の傍に立っている様な感覚です。常に誰かに守られているかのようです」
魔力の流れる感覚にはやはり強いのだろう、フィオナの穏やかな表情に俺は納得するしたように頷き返す。この屋敷に瞬間に感じた事。
グリモワール子爵が信用できる人物であるという直感だ。
俺の腰でまた、微かに萌炎が震えるのが分かった。ふと隣に立っているコーマと目が合う。彼は冷たさの中にも悠然とした瞳を俺に向けると、ゆっくりと頷いた。
(やつにも萌炎の震えが伝わっているのか)
俺は気を引き締めた。ここにはジルベニスタだっているんだ。コーマの奴だって敵だか味方だか、はっきりとはわからねぇ。
セバスさんが両開きの扉を開けてくれる。その扉には開かれた魔導書の上に、ペンとインク壺、そして星や月と言ったモチーフを組み合わせたような知的なデザインが施されていた。
「こちらにて少々お待ちくださいませ」
セバスさんが頭を下げ室内に俺たちを促す。小奇麗な絨毯が敷き詰められた落ち着いた雰囲気の10畳くらいの広い部屋だ。木で作られた統一感のある家具やソファー。それに穏やかな色合いの本革が張られている。座り心地もとても良さそうだ。それに室内全体が品の良さを感じさせる。
「どうぞ。お座りください。今お茶をお持ちいたします。レンジ様はムロ茶がお好きと聞いておりましたので、同じような種類ですがまた違った趣向のお茶をご用意いたしました」
おお凄いな、セバスさん。そんな事まで調べ上げているのか。
奥の扉から、落ち着いた藍色の柔らかな仕立ての服を身に着けた年配のフィーム族の女性、おそらく侍女さんなんだろうな。その女性が小さなお茶のセットを持って部屋に入ってくる。持ってきたお茶の葉をゆっくりと濾すようにして、温かいお湯を注ぎ入れてくれている。
「さぁどうぞ。こちらは六花連合共和国のフェイ族の国アリリーフに伝わるお茶だそうですよ。緑色の苦みのある葉っぱが特徴的だとの事。砂糖は入れずにお飲みくださいませ」
俺達はその入れられた緑色のお茶を口に含む。フレッシュな若葉のような香りがして、僅かな渋みと苦みが舌の上で感じられる。その後は口の中で清涼感が残って、後味が華やかだ。
「おう! これは爽やかで旨いな」
「レンジさん。このお茶、わたし好きです」
「相棒。これはいいな」
ガルムとフィオナ、グリューンが美味しそうにお茶を飲んでいるのを横目で見ながら、俺はその味を噛みしめるように味わう。この味、この飲み口、この風味は……!
「これは緑茶じゃねぇか! マジか。久しぶりに味わったぞ! 」
俺の後ろで、声を押し殺すのに失敗したのか、小さく笑っているのはコーマだ。ジルベニスタは飲んだことがあるのだろう。苦そうな顔をしているから、あまり得意ではないのかもしれないな。
「まさか王都でアリ茶を飲めるとは思わなかったわ。これ、手に入れるの大変だったでしょ」
エレノールがぼそっと呟く。そうか、お前、六花の出身って言っていたよな。
「んーー。やっぱり落ち着くわ。これよねこれ。この苦さがたまんないのよね」
ずずずっと音を立てながら、ため息を付きつつ飲んでいるエレノールを見ると、縁側に座っているおばあさんが頭の中に思い浮かんで吹き出しそうになる。だって膝にミンミを載せているから、もうまんまだよな。
「アリーゼ様は如何為されたのかな。王国騎士団も無尽蔵に時間がある訳ではないのですよ。この件はさるお方も関心を示されており、わたくし共もそれで動いていた訳でしてね……」
少々苛立ちを隠せない様子のジルベニスタだ。苦々し気にアリ茶をもう一度口に含み、更に渋い顔を見せていた。
その時、部屋の扉が勢いよく開かれ颯爽と現れたのは、脇に分厚い羊皮紙の束を抱えたアリーゼ子爵だ。しなやかな紺色のジャケットを羽織っていて、動きやすそうな細身のパンツを合わせている。この部屋の扉に描かれていた魔導書をモチーフにした刺繍がジャケットに施されているのが見て取れる。サバサバした無駄のない彼女の性格を表しているようで、俺は好ましく思えた。
「ジルベニスタ殿、すまなかった。論文の捜索に手間取っていたのだ。お主の物言いは嫌いではないが、もう少し相手のことを考えた方が良いぞ」
アリーゼは大きな笑い声を室内に響かせた。嫌みを牽制された格好になってしまったジルベニスタは、歯に物が挟まったような顔をしてソファーに座り直す
室内のソファーには俺達とジルベニスタが座っている。コーマだけは俺たちの後ろの壁に寄りかかるようにして立っていて、その視線からは何を考えているのかよく分からない。セバスが柔らかい笑顔をアリーゼに向けているのが分かり、彼のアリーゼに対する信頼感を感じる。エレノールの膝の上で「ミャア」というミンミの声が静かな室内に響き渡った。
「待たせたな。そして初めにレンジ殿、こちらの無礼を先に詫びておこうと思う」
そのまま入り口から入ったすぐに見える大きな両開きの扉。その扉の前にセバスさんが案内してくれる。入り口を入った時からどこか澄んだ森の中にでもいる様な、清浄な空気が漏れ出ている様なそんな印象を持った。
「なんだか居心地が良いな。この香りはなんだろう。凄く落ち着く」
グリューンが大きく鼻を広げて、くんかくんかと匂いを吸い込んでいる。
「そうですねレンジさん。大きな滝の傍に立っている様な感覚です。常に誰かに守られているかのようです」
魔力の流れる感覚にはやはり強いのだろう、フィオナの穏やかな表情に俺は納得するしたように頷き返す。この屋敷に瞬間に感じた事。
グリモワール子爵が信用できる人物であるという直感だ。
俺の腰でまた、微かに萌炎が震えるのが分かった。ふと隣に立っているコーマと目が合う。彼は冷たさの中にも悠然とした瞳を俺に向けると、ゆっくりと頷いた。
(やつにも萌炎の震えが伝わっているのか)
俺は気を引き締めた。ここにはジルベニスタだっているんだ。コーマの奴だって敵だか味方だか、はっきりとはわからねぇ。
セバスさんが両開きの扉を開けてくれる。その扉には開かれた魔導書の上に、ペンとインク壺、そして星や月と言ったモチーフを組み合わせたような知的なデザインが施されていた。
「こちらにて少々お待ちくださいませ」
セバスさんが頭を下げ室内に俺たちを促す。小奇麗な絨毯が敷き詰められた落ち着いた雰囲気の10畳くらいの広い部屋だ。木で作られた統一感のある家具やソファー。それに穏やかな色合いの本革が張られている。座り心地もとても良さそうだ。それに室内全体が品の良さを感じさせる。
「どうぞ。お座りください。今お茶をお持ちいたします。レンジ様はムロ茶がお好きと聞いておりましたので、同じような種類ですがまた違った趣向のお茶をご用意いたしました」
おお凄いな、セバスさん。そんな事まで調べ上げているのか。
奥の扉から、落ち着いた藍色の柔らかな仕立ての服を身に着けた年配のフィーム族の女性、おそらく侍女さんなんだろうな。その女性が小さなお茶のセットを持って部屋に入ってくる。持ってきたお茶の葉をゆっくりと濾すようにして、温かいお湯を注ぎ入れてくれている。
「さぁどうぞ。こちらは六花連合共和国のフェイ族の国アリリーフに伝わるお茶だそうですよ。緑色の苦みのある葉っぱが特徴的だとの事。砂糖は入れずにお飲みくださいませ」
俺達はその入れられた緑色のお茶を口に含む。フレッシュな若葉のような香りがして、僅かな渋みと苦みが舌の上で感じられる。その後は口の中で清涼感が残って、後味が華やかだ。
「おう! これは爽やかで旨いな」
「レンジさん。このお茶、わたし好きです」
「相棒。これはいいな」
ガルムとフィオナ、グリューンが美味しそうにお茶を飲んでいるのを横目で見ながら、俺はその味を噛みしめるように味わう。この味、この飲み口、この風味は……!
「これは緑茶じゃねぇか! マジか。久しぶりに味わったぞ! 」
俺の後ろで、声を押し殺すのに失敗したのか、小さく笑っているのはコーマだ。ジルベニスタは飲んだことがあるのだろう。苦そうな顔をしているから、あまり得意ではないのかもしれないな。
「まさか王都でアリ茶を飲めるとは思わなかったわ。これ、手に入れるの大変だったでしょ」
エレノールがぼそっと呟く。そうか、お前、六花の出身って言っていたよな。
「んーー。やっぱり落ち着くわ。これよねこれ。この苦さがたまんないのよね」
ずずずっと音を立てながら、ため息を付きつつ飲んでいるエレノールを見ると、縁側に座っているおばあさんが頭の中に思い浮かんで吹き出しそうになる。だって膝にミンミを載せているから、もうまんまだよな。
「アリーゼ様は如何為されたのかな。王国騎士団も無尽蔵に時間がある訳ではないのですよ。この件はさるお方も関心を示されており、わたくし共もそれで動いていた訳でしてね……」
少々苛立ちを隠せない様子のジルベニスタだ。苦々し気にアリ茶をもう一度口に含み、更に渋い顔を見せていた。
その時、部屋の扉が勢いよく開かれ颯爽と現れたのは、脇に分厚い羊皮紙の束を抱えたアリーゼ子爵だ。しなやかな紺色のジャケットを羽織っていて、動きやすそうな細身のパンツを合わせている。この部屋の扉に描かれていた魔導書をモチーフにした刺繍がジャケットに施されているのが見て取れる。サバサバした無駄のない彼女の性格を表しているようで、俺は好ましく思えた。
「ジルベニスタ殿、すまなかった。論文の捜索に手間取っていたのだ。お主の物言いは嫌いではないが、もう少し相手のことを考えた方が良いぞ」
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