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1巻 4章~聖なる山とドラゴンと春の精霊と
The Deadly Struggle. Minute 1. 破邪導術
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ガルムが大きく吠えた! 両腕の筋肉が大きく隆起し、迸る闘気は凍り狼戦の時とは比較にならない! これがロイヒテン・ピルツェの力なのか。
「あたしの『破邪導術』の詠唱もろもろに費やす時間は3分とちょっと! それまで何とかしてあたしを守って! 高度な集中を要する導術だから、ドラゴンの攻撃を避ける事も、別の事に対応する事もできないわ! もしも集中が途切れたら、導術の力が散り散りになって、また初めからの詠唱になっちゃう……」
導術って詠唱が途中で途切れたら、また初めからになるんか! 確かにそんだけでかいリスクがあるんなら、神の包丁の力が無茶苦茶だと言われるのも分かるぞ!
「わたしがエレノールさんを全力でお守りします! 絶対に、爪の一本だって触れさせません! 」
フィオナが両手の拳を打ち合わせ、覚悟を決めた様な表情で頷く。俺はそれに応える様に頷き返し、ドラゴンに向き直る。そこに言葉はもういらない。エレノールはフィオナに任せる。その間、俺とガルムでホワイトドラゴンの攻撃を食い止める!
「相棒。オイラだって戦うぜ! 危なくなったら大声で叫ぶことぐらいはできるさ! 」
グリューンが俺の肩をポンと叩く。その小さな感触が、不思議と大きな信頼感となって心の中に伝わってくる。
ガルムが、全てを見透かしたように大笑いしながら叫ぶ。
「ふん……王都に行って米を探して、寿司を握るのが目的だと! バカもんが! まずはこの場を生き残る事を考えないか! 」
「うるせぇ! その為に戦うんだろうが! 俺は大真面目だからな。もっとこの世界の美味しい食材を探したいんだ。ガルムやフィオナ、そしてエレノール。ラベルク村のヒト達、そしてこれから出会う皆に笑顔になって欲しいんだ! 」
ガルムからの共に戦うという意志が込められた確かな眼差し。フィオナから送られてくる絶大なる信頼感。エレノールからは呆れたような視線と、でもほんの少し先の未来への興味を感じる。
(俺は欲張りか? あぁ欲張りで結構! 本当にそう思ったんだからな。見てろよ! )
その時だった。ホワイトドラゴンが長い首を伸ばし、大きな咆哮を上げる! ビリビリと鼓膜が破れんばかりの竜の威圧が俺達全員を襲う!
さぁ、戦闘開始だ!!
「おおおおおおお! 」
粉砕の大斧を両手に構え、両腕の筋肉を躍動させ一気にドラゴンの懐の飛び込んでいくガルム。足の筋肉も大きくなっていて、脚力が上昇しているのが見て分かる!
俺もこのままここで何もしない訳にはいかない。ガルムとは違う方向から回り込むようにしてドラゴンに一気に近づく。ドラゴンはそんなガルムと俺の動きを仄暗い灰色の瞳で確認すると、一気に両腕を上に上げるのが見えた。
ガルムと俺は左右に分かれるようにして身を翻す! 俺たちの立っていたであろう場所を、ドラゴンの爪が空気を引き裂く。鼓膜を圧迫する風切り音と共に、ついさっきまで自分が立っていたはずの地面が、巨大な杭を打ち込まれたかのように抉れていた。
ガルムはそんなドラゴンの腕に器用に飛び乗ると、一気に腕を駆け上がり、ドラゴンの肩辺りに上るのが見えた! そんなことできるんかよ、どんだけ体軽いんだ!!
「相棒、爪だ! 二撃目だぞ! よそ見すんな! 」
グリューンの警告の声が辛うじて聞こえ、俺はおっかなびっくり体を反転させる! 立っていた地面にドラゴンの鍵爪が大きく喰いこむのが見えた。
「あ、あっぶね……! 」
低いよく通る声が周囲に響き渡った。エレノールが魔紋錬成を始めたんだな! フィオナが周囲を警戒して、俺に視線を送りながら頷く。
『オードナールーズ・ファイバナーゾ! 解き放て…束縛されし魂の嘆きよ。 偽りの絆を断ち切らんと誓わん……ルーズロード、ロードスーク……導け、秩序を司る大いなる力よ。全ての穢れを祓い、汚らわしき力を滅せんとせよ……』
高い、そして強い集中力! エレノールの周囲のエルナが燃え上がるようにして、彼女の周りに少しずつ集まっていく様は圧巻だ! 杖を構え、持っていない方の手を上に下に器用にくねらせる様に舞うように動かしている。足元はなにやら呪文の言葉を紡ぎ出す様に光が溢れ、エレノールの立っている地面が、魔法の文言で埋め尽くされる!
「レンジ! よそ見すんなって言っただろうが! 死んじまうぞ!! 」
グリューンの激が飛ぶ!
前方のドラゴンに目をやると、肩に乗っていったガルムが大きく『粉砕の大斧』を振りかぶり、ドラゴンの首元に打ち下ろしている。
『ガチィイィィィン!』
鉄に刃を突き立てる様な大きな派手な音が辺りに響き渡る。その衝撃で一瞬ホワイトドラゴンが苦痛に顔を歪めるのがわかった。ガルムの攻撃が効いているんだ!
「フィオナ! エレノールを頼んだぞ! 俺とガルムでなんとか奴の攻撃を引き受ける! 」
言い放つと同時にホワイトドラゴンに向かってもう一度突っ込んでいく。すぐさま両腕の鍵爪が襲い掛かってくる! それを炎の剣で受け止めるとガキィン、と甲高い金属音が鳴り響く! 凄まじい衝撃が腕を駆け上がり、骨まで痺れる。
いなす事なんてできない……そんな器用な芸当ができるか! ただ、がむしゃらに振り回し、吹き飛ばされる前に次の攻撃を叩き込む。それしかできない!
「こんなの! フィオナに顔を叩かれた時の方が痛かったぞ! 」
自分を鼓舞するために叫ぶ! もちろんフィオナの殴打の方が痛い訳はない。こうでも言いながら戦わないと怖くて手の震えを止めることができない。
「へへ、相棒! そんなことを言っていいのか? フィオナ嬢ちゃんが後で怖いぞ! 」
グリューン! どうしてお前はこんな状況下でそんなお茶らけた事が言えるんだ!
苦痛に首をよじらせるドラゴン、肩に乗りながら的確な打撃を重ねているガルム。
その時だった。大きく大蛇のように長い首がガルムに向かって静かに振り向いた! 口を大きくこじ開ける様に広げ、口腔内の空気が凍りの結晶となるような、吹きすさぶ冷たい魔力が充満していく!
「ガルム危ない! 」
「あたしの『破邪導術』の詠唱もろもろに費やす時間は3分とちょっと! それまで何とかしてあたしを守って! 高度な集中を要する導術だから、ドラゴンの攻撃を避ける事も、別の事に対応する事もできないわ! もしも集中が途切れたら、導術の力が散り散りになって、また初めからの詠唱になっちゃう……」
導術って詠唱が途中で途切れたら、また初めからになるんか! 確かにそんだけでかいリスクがあるんなら、神の包丁の力が無茶苦茶だと言われるのも分かるぞ!
「わたしがエレノールさんを全力でお守りします! 絶対に、爪の一本だって触れさせません! 」
フィオナが両手の拳を打ち合わせ、覚悟を決めた様な表情で頷く。俺はそれに応える様に頷き返し、ドラゴンに向き直る。そこに言葉はもういらない。エレノールはフィオナに任せる。その間、俺とガルムでホワイトドラゴンの攻撃を食い止める!
「相棒。オイラだって戦うぜ! 危なくなったら大声で叫ぶことぐらいはできるさ! 」
グリューンが俺の肩をポンと叩く。その小さな感触が、不思議と大きな信頼感となって心の中に伝わってくる。
ガルムが、全てを見透かしたように大笑いしながら叫ぶ。
「ふん……王都に行って米を探して、寿司を握るのが目的だと! バカもんが! まずはこの場を生き残る事を考えないか! 」
「うるせぇ! その為に戦うんだろうが! 俺は大真面目だからな。もっとこの世界の美味しい食材を探したいんだ。ガルムやフィオナ、そしてエレノール。ラベルク村のヒト達、そしてこれから出会う皆に笑顔になって欲しいんだ! 」
ガルムからの共に戦うという意志が込められた確かな眼差し。フィオナから送られてくる絶大なる信頼感。エレノールからは呆れたような視線と、でもほんの少し先の未来への興味を感じる。
(俺は欲張りか? あぁ欲張りで結構! 本当にそう思ったんだからな。見てろよ! )
その時だった。ホワイトドラゴンが長い首を伸ばし、大きな咆哮を上げる! ビリビリと鼓膜が破れんばかりの竜の威圧が俺達全員を襲う!
さぁ、戦闘開始だ!!
「おおおおおおお! 」
粉砕の大斧を両手に構え、両腕の筋肉を躍動させ一気にドラゴンの懐の飛び込んでいくガルム。足の筋肉も大きくなっていて、脚力が上昇しているのが見て分かる!
俺もこのままここで何もしない訳にはいかない。ガルムとは違う方向から回り込むようにしてドラゴンに一気に近づく。ドラゴンはそんなガルムと俺の動きを仄暗い灰色の瞳で確認すると、一気に両腕を上に上げるのが見えた。
ガルムと俺は左右に分かれるようにして身を翻す! 俺たちの立っていたであろう場所を、ドラゴンの爪が空気を引き裂く。鼓膜を圧迫する風切り音と共に、ついさっきまで自分が立っていたはずの地面が、巨大な杭を打ち込まれたかのように抉れていた。
ガルムはそんなドラゴンの腕に器用に飛び乗ると、一気に腕を駆け上がり、ドラゴンの肩辺りに上るのが見えた! そんなことできるんかよ、どんだけ体軽いんだ!!
「相棒、爪だ! 二撃目だぞ! よそ見すんな! 」
グリューンの警告の声が辛うじて聞こえ、俺はおっかなびっくり体を反転させる! 立っていた地面にドラゴンの鍵爪が大きく喰いこむのが見えた。
「あ、あっぶね……! 」
低いよく通る声が周囲に響き渡った。エレノールが魔紋錬成を始めたんだな! フィオナが周囲を警戒して、俺に視線を送りながら頷く。
『オードナールーズ・ファイバナーゾ! 解き放て…束縛されし魂の嘆きよ。 偽りの絆を断ち切らんと誓わん……ルーズロード、ロードスーク……導け、秩序を司る大いなる力よ。全ての穢れを祓い、汚らわしき力を滅せんとせよ……』
高い、そして強い集中力! エレノールの周囲のエルナが燃え上がるようにして、彼女の周りに少しずつ集まっていく様は圧巻だ! 杖を構え、持っていない方の手を上に下に器用にくねらせる様に舞うように動かしている。足元はなにやら呪文の言葉を紡ぎ出す様に光が溢れ、エレノールの立っている地面が、魔法の文言で埋め尽くされる!
「レンジ! よそ見すんなって言っただろうが! 死んじまうぞ!! 」
グリューンの激が飛ぶ!
前方のドラゴンに目をやると、肩に乗っていったガルムが大きく『粉砕の大斧』を振りかぶり、ドラゴンの首元に打ち下ろしている。
『ガチィイィィィン!』
鉄に刃を突き立てる様な大きな派手な音が辺りに響き渡る。その衝撃で一瞬ホワイトドラゴンが苦痛に顔を歪めるのがわかった。ガルムの攻撃が効いているんだ!
「フィオナ! エレノールを頼んだぞ! 俺とガルムでなんとか奴の攻撃を引き受ける! 」
言い放つと同時にホワイトドラゴンに向かってもう一度突っ込んでいく。すぐさま両腕の鍵爪が襲い掛かってくる! それを炎の剣で受け止めるとガキィン、と甲高い金属音が鳴り響く! 凄まじい衝撃が腕を駆け上がり、骨まで痺れる。
いなす事なんてできない……そんな器用な芸当ができるか! ただ、がむしゃらに振り回し、吹き飛ばされる前に次の攻撃を叩き込む。それしかできない!
「こんなの! フィオナに顔を叩かれた時の方が痛かったぞ! 」
自分を鼓舞するために叫ぶ! もちろんフィオナの殴打の方が痛い訳はない。こうでも言いながら戦わないと怖くて手の震えを止めることができない。
「へへ、相棒! そんなことを言っていいのか? フィオナ嬢ちゃんが後で怖いぞ! 」
グリューン! どうしてお前はこんな状況下でそんなお茶らけた事が言えるんだ!
苦痛に首をよじらせるドラゴン、肩に乗りながら的確な打撃を重ねているガルム。
その時だった。大きく大蛇のように長い首がガルムに向かって静かに振り向いた! 口を大きくこじ開ける様に広げ、口腔内の空気が凍りの結晶となるような、吹きすさぶ冷たい魔力が充満していく!
「ガルム危ない! 」
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