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2巻 2章~凍りの包丁と冒険者ギルドと天ぷらと
天ぷら
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フィオナが驚きの声を上げる。
「天ぷら……ですか? それって一体どんなものなんですか」
やはりそんなものは知らないよな。そうだろうとは思っていたから驚きもしないがな。
「天ぷらっていうのは新鮮な魚介類を小麦粉の衣でコーティングして、それを油で揚げる事で旨味を凝縮することのできる食べ方の事だ。さっきイゼルナさんが鶏肉みたいなもんを揚げていたし、セリナも唐揚げを持って来ていただろ。それと似た様なもんだと思ってくれ」
俺はちょっと雑な説明をフィオナに投げる。実際には全然違うんだが、あえて分かり易いさ優先で言ったまで。
でも…このやり方は実は現状問題がある。そう。氷水が必要だって事だ。そんなの今の春の時期に王都に普通にあるのか? だって冷蔵庫だってないんだぞ。
グリューンは俺の考えている事が分かったんだろう。
「レンジ。この世界には大変便利な力があるんだぜ! それを使わない手はないぜぃ」
目の前で両手を組むようにして、思いついたことを自慢するように体を反らせている。
「……そうか、グリューン。氷狼を倒すときにエレノールが氷の導術を使っていたよな。そうだよ。導術ってこの世界では一般的なんだから、そんな店とか商人が居てもおかしくないんじゃないか? 以前皆に創った『旅人の知恵包み』を使えば! あれには保存機能を持たせていたはずだ」
俺とグリューンの会話を聞いていたフィオナがすぐさま反応を返してくる。
「レンジさん。氷が必要なんですか? 氷屋さんなら以前、導術を学ばれていたおじいさんがやっているお店がファルナート市場にあります。この時期はちょっと値が張りますが……」
俺は目を輝かせる! それだフィオナ。
✛ ✛ ✛ ✛ ✛ ✛
フィオナが厨房から市場に駆け出していく。氷屋さんは店主の気分次第で開いているそうで、元々は別のお店だとの事だ。フィオナに渡してある『旅人の知恵包み』を使って、溶けないように持ってきてもらうように頼む。お願いだぞ。お店開いていてくれ。
イカとエビの名前を聞くと、イカが『ネリカ』で海老は『キリル』だとの事。
うっわー……絶対忘れそう。イカとか海老とか普通に言っちゃいそうだ。
天ぷらをやるんだったら、他の食材だって欲しいよな。俺は厨房の中を見渡す。見た事のあまりない食材も多い。
「へい、相棒。これなんかいいんっじゃねぇか! 」
グリューンが俺のすぐ脇に積まれているオレンジ色の小さな球のような野菜や、少し奥に四角いスイカのようにしか見えない縞々模様が表面に入ったものを指さす。
あの野菜は……! 俺の頭に、先ほど唱えた『食材探知』の情報が流れ込むのを感じる。ベルトに差してある『萌炎』がほのかな温かみを称えている。いいじゃん、グリューン、それ使える使える!
やはりこの包丁の能力は便利だよな。このところ戦闘への応用しかしていなかったから、やはり寿司職人として考えるなら料理へ利用する方がしっくりくる。
グリューンは鼻高々といった感じで俺にVサインを送っている。
よし。天ぷらに使うのはこの4種類。奥に使えそうな鍋と油を確認してある。卵らしきものもあった。あとは捌くだけだ。
俺は海老もどき、キリルを取り出すとまな板の上に載せる。暗い所に置くと殻が発光するように鈍く光る。光が強い方が鮮度がいい……という事をぼんやりと確認。俺は迷わずに海老の頭をねじり取り、足の方から殻を剥く。背わたを取り筋を切る。
次にイカもどき、ネリカ。俺が知っているものよりは大ぶりで四角いフォルム。ネリカの胴部分に指を差し込んで、胴を繋いでいる部分を剥がす。足を掴んでゆっくりと。墨袋が黒じゃなくて赤っぽい。異世界なので細部はやはり違うのか。
軟骨と目を取る。足の吸盤を包丁でしごき取る。胴の皮を包丁の刃先で少しめくって、掴んでゆっくりと引っ張る。皮を剥いたものを輪切りにして食べやすい大きさに揃える。
よしよし。海老とイカはこんな感じでいいだろ。俺は捌いたものをすぐに自分用の『旅人の知恵包み』中に放り込む。
どちらも良い食材だ。ほんと早く米を見つけないとな。明日にでも市場に行ってみるか。通って顔を覚えてもらわないといけないように思えるし、どこに何があるかしっかりと把握しておきたい。ガルを稼がないといけないこともあるから、市場での手伝いとか一石二鳥のクエストがないか後で探してみよう。
すると息を切らしながらフィオナが厨房に戻ってきた。
「どのくらい要るのか分からなかったので、適当に買ってきましたよ」
「ほんとわりぃ! フィオナ、ちょっと休んでいてくれ」
「いえ、大丈夫です。次は何をすればいいんですか。手伝います」
ゆっくりと深呼吸をしながら呼吸を整えているフィオナから『旅人の知恵包み』を渡してもらうと、中を確認する。ゴロゴロと大粒の尖った氷が入っているのを確認。よし。これでなんとかなりそうだ。
「じゃあフィオナ。悪いけど最後まで頑張ってもらうぞ。そこの鍋を外の天幕まで持って行ってくれ。油を使ってその場で揚げるから子供達には気をつけてな。俺はこっちの野菜を切ってから外にいく」
ふっふっふ。これは美味しく仕上がりそうだな。即席だけど熱処理してあるものだから、皆にも受け入れられやすいだろうし。
「よしやってやろうぜ。相棒。あとは時間との勝負だな」
グリューンもノリノリで答えている。
俺は野菜を切りながら、子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶようだった。
「天ぷら……ですか? それって一体どんなものなんですか」
やはりそんなものは知らないよな。そうだろうとは思っていたから驚きもしないがな。
「天ぷらっていうのは新鮮な魚介類を小麦粉の衣でコーティングして、それを油で揚げる事で旨味を凝縮することのできる食べ方の事だ。さっきイゼルナさんが鶏肉みたいなもんを揚げていたし、セリナも唐揚げを持って来ていただろ。それと似た様なもんだと思ってくれ」
俺はちょっと雑な説明をフィオナに投げる。実際には全然違うんだが、あえて分かり易いさ優先で言ったまで。
でも…このやり方は実は現状問題がある。そう。氷水が必要だって事だ。そんなの今の春の時期に王都に普通にあるのか? だって冷蔵庫だってないんだぞ。
グリューンは俺の考えている事が分かったんだろう。
「レンジ。この世界には大変便利な力があるんだぜ! それを使わない手はないぜぃ」
目の前で両手を組むようにして、思いついたことを自慢するように体を反らせている。
「……そうか、グリューン。氷狼を倒すときにエレノールが氷の導術を使っていたよな。そうだよ。導術ってこの世界では一般的なんだから、そんな店とか商人が居てもおかしくないんじゃないか? 以前皆に創った『旅人の知恵包み』を使えば! あれには保存機能を持たせていたはずだ」
俺とグリューンの会話を聞いていたフィオナがすぐさま反応を返してくる。
「レンジさん。氷が必要なんですか? 氷屋さんなら以前、導術を学ばれていたおじいさんがやっているお店がファルナート市場にあります。この時期はちょっと値が張りますが……」
俺は目を輝かせる! それだフィオナ。
✛ ✛ ✛ ✛ ✛ ✛
フィオナが厨房から市場に駆け出していく。氷屋さんは店主の気分次第で開いているそうで、元々は別のお店だとの事だ。フィオナに渡してある『旅人の知恵包み』を使って、溶けないように持ってきてもらうように頼む。お願いだぞ。お店開いていてくれ。
イカとエビの名前を聞くと、イカが『ネリカ』で海老は『キリル』だとの事。
うっわー……絶対忘れそう。イカとか海老とか普通に言っちゃいそうだ。
天ぷらをやるんだったら、他の食材だって欲しいよな。俺は厨房の中を見渡す。見た事のあまりない食材も多い。
「へい、相棒。これなんかいいんっじゃねぇか! 」
グリューンが俺のすぐ脇に積まれているオレンジ色の小さな球のような野菜や、少し奥に四角いスイカのようにしか見えない縞々模様が表面に入ったものを指さす。
あの野菜は……! 俺の頭に、先ほど唱えた『食材探知』の情報が流れ込むのを感じる。ベルトに差してある『萌炎』がほのかな温かみを称えている。いいじゃん、グリューン、それ使える使える!
やはりこの包丁の能力は便利だよな。このところ戦闘への応用しかしていなかったから、やはり寿司職人として考えるなら料理へ利用する方がしっくりくる。
グリューンは鼻高々といった感じで俺にVサインを送っている。
よし。天ぷらに使うのはこの4種類。奥に使えそうな鍋と油を確認してある。卵らしきものもあった。あとは捌くだけだ。
俺は海老もどき、キリルを取り出すとまな板の上に載せる。暗い所に置くと殻が発光するように鈍く光る。光が強い方が鮮度がいい……という事をぼんやりと確認。俺は迷わずに海老の頭をねじり取り、足の方から殻を剥く。背わたを取り筋を切る。
次にイカもどき、ネリカ。俺が知っているものよりは大ぶりで四角いフォルム。ネリカの胴部分に指を差し込んで、胴を繋いでいる部分を剥がす。足を掴んでゆっくりと。墨袋が黒じゃなくて赤っぽい。異世界なので細部はやはり違うのか。
軟骨と目を取る。足の吸盤を包丁でしごき取る。胴の皮を包丁の刃先で少しめくって、掴んでゆっくりと引っ張る。皮を剥いたものを輪切りにして食べやすい大きさに揃える。
よしよし。海老とイカはこんな感じでいいだろ。俺は捌いたものをすぐに自分用の『旅人の知恵包み』中に放り込む。
どちらも良い食材だ。ほんと早く米を見つけないとな。明日にでも市場に行ってみるか。通って顔を覚えてもらわないといけないように思えるし、どこに何があるかしっかりと把握しておきたい。ガルを稼がないといけないこともあるから、市場での手伝いとか一石二鳥のクエストがないか後で探してみよう。
すると息を切らしながらフィオナが厨房に戻ってきた。
「どのくらい要るのか分からなかったので、適当に買ってきましたよ」
「ほんとわりぃ! フィオナ、ちょっと休んでいてくれ」
「いえ、大丈夫です。次は何をすればいいんですか。手伝います」
ゆっくりと深呼吸をしながら呼吸を整えているフィオナから『旅人の知恵包み』を渡してもらうと、中を確認する。ゴロゴロと大粒の尖った氷が入っているのを確認。よし。これでなんとかなりそうだ。
「じゃあフィオナ。悪いけど最後まで頑張ってもらうぞ。そこの鍋を外の天幕まで持って行ってくれ。油を使ってその場で揚げるから子供達には気をつけてな。俺はこっちの野菜を切ってから外にいく」
ふっふっふ。これは美味しく仕上がりそうだな。即席だけど熱処理してあるものだから、皆にも受け入れられやすいだろうし。
「よしやってやろうぜ。相棒。あとは時間との勝負だな」
グリューンもノリノリで答えている。
俺は野菜を切りながら、子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶようだった。
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