余命半年ですべてを失ったと思ったら、君の*を手に入れた話

あきたいぬ大好き(深凪雪花)

文字の大きさ
1 / 1

本編

しおりを挟む


「余命、あと半年だね。うん」

 軽いノリで、さも他人事のように言われ、リアージュは一瞬理解できなかった。
 余命あと半年? 自分が? ――嘘、だろう?

「痛み止めの薬は処方しておくから。何かあったらまたおいで」
「え、いや、あの……」
「それじゃあね」

 医療用寝台に寝そべっているリアージュの前からさっさと消えていく街医者。リアージュはぽかんとしてその小太りな背中を見送った。
 ――余命半年。

「俺……もうすぐ、死んじゃうのか……?」

 不思議と涙は出てこない。まだ、現実を受け入れられていないのかもしれない。無理もないとは思うけれど。
 リアージュは点滴が終わるまで病院に一人でいて、点滴が終わるなり、とぼとぼと帰路についた。薄暗くなっていく中、明かりのついていない集合住宅の一室に帰る。
 リアージュには、両親も兄弟もいない。孤児だからだ。今はもう成人して花屋で働いているので同僚はいるが、そこまで親しい仲でもない。まして友人など……ほとんどいないに等しい。よって、相談できる相手はいないも同然。
 でも、たった一人。信頼できる相手がいる。幼馴染のハズノだ。王城で王立騎士をしている、大好きな人。

「会いに行きたい……けど。仕事中だよなぁ」

 それに、と思う。ハズノのことだ。もし、リアージュの余命が短いことを知ったら、泣き出してしまいそうだ。それだけ優しく純粋な男なのだ。
 ハズノには、心配をかけたくない。だから、いつも通りに振る舞おう。ハズノが悲しむ姿は見たくない。
 会いに行きたい衝動を堪え、一人、寝台の上で膝を抱えてうずくまる。

「……ハズノのこと、幸せにしたかったな」

 いつか恋人になって、生涯の伴侶になって、幸せに満ち溢れた人生を一緒に送りたいと思っていたのに。将来の展望が水の泡だ。
 だったら、せめて最後に……。
 ハズノに抱かれる自分を想像したが、……ダメだ。それでは、自分が本当に死んだ時、ハズノがより悲しんでしまいそうだ。自分勝手な真似はしたくない。
 誰にも、ハズノにも、何も言えない。がんじがらめの状況が窮屈で苦しく、リアージュは寝台から下りて家を出た。もう何もかもが嫌になった。
 向かう先は――娼館だ。




「あっ、あぁっ、ふぅ……んんっ」

 背後から、ガシガシと穿たれる。四つん這いになって、娼夫に抱かれているリアージュは、喘ぎ声を上げながら『初体験』を堪能していた。
 最初は怖かったが、いざ身体を重ねてみると、気持ちがいい。何より快楽で頭がいっぱいになるので、ハズノのことを忘れられる。自分の余命さえも。

「気持ちいいか?」

 優しい笑みを浮かべている娼夫に、リアージュは「うんっ」と答える。もっと突いてほしいとねだると、興奮したのか、激しく律動させた。
 初めての日、初めての相手……すべてが目新しく見えた。今まで自分が生きてきた世界はなんだったのだろう。バカ真面目に貞操を守ってきた自分がバカらしい。

「イ、く……あぁあああ――っっ!」

 絶頂を迎え、リアージュは布団の上に倒れ込む。娼夫はもう一度やらないかと興奮気味に誘ってきたが、リアージュはひとまず断った。もう疲れた。
 シャワー室でシャワーを浴び、汚れを洗い流す。脱衣所で服を着たら、そそくさと娼館をあとにした。

「はぁ……気持ちよかった」

 手櫛で髪を掻き上げる。色っぽい仕草に、通りすぎる男がこちらを見たのが分かる。
 なんだか、生まれ変わった気分だ。明日もここにこよう。想像していたよりも、ずっと優しい相手だったし。
 上機嫌で集合住宅への道を歩いていると、

「リ、リアージュ……?」

 戸惑ったような声が、リアージュの名前を呼んだ。この声が誰なのかを聞き間違えることはない。――ハズノだ。
 リアージュは一瞬びくりとしてしまった。よりにもよって、ハズノに朝帰りがバレるとは思わなかった。

「……ハズノ。よ、よう」
「お前……なんでこんな店から出て……」

 ハズノは、なぜかショックを受けた顔をしている。友人が娼館通いをしていたことを知ったから……というだけには見えないが、なぜだろう。
 よく分からなかったものの、後ろめたい気持ちがあって、言及できなかった。

「別に。ただの性欲解消だよ」

 なんとも思っていないふりをして、簡潔に返す。真面目なハズノのことだ。もしかしたら、怒られるのではないかとひやひやしていたら、案の定そうだった。

「っ、何やってるんだよ! 自分の体は大切にしろ!」

 一喝され、リアージュは唇を噛みしめる。……大切にしろと言われても。
 もう自分の命は半年しかない。好き放題に生きて何が悪いというのだ。開き直って、リアージュは挑発的にハズノを見上げた。

「関係ないだろ。気持ちのいいことをして何が悪いんだよ」
「リアージュ!」
「お前もさっさといい相手を見つけたら? じゃあな」

 さっさと立ち去ろうとすると、ハズノは「待てって!」と追い縋ってきた。ぐいっと肩を振り向かせられる。

「何す――、っ!」

 唇を強引に奪われた。咄嗟に何もできず、されるままでいると、ハズノはようやくそっと顔を離す。怒ったような、それでいて悲しげな表情が、そこにはあった。

「なんでだよ。幸せな結婚をしたいって言ってたのに……」
「っ」

 言うな。それはもう、叶わぬ夢なのだから。
 リアージュはようやくはっと我に返って、ハズノを押しやった。やめてほしい。そんな顔をして見ないでほしい。
 もう想いがぐちゃぐちゃだ。ハズノのことが好きなのに他の男と肉体関係を持ってしまい、そのことをハズノ本人にバレて責められて。悪いのは自分だと分かってはいても、気付かなかったのはそっちだろうと言いたくなる。

「……だから、ハズノには関係ないだろ。もう話しかけるな」

 どうしてキスをされたのか分からないものの、今度こそ踵を返す。茫然としているハズノに見つめられる中、リアージュは街の喧騒に紛れていった……。




 それから、娼館通いが続いた。リアージュが通う相手は、決まって最初の男。ノアークという名の彼と、何度も身体を重ねた。

「……そうか。余命は変わらない、か」

 寡黙で無骨なノアークは、悲しげに呟く。寝台の中で、身体を密着させながら抱き締めてくれた。

「俺は何もしてやれないが、少しでも気が晴れるのなら。また来てくれ」
「……うん。ありがとう」

 リアージュもノアークの背中を抱き締め返し、一夜をともにして、娼館をあとにした。その直後のことだ。――また、ハズノと鉢合わせてしまった。

「リアージュ……お前、またか」
「そっちこそ」
「俺は職場の飲み会だ。娼館にきてるわけじゃない」

 ハズノは苛立った顔で言うと、突然リアージュの腕を掴んだ。

「! 何するんだよっ」

 驚いて暴れるリアージュのことを、ハズノは路地に引きずり込む。壁にどんっと追いやられて、――キスをされた。
 驚いて目を見張ると、切なげな瞳をしているハズノと目が合う。

「性欲解消したいんなら、俺が相手をしてやる」
「は、はぁ?」
「ここじゃ目立つから、行くぞ」
「お、おい……!」

 手を引っ張られて、連れて行かれた先は、愛欲用の宿屋だ。勝手に部屋を借り、奥の部屋まで連れ込まれてしまった。
 必要以上に暴れなかったのは目を引きたくないからで、承諾したわけじゃない。どうして急にこんなことをするんだ。
 ……でも。
 ときめくものがある。ハズノに抱いてもらえるなんて、夢のようだ。一夜限りでも、いい思い出になる。
 そう思い、無闇な抵抗はやめ、流れに身を任せることにした。ハズノと綺麗な思い出を作るのだ。

「リアージュ……」

 寝台の上で、もう一度キスをされる。今度は優しいキスだ。
 舌を絡め、互いに貪り合いながら、衣服を脱がされる。半裸になったところで、押し倒された。乳首を舐められ、快楽が走る。思わず口から喘ぎ声が飛び出た。

「あっ、あっん」

 ノアークに開発されてしまった身体は、容易く快楽に燃え上がってしまう。些細な刺激で感じるリアージュを、ハズノは複雑そうな顔で見下ろしている。が、それでも優しい愛撫を続けてくれた。
 すっかり勃ち上がったそれを、ハズノの手が掴んで扱く。直接的な刺激に、ますます興奮してしまう。
 もう……ダメ。我慢できない。

「ハ、ズノ……も、入れてほしい」

 上擦った声で懇願すると、ハズノは驚いた顔をした。嬉しそうな、それでいて悔しそうな表情で、リアージュにキスをする。

「分かった。俺ももう……入れたい」

 ハズノは一旦体を離し、自身の衣服を脱いだ。そそり立つそれを、リアージュの後孔にそっとあてがう。

「入れるよ。いいか」
「うん……早く」

 後孔にぐっと圧力がかかる。ゆっくりと押し入ってきた熱棒が、リアージュの体を貫く。待ちかねた快楽がやってきて、リアージュは体を弓なりに仰け反らせた。

「あぁっ……」
「動くよ」

 ハズノの欲望がゆっくりと動き出す。抜き差しを繰り返し、リアージュの中を穢す。穿たれるたびに快楽が弾け、リアージュは嬌声を上げた。

「んんっ、ふぁっ……ああっ」
「気持ちいいか?」
「う、ん……っ」

 素直に答えると、ハズノはようやくふっと笑みをこぼした。

「そうか」

 頭上にいるハズノも息も弾ませながら、律動を激しくさせる。ガクガクと揺さぶられ、リアージュもまた絶頂を駆け上がっていく。
 ハズノはリアージュの腰をがっちりと掴んで離さず、なおも腰を打ちつけ続けた。数十分続いた情事がようやく終わる頃には、二人とも息も絶え絶えに寝台の上に寝そべっていて、顏を向き合うとキスをする。

「リアージュ。あの……」
「なに?」
「好きなんだ。俺と付き合ってほしい」

 まさかのハズノからの告白。
 両思いだったのか。好きだという言葉に、胸が弾んだ。……だけど、同時に後ろ暗い思いに苛まれた。
 自分は、ずっと他の男に汚され続けた。そんな自分に、純粋なハズノの隣にいる資格があるのか……何よりも、自分はもう余命が短い。真剣に交際をしたところで、ハズノを悲しませるだけだ。
 だったら、最低な男のままで。ハズノの中の自分が終わったらいいのでは。

「無理」
「え……」
「お前、下手なんだもん。やっぱり上手な奴がいいから」

 やんわりと拒絶すると、ハズノはぽかんとしていた。きっと、最中の様子から脈ありだと思っていたんだろう。

「下手、って……」
「あっちの男の方がよかった。感謝しろよ。童貞をもらってやったんだから」
「~~っ」

 ハズノの顏は怒りで真っ赤だ。「下手な童貞で悪かったな!」と声を荒げた。てっきりそのまま帰ってくれるのかと思ったのに……どうしてだろう。ハズノはもう一度、リアージュに覆いかぶさってきて。

「だったら、上手にさせてくれよ。それでお前と付き合いたい」

 リアージュは、言い淀んだ。何を言っているのかと思った。まだ……付き合いたいと言ってくれるのか。

「……暇な時なら付き合ってやるけど」

 逡巡した末、素っ気なく言うと、ハズノは顔を明るくさせた。もう一度、リアージュにキスをして、そのまま第二ラウンドに突入した。
 こうして、リアージュとハズノの奇妙な関係が始まった。定期的に身体を重ね、お互いをよく分からない意味で高め合う日々が。
 娼館通いはそれからもうやめた。体力が続かないし、ハズノとの時間でもう十分だった。といっても、ハズノには娼館通いを続けていることを伝え、好感度を下げようとしたのだけれど……それでも、ハズノの思いは変わらない。

『俺と付き合う時はやめろよ』

 ただ一言そう言うだけだった。
 ハズノのことを悲しませたくない一心でついた嘘。それなのにハズノのことを傷付けているかもしれない。その事実がリアージュの心に重くのしかかる。
 こんな自分は、やっぱりハズノにはふさわしくない。関係を絶ちたい。
 そう思って別れを切り出そうとしても、ハズノの顏を見たら何も言えなかった。だって、リアージュのことを愛した後、すごく幸せそうな顔をしているから。
 こんなことなら、最初から……ハズノと真剣交際していたらよかった。もう自分たちの関係は複雑すぎて、頭がこんがらがってくる。

「リアージュ?」

 ある日のこと。ハズノとデートしていたら、なんとノアークと顔を合わせた。仕事は休みなんだろう、いつも会っていた時とは装いが違う。だから、咄嗟に誰か分からなかった。

「えっと……?」
「俺だよ。ほら、『ノアーク』だよ」
「ああ、あそこの」

 ハズノが怪訝な顔をする。「あそこの?」と一人ごちている。
 リアージュははっとした。そうだ。ここでノアークとイチャイチャしたら、ハズノの心も離れていってくれるのでは。
 ハズノにはもっとふさわしい人がいる。……ここで終わらせよう。

「ノアークっ」

 リアージュはわざとらしいくらい、猫かぶりの態度でノアークの腕に抱きつく。ノアークは「うわっ」と驚嘆の声を上げつつも、リアージュのことを抱き止めた。

「会いたかった。早く宿屋に行こうっ」
「へ? ど、どうしたんだ、急に」

 ノアークは困惑気味だ。それはそうだ。もう何ヶ月もお店に顏を出していない。てっきり自分に飽きたとでも思っていたのだろう。

「それに俺は、時間外労働はしない主義で……」
「いいから。お金ならたくさん払う」
「――は!?」

 と声を上げたのは、ハズノだ。ようやくノアークがどういった相手か察したらしく、慌ててリアージュをノアークから引きはがそうとした。

「バカ! 何、お金を散財しようとしてるんだよ。俺がいるだろ」
「ノアークの方がいいんだよ」
「~~っ、分かったよ! もう勝手にしろ!」

 怒りで顔を真っ赤にしたハズノが、やっと。やっと、リアージュから離れていった。肩を怒らせて立ち去っていくハズノを……リアージュは切なげに見つめる。ほっとしたのが半分、そして悲しいのがもう半分。

「……っ」

 目から涙がぽろぽろとこぼれた。泣きじゃくっていると、ノアークはやはり混乱している。何がなんだか分からないといった顏で、しかしリアージュのことを優しく抱き締めた。

「大丈夫か?」

 平気だと答えようにも、しゃくり上げてしまって声が上手く出せない。
 全部、自分のせいだ。自業自得でしかない。それでも、涙がどんどん溢れてくる。
 ――好きだったのに。
 さようなら、初恋の人。




 それから数日後、病院に通院したリアージュは……とんでもないことを言われた。

「いやぁ、すまないね。病気のことは、誤診だった。本当にすまない」
「え? じゃあ、余命のことは……」
「大丈夫。君ならきっと長生きするよ。じゃ、じゃあね」

 街医者もとい、やぶ医者は、逃げるように診察室から立ち去っていく。リアージュは呆気に取られていたが、事情を理解すると、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
 ふざけるな、と叫びたかった。が、ハズノのことは自業自得なのだ。やぶ医者が悪いわけじゃない。
 おとなしく引き下がる他ほかなく、リアージュは病院を出て、とぼとぼと帰路についた。一人、集合住宅の一室に帰る。

「これからどうしよう……」

 仕事ももう辞めてしまった。新しい働き口を急いで探さなければ。
 余命半年という話が誤診だったと知って嬉しいものの、何もかも失ってしまった。仕事も、貞操も、……ハズノのことも。

「……っ」

 また、涙がこぼれ落ちてきた。あの日から、尽きることのない涙が。
 どうしてこんなことになった。自分はただ……ハズノと幸せな結婚をしたかっただけのはずなのに。
 泣きじゃくるリアージュの傍には、誰もいない。




 思い切って、王都を離れることにした。やぶ医者のことといい、ハズノとのことといい、嫌な思い出ばかりだから。

「どこに行こうかな……」

 大きな手提げカバンを持ったリアージュは、馬車の乗り合い場所にいた。ここからどこへでも行ける。田舎の街で人生をやり直そう。
 馬車に乗ろうとした、その時だ。

「リアージュ!」

 ハズノの声が街中に響いた。なぜここにいるか分からないものの、リアージュははっとして、慌てて馬車に乗り込もうとする。が、背後からぐいっと引き寄せられた。
 ――ぽすっ。
 頼もしい腕の中に抱かれて、リアージュは驚く。顔を上げると、自分を抱き寄せたのは間違いなくハズノだと知って、戸惑った。

「ハ、ハズノ?」
「待ってくれ。……ごめんな、気付いてやれなくて」
「なんのことだ?」
「余命が短いことだよ。さっき、花屋から聞いた。一人でつらかっただろ」

 リアージュは、なんと返したらいいのか分からなかった。そういえば、以前の職場にはきちんと理由を伝えていたが、……誤診であることは話しそびれていた。
 ハズノは、ぎゅっとリアージュのことを力強く抱き締める。

「俺と一緒に暮らしてくれないか。気付いたよ。俺にとってリアージュがどれだけ大切か。もう絶対に離さないから」
「ハズノ……」

 目から熱い涙が流れ落ちた。
 リアージュだって、誰よりも何よりもハズノが大切だ。ずっと傍にいて幸せにしたい。
 ……でも。

「お、れは……他の男とたくさん……」
「いいよ、それはもう。気付いてあげられなかった俺が悪かった。一人で寂しかったんだろ? これからは俺がずっと傍にいるよ」
「~~っ」

 リアージュはもう我慢できず、ハズノにしがみついた。これまでのことを謝りながら。

「ごめん、ずっと傷付けてきて…っ……」

 一人よがりの思いで、大切な人の心をないがしろにしてしまっていた。きっとこの苦しさはその天罰なのだろうと思う。
 嗚咽を漏らすリアージュのことを、ハズノは強く強く抱き締めた。もう絶対に離さないというように――。




「――へ!? 誤診だったぁ!?」

 落ち着いた後。馬車の乗り合い場所から離れ、ハズノの住まいに移動し、リアージュはそこですべての事情を打ち明けた。誤診だったことにはほっとした顔をしているハズノも、リアージュの一人よがりな行動には呆れた顔をしていた。

「お前は……なんでそう、昔から暴走するんだ」
「……ごめんなさい」

 しょんぼりとして謝ると、ハズノは「もういいよ」と許しの言葉を呟いた。リアージュのことを、確かにここに存在することを確認するかのように、また抱き締める。

「リアージュが無事ならそれでいい。でももう、絶対に自分の体を粗末に扱うなよ」
「別に粗末に扱ったわけじゃ……」
「似たようなものだろ。それに……もう、俺がいるんだから」
「……うん。分かった」

 リアージュの体はもうリアージュだけのものじゃない。ハズノの言う通り、自分の体は大切にしなければ。
 リアージュは、ハズノの首の後ろに腕を回す。

「大好きだよ。ハズノ」

 抱きつきながら想いを告げると、ハズノが嬉しそうに笑う声が聞こえた。

「はは、ありがとう。俺もリアージュのこと大好きだよ。――愛してる」

 ――ちゅっ。
 両思いになってからの初めてのキス。二人は幸せそうに笑い合い、何度も口づけを交わした。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

幼馴染が結婚すると聞いて祝いに行ったら、なぜか俺が抱かれていた。

夏八木アオ
BL
金髪碧眼の優男魔法使いx気が強くてお人好しな元騎士の幼馴染の二人です。

いくら気に入っているとしても、人はモノに恋心を抱かない

ちき
BL
一度オナホ認定されてしまった俺が、恋人に昇進できる可能性はあるか、その答えはノーだ。

何故か男の僕が王子の閨係に選ばれました

まんまる
BL
貧乏男爵家の次男カナルは、ある日父親から呼ばれ、王太子の閨係に選ばれたと言われる。 どうして男の自分が?と戸惑いながらも、覚悟を決めて殿下の元へいく。 しかし、殿下は自分に触れることはなく、何か思いがあるようだった。 優しい二人の恋のお話です。 ※ショートショート集におまけ話を上げています。そちらも是非ご一読ください。 ※画像は男の子メーカーPicrewさんよりお借りしています。

何故か男の俺が王子の閨係に選ばれてしまった

まんまる
BL
貧乏男爵家の次男アルザスは、ある日父親から呼ばれ、王太子の閨係に選ばれたと言われる。 なぜ男の自分が?と戸惑いながらも、覚悟を決めて殿下の元へ行く。 しかし、殿下はただベッドに横たわり何もしてこない。 殿下には何か思いがあるようで。 《何故か男の僕が王子の閨係に選ばれました》の攻×受が立場的に逆転したお話です。 登場人物、設定は全く違います。 ※ショートショート集におまけ話を上げています。そちらも是非ご一読ください。 ※画像は男の子メーカーPicrewさんよりお借りしています。

結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった

BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。 にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。

パン屋の僕の勘違い【完】

おはぎ
BL
パン屋を営むミランは、毎朝、騎士団のためのパンを取りに来る副団長に恋心を抱いていた。だが、自分が空いてにされるはずないと、その気持ちに蓋をする日々。仲良くなった騎士のキトラと祭りに行くことになり、楽しみに出掛けた先で……。

遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。

月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」 幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。 「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」 何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。 「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」 そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。 僕、殿下に嫌われちゃったの? 実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。

弟と妹より劣る僕が自信家を演じてたら、部下にバレた件

ゆきりんご
BL
【重い感情を隠している年下敬語攻め×自己肯定感低い年上受け】 イリアスは職場で「優秀で顔もそこそこ良くて頼りになる上司」を演じているが、本当は自信がない。付き合っていた相手に振られることが続いてさらに自信をなくした。自棄になろうとしていたところを、気になっていた部下に止められて、成り行きで体の関係を持つことになり……?

処理中です...