14 / 25
CHAPTER1
Episode 11 / 長調の私
しおりを挟む
「いつものを頼む。アヴァ、どうする」
カフェの中は、午後の光で満たされていた。木の壁がほのかに温かい。帽子のつばをぼーっといじっていると、エプロンをかけた誰かがテーブル横に立ってこっちを見ていた。私は何をすればいいのか分からない。手元にはいろんな飲み物がたくさん描かれている紙が一枚。いや、二枚。美味しそう。
「どうするって?」
「こん中から、好きなのをお願いするんだ。店員さんに」
「え、あ、うーん、よくわかんないからジェスターと一緒で……」
「マジかよ、めちゃくちゃ苦いぞあれ!」
ベルジが口を大きくして言った。
「まって、えーっと……」
「レモンティー頼む」
「俺、ジンジャーで」
ティーだのコーヒーだの、似たような名前がずらりと並んでいる。ジェスターの紅茶瓶と一緒じゃないか、と思う。お店の人が静かにお辞儀して戻って行く。周りの控えめな話し声が、虫の囁きみたいに聞こえてくる。ティーカップを手に取る音とコースターに置く音の方が大きくて、天井までよく響いていた。
さっきからベルジと目が合わない。私は彼が話している時はずっと目を見ているのだけど、視線はひたすらジェスターの方へ泳ぎ続けている。そのことを口に出すのも、なんだか水面を乱しそうだった。でも、つい言い出しそうになる。
「お気に入りを探しとくんだな」
「何年かかるの……」
「そんな大変じゃないけどなー。コーヒー以外ほぼ甘いもんしかないよ」
ベルジがメニューの写真を指で囲いながら言った。
そんなちょっとした話をしていると、お店の人が盆を持って戻ってきた。これがレモンティー。琥珀みたいで綺麗な色だ。ジェスターのは黒に近くて、湯気を立てている。この何層も重なったような、少し埃っぽい香りは、おそらくコーヒーだ。ジンジャーと言っていたベルジのグラスは、泡が音を立てて上っている、見た目にも爽やかな飲み物だった。
「ごゆっくり」と言って、お店の人は目を細めたまま立ち去った。
とても細長い、紙の筒が刺さっていた。これはなんだ、とまじまじと私はそれを見た。これはレモンティーを美味しくするための何かなのか。でも空洞だ。つまんでみても、押し込んで潰してみても、何も出てこない。
「アヴァ……?」
ベルジが苦笑いしながらこちらを見て言った。彼の表情を見て、私は顔を隠したくなった。
「それ、ストローっていうんだよ」
「……な、なにするの、これ」
「蝶々が蜜を吸うみたいにして使うんだ。見てて」
ベルジは机の端に置いてあった小さな箱から、ストローを取り出した。ジンジャーにさして、それを咥える。彼の口がしぼむのが見えると、うっすらジンジャーが上がっていくのが見える。これは飲むための道具だったのだ。
私もさっそく真似してみる。くわえて、吸うようにして――。
「なにこれすごい。それにこれ、美味しいね」
「レモンティーは好きそうだと思ってた」
酸っぱくて甘い。ほんのり柑橘系の苦味も混じっている。ジェスターには悪いかもしれないけれど、紅茶よりはこっち派かもしれない。ストローをくわえて一口、二口。こんなに細い穴を上がってくるなんて、不思議。ベルジの飲んでいるジンジャーはどんな味がするのだろう。
「ベルジくん、それどんな味す――」
ベルジのグラスが、もう空になっている。氷が、底でカランと鳴った。
「え……」
「ん、これ好きでさ。勢いで飲んじゃうんだよねいつも、ははは」
手をいっぱいに広げたくらいの長さはあるグラスだったのに。ちょっとずつ飲むものではないのか。ジェスターはただ鼻で笑った。
ピアノの高い和音が響いている。どこからか音楽が流れている。弾んでいる。コントラバスの弦が指板を擦る音も、よく聞こえる。ベルジは氷だけになったグラスを、繰り返し口に運んでいる。小さくなった氷は、音を立ててかじっていた。
「そうだ、よく調べられたな?」
ベルジのグラスから氷が無くなると、ずっと笑みを浮かべていたジェスターが口を開いた。
「つっても家の名札をざざっと見ただけですよ」
「ご苦労さん」
「まあ休みだったんでね。結局、何もわかんなかったけど――あ、昨日ほんとにごめんな、……怒ってない、よな?」
「ん」
急に私の方に声がぶつかってきて、何のことを言っているのか、一瞬分からなかった。鳴っている音楽にすっかり耳を奪われていた。
「お前に、その、銃ぶっぱなしたろ、俺」
「ああいいの、全然。助かったから」
本当にそう言っていいのか、言葉を吐き出したあとで迷った。ベルジは、ふう、と怪物から逃げきれたみたいな表情を浮かべた。
「良かった……俺ずっと気にしてたわ……。もっかい会ったら謝ろうと思ってたんだけどさ、頭が回んなくてさっき忘れてた」
ベルジはもう何度も謝っている。でも、怒ってないかと言われると、それはやっぱり嘘になると思う。ここでそれをそのままぶつけても、人柄からして、彼は全部抱え込んでしまいそうだ。
「でも怖かったよ。もうちょっとさ、あるんじゃない?」
「うん……俺もいろいろ、気をつけてるんだけど、なかなかなぁ」
相変わらず、目が合わない。そんなに私は鬼みたいな顔をしているだろうか。でも、怒っているつもりはまったくない。彼にもそうは見えていないはずだ。出会った時から、彼と目が合ったのは指で数えられるほどしかない。
「ベルジくん……」
「な、なに?」
「なんで目……合わせてくれないの?」
ずっと思っていたものだから、つい口に出してみた。良かったのかどうか分からないが、彼の目の魚がすごい勢いで暴れだした。体まで揺れている。そんなに大変なことを言っただろうか。ジェスターにいつも話しているみたいにしてくれればいいのに。
「こ、こうか、あれ?あはは、目、合ってなかった?あれ?ははは」
「ん?」
「いや、べ、別に……」
くすくすとジェスターがずっと笑っている。動揺、というのか。レモンティーがさっきより酸っぱく感じる。冷めてきたからではない。内緒話を目の前でされているみたいで、むず痒い。
「ジェスター、ベルジくんがおかしい……」
「ベルジはあんま人付き合い慣れてないんだよ」
カップで口を隠しながら、ジェスターがそう言ったのが聞こえた。
「ちょ、ちょっと……!」
「そうなんだ、意外」
レモンティーをもう一口。ほんのりと甘くなった。図星な感じが彼らしい。ころころと周りの言葉に流される感じ。私が強く当たってしまった時も、すんなりと別人みたいに態度を変えていた。
「ベルジくんおもしろいね」
「え?あ、ありがとう……?……ありがとうって、なんだ?」
私はくすくすと笑ってしまった。自分が人を茶化していることに、不思議な気持ちになった。私だって人付き合いは慣れていない。ジェスターみたいにいろんな言い回しで会話を弾ませられるのには憧れている。
「ベルジ勘違いすんなよな、褒め言葉じゃないからな」
「え、そんな」
「ジェスター……」
「冗談だよ冗談」
三人いっしょに笑うのは初めてだ。ベルジが一瞬だけ、私を見た。すぐに目をそらしたけれど嬉しかった。
先の見えなかったあの時からは想像ができなかった今。やっぱり、起きるまで何が起こるか分からない。私の過去だって、思いもよらないところで目の前に現れたりするかもしれない。そう考えると、少しだけ前向きな気持ちになれた。
「あ、甘いもん、食べたい……」
ベルジはほっぺを膨らませてメニューを見る。人差し指で音を立てながら。口に出さずとも、すぐ体に出るみたいだ。本当におもしろい。
「パフェ……!アヴァ、パフェ食ったことある?」
「ぱ?……ん?」
「無いな!よしパフェ2つ!と、取ってくる!」
足場がぐらついているかのように、ずっと安定しない歩き方で席を外した。ジェスターは仕事が終わった時みたいな表情でため息をついた。
「あいつ……分かりやすいよな」ジェスターが一口。
「ベルジくん人付き合い慣れてないって、ほんと?」
二人きりになったから、気になっていたことをジェスターに聞いてみた。彼はコーヒーを飲んでいる最中で、私の言葉にスプーンの音を鳴らしながら吹き出した。慌てて咳払いをして、ハンカチで拭き取っている。
「え、ごめん、なんか聞いちゃダメだった……?」
「いや、そんなはっきり言うもんだから……」
ハンカチを丁寧に折りたたんで、カップの横に置いた。
「あいつは――ひとりぼっちだ」
「そうなの?ベルジくんも、迷子とか?」
「いや、そうじゃない。ひとりぼっちっていうか、あいつの友達を見たことないんだ。常に見てる訳じゃないから、ほんとのところはどうだか知らないけどな。でも休みの日とかはよく来てくれたり、それに、あいつの話を聞く感じはな」
「友達……」
「一緒に遊んだり、くだんない話しても楽しいって思える人のことだ」
「ベルジくんだ」
「それ聞いたらあいつ喜ぶぞ?いや、言わない方がいいかな」
「どうして?」
「まあ、嫌なもんなんだよ」
「ベルジくんもいっぱい悩み事あるんだね」
「あったりまえよ。平気なフリしてるやつが実はめちゃくちゃ苦労してたりな?」
「ジェスターも?」
「俺?フリに見えるか?」
「ぜーんぜん」
静かに私は笑いながら、ティーカップをコースターに置いて、遠くにいるベルジを見た。家のと比べ物にならないほど広そうなキッチンを背にした女の人と話している。メニューでも置かれているのか、指をさして口を動かしていた。とても難しそうな顔をしている。パフェっていうものは、あそこまでしないと食べられないのだろうか。彼の目線の先を見ると、女の人の首あたりだった。
「私と話してる時、なんであんなにあわあわしてるんだろ」
「……お前を相手にしてから変な調子の狂い方してる。まあ、うん」
「私……そんなに怖いかな。許してるのに……」
「いや、そういうんじゃなくってな、ありゃたぶんお前のこと好きだぜ」
「……じゃあそう言えばいいのに」
納得いくような、いかないような。そこまで調子を狂わせるほど、私は何かを言っただろうか。ジェスターの言うベルジ像が、私の知っている彼と乖離しすぎている。ぜんぶ受け入れてくれるような優しさで接してくれている。こんなによく私の事気にかけてくれるのに。
「ど、どっちがいい?チョコ多めか、クリーム多めか」
「私は分か……いや、チョコで」
「だと思った!」
大きなグラスにめいっぱい入った白くて冷たいクリームに、カラフルな粒粒が振りかけてある。濃い色のチョコレートが覆いかぶさっていて、その上にまた白。見た目以上に重たくて、つい落としそうになった。
ベルジが私の前に座って、目まぐるしい速さで食べ始める。まさに誰かと競うような速さで。
上から慎重にスプーンですくって口へ運んでみる。甘くて冷たい。溶けて一瞬で飲み物みたいになる。舌が麻痺しそうなくらい、レモンティーの後味が跡形もなく消えてしまう。でも、信じられないほど美味しくて、たぶん私の頬はずっと上がっている。
「パフェ?だっけ、私好き」
「よかったー、ここ来たら食わなきゃ」
「冷たいのは懲り懲りだぜ……」
ジェスターはコーヒーを全部飲み干した。空になったカップがベルのように、スプーンの音を響かせた。
「ねえ、ベルジくんって私のこと好き?」
それを言った途端に、ベルジは飛び出しそうな目と口に含んだクリームを受け止めるように前かがみになった。ジェスターは歯を見せて、口の奥をしめて声をこらえている。なぜか静まり返っているものだから、体を小さくした。
「……えと、え?あ、なんて、いえばいいんだっけ、あはは……」
「そんなに、迷うことなの……?」
「え、いや、めっちゃストレートに聞くなあって……」
「私おかしいことゆった?……ジェスターも、なんで笑ってるの?」
「嫌いじゃない……じゃなくて、うん、好き」
「よかった、嫌いじゃないんだ」
クリームが甘く感じた。ベルジの声が震えているのも、ジェスターがお腹を抱えているのはよく分からないけれど、私は今、両足で立てていることを確かめられたような気持ちになっている。
「……話、変えるけどアヴァ、気になってたんだ、車とか本当に知らなかったのか?」
ベルジは口に含んだものを飲み込んでから言った。
「最初見た時、乗り物かなとは、思ったんだけど……。はじめて見た」
「パフェも知らなそうだしさ、やっぱ普通じゃないよ。ほんとにもっと、病気とかそっち系じゃないかと思うんだけど」
「病院の先生は、体には問題ないって……」
「って言われてもな――そんなに酷い記憶喪失聞いたことないからさ」
先生の言っていた、記憶の粒みたいな概念。私の思っているよりも記憶というのはもっと、手に取って自由に扱えたりするものなのかもしれない。そんなことができるのなら、とっくに私の記憶は戻っているはずだ。それは叶っていない。
すっかり溶けてしまった下の方のクリームもすくって、ぜんぶ食べ終えた。またここへ来た時にはぜひ食べたい。ベルジの食べていた、クリーム多めの方でもいい。チョコレートは好きだった。
「美味しかった。ちょっと、体冷えた」
「良かった、まだいっぱいメニューあるからさ、また今度来ようぜ」
「ありがとう」
「ジェスターさん、パフェ代もぜんぶ、俺が払いますからね!」
「いつもそうしてくれ」
音楽が変わっている。さっきよりもテンポが上がっている。川のせせらぎに鳥のさえずりみたいなフレーズだったピアノが、つい足でリズムを取りたくなるスウィングになっていた。つられて体が揺れて、首が横へ動く。
「アヴァ、もしかして音楽好き?」
動いていたのに気づかれていたらしく、顔を隠したくなった。ずっと目合わせてなかったくせに、私がそっぽ向いている時は見ているんだ。なんだかずるい。
「うん。なんだか音楽って、作った人の思いとかがさ、ギュって固まってる結晶みたいで。ああ、昔の私が音楽家なら、絶対その曲聴いて思い出すのに」
「……なんかすげえ芸術家みたいなこと言うな。ほんとに音楽家だったんじゃないか?」
「まだ16だぞ」
「16!?同じじゃん!」
「でも今までのこと覚えてないし、16年も生きてる実感ぜんぜん無い」
「え、じゃあ0歳?世界一でかい赤ちゃんだなー」
くすくすと、迷惑にならないくらいの声で三人で笑いをこらえる。ジェスターは咳払いを繰り返し、ベルジは太ももを叩いている。くだらない話をしている時が、実は一番くだらなくなかったりするんだろう。だからこそ、日常の中の小さな橋みたいな時間が光るのだと思う。今日ここへ来て、本当に良かった。
音楽が、さっきより少しだけ明るい方へと転調したように聴こえた。
カフェの中は、午後の光で満たされていた。木の壁がほのかに温かい。帽子のつばをぼーっといじっていると、エプロンをかけた誰かがテーブル横に立ってこっちを見ていた。私は何をすればいいのか分からない。手元にはいろんな飲み物がたくさん描かれている紙が一枚。いや、二枚。美味しそう。
「どうするって?」
「こん中から、好きなのをお願いするんだ。店員さんに」
「え、あ、うーん、よくわかんないからジェスターと一緒で……」
「マジかよ、めちゃくちゃ苦いぞあれ!」
ベルジが口を大きくして言った。
「まって、えーっと……」
「レモンティー頼む」
「俺、ジンジャーで」
ティーだのコーヒーだの、似たような名前がずらりと並んでいる。ジェスターの紅茶瓶と一緒じゃないか、と思う。お店の人が静かにお辞儀して戻って行く。周りの控えめな話し声が、虫の囁きみたいに聞こえてくる。ティーカップを手に取る音とコースターに置く音の方が大きくて、天井までよく響いていた。
さっきからベルジと目が合わない。私は彼が話している時はずっと目を見ているのだけど、視線はひたすらジェスターの方へ泳ぎ続けている。そのことを口に出すのも、なんだか水面を乱しそうだった。でも、つい言い出しそうになる。
「お気に入りを探しとくんだな」
「何年かかるの……」
「そんな大変じゃないけどなー。コーヒー以外ほぼ甘いもんしかないよ」
ベルジがメニューの写真を指で囲いながら言った。
そんなちょっとした話をしていると、お店の人が盆を持って戻ってきた。これがレモンティー。琥珀みたいで綺麗な色だ。ジェスターのは黒に近くて、湯気を立てている。この何層も重なったような、少し埃っぽい香りは、おそらくコーヒーだ。ジンジャーと言っていたベルジのグラスは、泡が音を立てて上っている、見た目にも爽やかな飲み物だった。
「ごゆっくり」と言って、お店の人は目を細めたまま立ち去った。
とても細長い、紙の筒が刺さっていた。これはなんだ、とまじまじと私はそれを見た。これはレモンティーを美味しくするための何かなのか。でも空洞だ。つまんでみても、押し込んで潰してみても、何も出てこない。
「アヴァ……?」
ベルジが苦笑いしながらこちらを見て言った。彼の表情を見て、私は顔を隠したくなった。
「それ、ストローっていうんだよ」
「……な、なにするの、これ」
「蝶々が蜜を吸うみたいにして使うんだ。見てて」
ベルジは机の端に置いてあった小さな箱から、ストローを取り出した。ジンジャーにさして、それを咥える。彼の口がしぼむのが見えると、うっすらジンジャーが上がっていくのが見える。これは飲むための道具だったのだ。
私もさっそく真似してみる。くわえて、吸うようにして――。
「なにこれすごい。それにこれ、美味しいね」
「レモンティーは好きそうだと思ってた」
酸っぱくて甘い。ほんのり柑橘系の苦味も混じっている。ジェスターには悪いかもしれないけれど、紅茶よりはこっち派かもしれない。ストローをくわえて一口、二口。こんなに細い穴を上がってくるなんて、不思議。ベルジの飲んでいるジンジャーはどんな味がするのだろう。
「ベルジくん、それどんな味す――」
ベルジのグラスが、もう空になっている。氷が、底でカランと鳴った。
「え……」
「ん、これ好きでさ。勢いで飲んじゃうんだよねいつも、ははは」
手をいっぱいに広げたくらいの長さはあるグラスだったのに。ちょっとずつ飲むものではないのか。ジェスターはただ鼻で笑った。
ピアノの高い和音が響いている。どこからか音楽が流れている。弾んでいる。コントラバスの弦が指板を擦る音も、よく聞こえる。ベルジは氷だけになったグラスを、繰り返し口に運んでいる。小さくなった氷は、音を立ててかじっていた。
「そうだ、よく調べられたな?」
ベルジのグラスから氷が無くなると、ずっと笑みを浮かべていたジェスターが口を開いた。
「つっても家の名札をざざっと見ただけですよ」
「ご苦労さん」
「まあ休みだったんでね。結局、何もわかんなかったけど――あ、昨日ほんとにごめんな、……怒ってない、よな?」
「ん」
急に私の方に声がぶつかってきて、何のことを言っているのか、一瞬分からなかった。鳴っている音楽にすっかり耳を奪われていた。
「お前に、その、銃ぶっぱなしたろ、俺」
「ああいいの、全然。助かったから」
本当にそう言っていいのか、言葉を吐き出したあとで迷った。ベルジは、ふう、と怪物から逃げきれたみたいな表情を浮かべた。
「良かった……俺ずっと気にしてたわ……。もっかい会ったら謝ろうと思ってたんだけどさ、頭が回んなくてさっき忘れてた」
ベルジはもう何度も謝っている。でも、怒ってないかと言われると、それはやっぱり嘘になると思う。ここでそれをそのままぶつけても、人柄からして、彼は全部抱え込んでしまいそうだ。
「でも怖かったよ。もうちょっとさ、あるんじゃない?」
「うん……俺もいろいろ、気をつけてるんだけど、なかなかなぁ」
相変わらず、目が合わない。そんなに私は鬼みたいな顔をしているだろうか。でも、怒っているつもりはまったくない。彼にもそうは見えていないはずだ。出会った時から、彼と目が合ったのは指で数えられるほどしかない。
「ベルジくん……」
「な、なに?」
「なんで目……合わせてくれないの?」
ずっと思っていたものだから、つい口に出してみた。良かったのかどうか分からないが、彼の目の魚がすごい勢いで暴れだした。体まで揺れている。そんなに大変なことを言っただろうか。ジェスターにいつも話しているみたいにしてくれればいいのに。
「こ、こうか、あれ?あはは、目、合ってなかった?あれ?ははは」
「ん?」
「いや、べ、別に……」
くすくすとジェスターがずっと笑っている。動揺、というのか。レモンティーがさっきより酸っぱく感じる。冷めてきたからではない。内緒話を目の前でされているみたいで、むず痒い。
「ジェスター、ベルジくんがおかしい……」
「ベルジはあんま人付き合い慣れてないんだよ」
カップで口を隠しながら、ジェスターがそう言ったのが聞こえた。
「ちょ、ちょっと……!」
「そうなんだ、意外」
レモンティーをもう一口。ほんのりと甘くなった。図星な感じが彼らしい。ころころと周りの言葉に流される感じ。私が強く当たってしまった時も、すんなりと別人みたいに態度を変えていた。
「ベルジくんおもしろいね」
「え?あ、ありがとう……?……ありがとうって、なんだ?」
私はくすくすと笑ってしまった。自分が人を茶化していることに、不思議な気持ちになった。私だって人付き合いは慣れていない。ジェスターみたいにいろんな言い回しで会話を弾ませられるのには憧れている。
「ベルジ勘違いすんなよな、褒め言葉じゃないからな」
「え、そんな」
「ジェスター……」
「冗談だよ冗談」
三人いっしょに笑うのは初めてだ。ベルジが一瞬だけ、私を見た。すぐに目をそらしたけれど嬉しかった。
先の見えなかったあの時からは想像ができなかった今。やっぱり、起きるまで何が起こるか分からない。私の過去だって、思いもよらないところで目の前に現れたりするかもしれない。そう考えると、少しだけ前向きな気持ちになれた。
「あ、甘いもん、食べたい……」
ベルジはほっぺを膨らませてメニューを見る。人差し指で音を立てながら。口に出さずとも、すぐ体に出るみたいだ。本当におもしろい。
「パフェ……!アヴァ、パフェ食ったことある?」
「ぱ?……ん?」
「無いな!よしパフェ2つ!と、取ってくる!」
足場がぐらついているかのように、ずっと安定しない歩き方で席を外した。ジェスターは仕事が終わった時みたいな表情でため息をついた。
「あいつ……分かりやすいよな」ジェスターが一口。
「ベルジくん人付き合い慣れてないって、ほんと?」
二人きりになったから、気になっていたことをジェスターに聞いてみた。彼はコーヒーを飲んでいる最中で、私の言葉にスプーンの音を鳴らしながら吹き出した。慌てて咳払いをして、ハンカチで拭き取っている。
「え、ごめん、なんか聞いちゃダメだった……?」
「いや、そんなはっきり言うもんだから……」
ハンカチを丁寧に折りたたんで、カップの横に置いた。
「あいつは――ひとりぼっちだ」
「そうなの?ベルジくんも、迷子とか?」
「いや、そうじゃない。ひとりぼっちっていうか、あいつの友達を見たことないんだ。常に見てる訳じゃないから、ほんとのところはどうだか知らないけどな。でも休みの日とかはよく来てくれたり、それに、あいつの話を聞く感じはな」
「友達……」
「一緒に遊んだり、くだんない話しても楽しいって思える人のことだ」
「ベルジくんだ」
「それ聞いたらあいつ喜ぶぞ?いや、言わない方がいいかな」
「どうして?」
「まあ、嫌なもんなんだよ」
「ベルジくんもいっぱい悩み事あるんだね」
「あったりまえよ。平気なフリしてるやつが実はめちゃくちゃ苦労してたりな?」
「ジェスターも?」
「俺?フリに見えるか?」
「ぜーんぜん」
静かに私は笑いながら、ティーカップをコースターに置いて、遠くにいるベルジを見た。家のと比べ物にならないほど広そうなキッチンを背にした女の人と話している。メニューでも置かれているのか、指をさして口を動かしていた。とても難しそうな顔をしている。パフェっていうものは、あそこまでしないと食べられないのだろうか。彼の目線の先を見ると、女の人の首あたりだった。
「私と話してる時、なんであんなにあわあわしてるんだろ」
「……お前を相手にしてから変な調子の狂い方してる。まあ、うん」
「私……そんなに怖いかな。許してるのに……」
「いや、そういうんじゃなくってな、ありゃたぶんお前のこと好きだぜ」
「……じゃあそう言えばいいのに」
納得いくような、いかないような。そこまで調子を狂わせるほど、私は何かを言っただろうか。ジェスターの言うベルジ像が、私の知っている彼と乖離しすぎている。ぜんぶ受け入れてくれるような優しさで接してくれている。こんなによく私の事気にかけてくれるのに。
「ど、どっちがいい?チョコ多めか、クリーム多めか」
「私は分か……いや、チョコで」
「だと思った!」
大きなグラスにめいっぱい入った白くて冷たいクリームに、カラフルな粒粒が振りかけてある。濃い色のチョコレートが覆いかぶさっていて、その上にまた白。見た目以上に重たくて、つい落としそうになった。
ベルジが私の前に座って、目まぐるしい速さで食べ始める。まさに誰かと競うような速さで。
上から慎重にスプーンですくって口へ運んでみる。甘くて冷たい。溶けて一瞬で飲み物みたいになる。舌が麻痺しそうなくらい、レモンティーの後味が跡形もなく消えてしまう。でも、信じられないほど美味しくて、たぶん私の頬はずっと上がっている。
「パフェ?だっけ、私好き」
「よかったー、ここ来たら食わなきゃ」
「冷たいのは懲り懲りだぜ……」
ジェスターはコーヒーを全部飲み干した。空になったカップがベルのように、スプーンの音を響かせた。
「ねえ、ベルジくんって私のこと好き?」
それを言った途端に、ベルジは飛び出しそうな目と口に含んだクリームを受け止めるように前かがみになった。ジェスターは歯を見せて、口の奥をしめて声をこらえている。なぜか静まり返っているものだから、体を小さくした。
「……えと、え?あ、なんて、いえばいいんだっけ、あはは……」
「そんなに、迷うことなの……?」
「え、いや、めっちゃストレートに聞くなあって……」
「私おかしいことゆった?……ジェスターも、なんで笑ってるの?」
「嫌いじゃない……じゃなくて、うん、好き」
「よかった、嫌いじゃないんだ」
クリームが甘く感じた。ベルジの声が震えているのも、ジェスターがお腹を抱えているのはよく分からないけれど、私は今、両足で立てていることを確かめられたような気持ちになっている。
「……話、変えるけどアヴァ、気になってたんだ、車とか本当に知らなかったのか?」
ベルジは口に含んだものを飲み込んでから言った。
「最初見た時、乗り物かなとは、思ったんだけど……。はじめて見た」
「パフェも知らなそうだしさ、やっぱ普通じゃないよ。ほんとにもっと、病気とかそっち系じゃないかと思うんだけど」
「病院の先生は、体には問題ないって……」
「って言われてもな――そんなに酷い記憶喪失聞いたことないからさ」
先生の言っていた、記憶の粒みたいな概念。私の思っているよりも記憶というのはもっと、手に取って自由に扱えたりするものなのかもしれない。そんなことができるのなら、とっくに私の記憶は戻っているはずだ。それは叶っていない。
すっかり溶けてしまった下の方のクリームもすくって、ぜんぶ食べ終えた。またここへ来た時にはぜひ食べたい。ベルジの食べていた、クリーム多めの方でもいい。チョコレートは好きだった。
「美味しかった。ちょっと、体冷えた」
「良かった、まだいっぱいメニューあるからさ、また今度来ようぜ」
「ありがとう」
「ジェスターさん、パフェ代もぜんぶ、俺が払いますからね!」
「いつもそうしてくれ」
音楽が変わっている。さっきよりもテンポが上がっている。川のせせらぎに鳥のさえずりみたいなフレーズだったピアノが、つい足でリズムを取りたくなるスウィングになっていた。つられて体が揺れて、首が横へ動く。
「アヴァ、もしかして音楽好き?」
動いていたのに気づかれていたらしく、顔を隠したくなった。ずっと目合わせてなかったくせに、私がそっぽ向いている時は見ているんだ。なんだかずるい。
「うん。なんだか音楽って、作った人の思いとかがさ、ギュって固まってる結晶みたいで。ああ、昔の私が音楽家なら、絶対その曲聴いて思い出すのに」
「……なんかすげえ芸術家みたいなこと言うな。ほんとに音楽家だったんじゃないか?」
「まだ16だぞ」
「16!?同じじゃん!」
「でも今までのこと覚えてないし、16年も生きてる実感ぜんぜん無い」
「え、じゃあ0歳?世界一でかい赤ちゃんだなー」
くすくすと、迷惑にならないくらいの声で三人で笑いをこらえる。ジェスターは咳払いを繰り返し、ベルジは太ももを叩いている。くだらない話をしている時が、実は一番くだらなくなかったりするんだろう。だからこそ、日常の中の小さな橋みたいな時間が光るのだと思う。今日ここへ来て、本当に良かった。
音楽が、さっきより少しだけ明るい方へと転調したように聴こえた。
0
あなたにおすすめの小説
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる