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第5話 Mattie, a Cute Stuffed Bear
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「――っ」
そして。
あたしは目を開けた。
「……」
そこは、あたしの家。
もう、想い出のカケラひとつ残されてはいないあたしの家。
すべて粉々になって朽ちかけた窓枠からは嫌になるほど青々とした空が見える。無分別に、無雑作に撒き散らかされている瓦礫の中に埋もれるように、もたれかかるようにしてあたしはその青空を背景にして鎮座している銀色に輝く玉座を見ていた。
「戻ってきたようだ」
『彼』の声が左手の方から聴こえてそちらに視線を落とすと、ミルクティー色をしたクマのぬいぐるみがあたしを見つめていた。あたしはうなずき、それから再び前を向いた。
「そう……ここがあたしの家。あたしの家だった場所です」
「身体に不調はないだろうか?」
「あ――」
そう尋ねられて、はっ、と気づく。薄く積もった粉塵を手で押し退けてみると、その下にあたしの両足が見えた。温かく、感触もある。怪我どころか、傷ひとつ負っていないみたい。
あたしはゆっくりと膝を立て、両足を抱え込むようにしてチカラを込めて立ち上がった。
「問題は解消したのか?」
「はい。立てます。前よりも元気なくらいです。もしかして、あの人が治してくれた――?」
「……分からない。だが、そう考えておけばいいだろう」
あたしはもう一度うなずいた。
それから、空いている右手も添えて、優しくクマのぬいぐるみを目の前に抱きかかえた。
「あの……あたしはあなたのことをなんて呼べばいいのでしょうか?」
「私も君のことは分からない。まだ」
「あ……っ、そう……でしたよね」
あたしは目の前の黒いプラスチックでできたふたつのまん丸な瞳を見つめてこう続けた。
「あたしは、碧。暮森碧と言います。浦和暁月女子高等学校の二年生です。碧と呼んで下さい」
「理解した」
けれど。
あたしはいつまでも返ってこない『彼』の言葉に痺れを切らしておそるおそる尋ねた。
「えっと……あの、あなたの名前は……?」
「必要だろうか?」
「……え」
さすがに呼び方が分からないんじゃあ困ってしまう。『クマさん』と呼ぶのも変だろうし、そんなの『彼』だって嫌なはずだ。それよりなにより『必要かどうか』なんて質問はじめてで驚いてしまった。
「あの……これから一緒に過ごすことになるんですよね? でしたら、あたしはあなたの名前が知りたいです。ほ、ほら、お呼びする時に困ってしまいますので――」
「そうか」
しばらく返事が戻って来ないので心配になる。
が、やがてクマのぬいぐるみはこう言った。
「では、私のことは『Karhu』と呼んでくれればいい」
「えっと……」
もしかしてジョークのつもりなのかな。
けれど、よりによって――。
「それ……フィンランド語で『クマ』って意味ですよね? もしかしてあたし……からかわれてます? あたし、ひいおじいちゃんがフィンランド人なので、少しくらいは分かるんですよ?」
「駄目だろうか」
「だろうか、って言われましても……」
なんか不思議な人だ。
言葉だけ聞くとすごくぶっきらぼうだし、感情の起伏も少ないし、とっつきづらい印象があるけれど、低い声のトーンが穏やかに響いて、本当は優しい人なんじゃないかな、って思える。
きっと悪気はないんだろう。
言えない事情とかがあるのかもしれないし。
「えっとですね……」
困ったあたしは、遠慮がちにこう話しかけた。
「あの、もし、あなた側の複雑な事情があるようでしたら、あだ名でもいいんですけど……」
「『Karhu』では難しいのだろうか」
「さ、さすがにクマのぬいぐるみに『クマ』って名付ける人はいないと思いますよ?」
「ううむ」
すると『彼』は、弱りきったようにひと言呻くと、それきり黙り込んでしまった。
ますます困ってしまったあたしは、慌てて助け舟を出すことにした。
「なにか……あなたの事情で、本当の名前を名乗ってはいけない、そういう規則とかがあるんですよね? きっと。軍隊とか所属している組織で定められた厳しい規則とかで。ですよね?」
「すまない……」
「いえいえいえ! いいんですいいんです!」
やっぱり図星だったみたいだ。
「でしたら……あたしがあなたの呼び名を考える、っていうのはどうでしょうか?」
「……頼めるのか?」
「え、ええ。もちろんです!」
と、引き受けたまではよかったけれど、『彼』はペットじゃなくってひとりの人間だ。誰かに名前を付けたことなんて一度もないし、まだ高二のあたしじゃあ当分の間は無縁だろう。
(フィンランド語を使ったってことは、外国の人だよね……日本人じゃまずありえないもん)
今までいろんな子と仲良くなったけれど、さすがにフィンランド語なんて知ってる子はひとりもいなかった。そもそも、フィンランドについて知っていることなんて、『寒い』くらいが関の山だ。
だったら……そうだ!
「『Matti』、そう呼んでもいいでしょうか?」
「ありがとう。……なにか意味があるのだろうか?」
……あれ?
おかしいな?
たまたま知っていただけだったのかもしれない。
「『Matti』はフィンランド語で『王手詰み』という意味ですよ。フィンランドでも人気のある男性の名前のひとつなんです」
そこまで口に出してから、あたしの笑顔がややぎこちなくなるのが自分でも分かった。
「あ、あなたは『ヤツら』のことに詳しくて……戦うことができて……こ、殺すこともできるんだ、って……あの人が言っていましたから。それで……」
「なるほど。それは正しいだろう、アオイ」
早速『彼』はあたしの名前を呼んでくれた。
いやいや、『彼』じゃない、マッティさんだ。
それにしても……男性にファーストネームで呼ばれる経験があまりなかったから……とっても恥ずかしい。
「マッティは『ヤツら』について詳しい。戦うことも、殺すこともできる」
クマのマッティさんはそう言うと、あたしに抱きかかえられた体勢で背後にある例の玉座を手ぶりで指し示した。あたしは彼に導かれるままに、できるだけ音を立てないように近づいた。
「だからマッティは、アオイを手伝うことができるはずだ。アオイの大事な物を取り返す手助けができるはずだ。だが……そのためにはアオイ、君にも知ってもらうことが数多くある」
そしてマッティさんは、あたしの手を借りて玉座のひじ掛けのあたりに立つと、その中をふわふわの右手で指し示した。あたしはつい釣られて、ひょい、と覗き込んで――。
後悔した。
「う……っ」
その玉座の足元あたりに、あの不気味な粘液質のナメクジのような黄色い生物が横たわっていたから。たちまち恐怖が蘇り、反射的に身を引こうとして――もしかして……死んでいる?
「……これが『ヤツら』だ。マッティたちは、これを『ノグド』と呼んでいる」
「『ノグド』……ですか。どういう意味なんです?」
「『良くないもの』だ」
たしかに。
けれど、あたしにはどうしても気になることがあった。
「あの……マッティさん――?」
「『マッティさん』は私の名ではない。アオイが名付けた。『マッティ』だけでいい」
「じゃあ、マッティ? ひとつ聞いてもいいでしょうか?」
「もちろん」
「この『ノグド』は、あたしが見た『ヤツら』とは違います。あたしが見たのは赤かったから」
クマのマッティはすぐにはこたえず、そのプラスチック製の目でしばらく観察してから言う。
「……同じとも言えるし、違うとも言える。マッティは『ノグド』の計画を阻止する使命を受けてここにやってきた。その途中で不幸な事故があった。そのため、この身体を借りている」
「じゃあマッティは、どこかの国の軍隊とか諜報機関に所属している人ってことなんですね?」
「ああ。マッティはそう考えてもらって構わない」
マッティの事務的な口調って、やっぱりその手の組織で訓練された影響なんだろうか。それとも、もしかしてあたしの知らない言語から自動翻訳されたりしている影響なのかな。あの人の授けてくれた贈り物かなにかで、なんてね。にしても、なんだかちょっと変わった話し方だ。
「なんとしてでもマッティは彼らの愚かな計画を阻止しなければならない」
「その『計画』ってなんですか?」
マッティは振り返りあたしを見つめ、平坦な口調で静かにこう告げる。
「侵略。そして、この世界を支配することだ」
そして。
あたしは目を開けた。
「……」
そこは、あたしの家。
もう、想い出のカケラひとつ残されてはいないあたしの家。
すべて粉々になって朽ちかけた窓枠からは嫌になるほど青々とした空が見える。無分別に、無雑作に撒き散らかされている瓦礫の中に埋もれるように、もたれかかるようにしてあたしはその青空を背景にして鎮座している銀色に輝く玉座を見ていた。
「戻ってきたようだ」
『彼』の声が左手の方から聴こえてそちらに視線を落とすと、ミルクティー色をしたクマのぬいぐるみがあたしを見つめていた。あたしはうなずき、それから再び前を向いた。
「そう……ここがあたしの家。あたしの家だった場所です」
「身体に不調はないだろうか?」
「あ――」
そう尋ねられて、はっ、と気づく。薄く積もった粉塵を手で押し退けてみると、その下にあたしの両足が見えた。温かく、感触もある。怪我どころか、傷ひとつ負っていないみたい。
あたしはゆっくりと膝を立て、両足を抱え込むようにしてチカラを込めて立ち上がった。
「問題は解消したのか?」
「はい。立てます。前よりも元気なくらいです。もしかして、あの人が治してくれた――?」
「……分からない。だが、そう考えておけばいいだろう」
あたしはもう一度うなずいた。
それから、空いている右手も添えて、優しくクマのぬいぐるみを目の前に抱きかかえた。
「あの……あたしはあなたのことをなんて呼べばいいのでしょうか?」
「私も君のことは分からない。まだ」
「あ……っ、そう……でしたよね」
あたしは目の前の黒いプラスチックでできたふたつのまん丸な瞳を見つめてこう続けた。
「あたしは、碧。暮森碧と言います。浦和暁月女子高等学校の二年生です。碧と呼んで下さい」
「理解した」
けれど。
あたしはいつまでも返ってこない『彼』の言葉に痺れを切らしておそるおそる尋ねた。
「えっと……あの、あなたの名前は……?」
「必要だろうか?」
「……え」
さすがに呼び方が分からないんじゃあ困ってしまう。『クマさん』と呼ぶのも変だろうし、そんなの『彼』だって嫌なはずだ。それよりなにより『必要かどうか』なんて質問はじめてで驚いてしまった。
「あの……これから一緒に過ごすことになるんですよね? でしたら、あたしはあなたの名前が知りたいです。ほ、ほら、お呼びする時に困ってしまいますので――」
「そうか」
しばらく返事が戻って来ないので心配になる。
が、やがてクマのぬいぐるみはこう言った。
「では、私のことは『Karhu』と呼んでくれればいい」
「えっと……」
もしかしてジョークのつもりなのかな。
けれど、よりによって――。
「それ……フィンランド語で『クマ』って意味ですよね? もしかしてあたし……からかわれてます? あたし、ひいおじいちゃんがフィンランド人なので、少しくらいは分かるんですよ?」
「駄目だろうか」
「だろうか、って言われましても……」
なんか不思議な人だ。
言葉だけ聞くとすごくぶっきらぼうだし、感情の起伏も少ないし、とっつきづらい印象があるけれど、低い声のトーンが穏やかに響いて、本当は優しい人なんじゃないかな、って思える。
きっと悪気はないんだろう。
言えない事情とかがあるのかもしれないし。
「えっとですね……」
困ったあたしは、遠慮がちにこう話しかけた。
「あの、もし、あなた側の複雑な事情があるようでしたら、あだ名でもいいんですけど……」
「『Karhu』では難しいのだろうか」
「さ、さすがにクマのぬいぐるみに『クマ』って名付ける人はいないと思いますよ?」
「ううむ」
すると『彼』は、弱りきったようにひと言呻くと、それきり黙り込んでしまった。
ますます困ってしまったあたしは、慌てて助け舟を出すことにした。
「なにか……あなたの事情で、本当の名前を名乗ってはいけない、そういう規則とかがあるんですよね? きっと。軍隊とか所属している組織で定められた厳しい規則とかで。ですよね?」
「すまない……」
「いえいえいえ! いいんですいいんです!」
やっぱり図星だったみたいだ。
「でしたら……あたしがあなたの呼び名を考える、っていうのはどうでしょうか?」
「……頼めるのか?」
「え、ええ。もちろんです!」
と、引き受けたまではよかったけれど、『彼』はペットじゃなくってひとりの人間だ。誰かに名前を付けたことなんて一度もないし、まだ高二のあたしじゃあ当分の間は無縁だろう。
(フィンランド語を使ったってことは、外国の人だよね……日本人じゃまずありえないもん)
今までいろんな子と仲良くなったけれど、さすがにフィンランド語なんて知ってる子はひとりもいなかった。そもそも、フィンランドについて知っていることなんて、『寒い』くらいが関の山だ。
だったら……そうだ!
「『Matti』、そう呼んでもいいでしょうか?」
「ありがとう。……なにか意味があるのだろうか?」
……あれ?
おかしいな?
たまたま知っていただけだったのかもしれない。
「『Matti』はフィンランド語で『王手詰み』という意味ですよ。フィンランドでも人気のある男性の名前のひとつなんです」
そこまで口に出してから、あたしの笑顔がややぎこちなくなるのが自分でも分かった。
「あ、あなたは『ヤツら』のことに詳しくて……戦うことができて……こ、殺すこともできるんだ、って……あの人が言っていましたから。それで……」
「なるほど。それは正しいだろう、アオイ」
早速『彼』はあたしの名前を呼んでくれた。
いやいや、『彼』じゃない、マッティさんだ。
それにしても……男性にファーストネームで呼ばれる経験があまりなかったから……とっても恥ずかしい。
「マッティは『ヤツら』について詳しい。戦うことも、殺すこともできる」
クマのマッティさんはそう言うと、あたしに抱きかかえられた体勢で背後にある例の玉座を手ぶりで指し示した。あたしは彼に導かれるままに、できるだけ音を立てないように近づいた。
「だからマッティは、アオイを手伝うことができるはずだ。アオイの大事な物を取り返す手助けができるはずだ。だが……そのためにはアオイ、君にも知ってもらうことが数多くある」
そしてマッティさんは、あたしの手を借りて玉座のひじ掛けのあたりに立つと、その中をふわふわの右手で指し示した。あたしはつい釣られて、ひょい、と覗き込んで――。
後悔した。
「う……っ」
その玉座の足元あたりに、あの不気味な粘液質のナメクジのような黄色い生物が横たわっていたから。たちまち恐怖が蘇り、反射的に身を引こうとして――もしかして……死んでいる?
「……これが『ヤツら』だ。マッティたちは、これを『ノグド』と呼んでいる」
「『ノグド』……ですか。どういう意味なんです?」
「『良くないもの』だ」
たしかに。
けれど、あたしにはどうしても気になることがあった。
「あの……マッティさん――?」
「『マッティさん』は私の名ではない。アオイが名付けた。『マッティ』だけでいい」
「じゃあ、マッティ? ひとつ聞いてもいいでしょうか?」
「もちろん」
「この『ノグド』は、あたしが見た『ヤツら』とは違います。あたしが見たのは赤かったから」
クマのマッティはすぐにはこたえず、そのプラスチック製の目でしばらく観察してから言う。
「……同じとも言えるし、違うとも言える。マッティは『ノグド』の計画を阻止する使命を受けてここにやってきた。その途中で不幸な事故があった。そのため、この身体を借りている」
「じゃあマッティは、どこかの国の軍隊とか諜報機関に所属している人ってことなんですね?」
「ああ。マッティはそう考えてもらって構わない」
マッティの事務的な口調って、やっぱりその手の組織で訓練された影響なんだろうか。それとも、もしかしてあたしの知らない言語から自動翻訳されたりしている影響なのかな。あの人の授けてくれた贈り物かなにかで、なんてね。にしても、なんだかちょっと変わった話し方だ。
「なんとしてでもマッティは彼らの愚かな計画を阻止しなければならない」
「その『計画』ってなんですか?」
マッティは振り返りあたしを見つめ、平坦な口調で静かにこう告げる。
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