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第158話 僕らの『がっしゅく!』三日目・アフター at 1995/7/29
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その日の夜――。
「じゃーん!! どーお? どーお? かーわいいっしょー?」
実に情けないことに、クラスでも選りすぐりの陰キャを集めた『電算論理研究部』の男子メンバー四人は、ロコのかけ声とともに姿を現した女子部員四名の装いに思わず声を失っていた。
「こーら、あんたたち、なんとかいいなさいよ? それとも……見とれちゃった? うふふー」
男子四人はそろいもそろって、ガクガクと声も出せずにうなずくのが精一杯。
それもそのはず。
ロコたち女子四人は、合宿最終日となるこの日のために、なんとも実にカラフルでかわいらしい、夜目にも鮮やかな色とりどりの浴衣を準備していたのであった。そっか……そういえば、ロコのお袋さんは和裁士だったっけ。
「ほーれほーれ! じっくり見とれるがいいわ! 学年トップの、美少女の浴衣姿だぞー!」
「なんかみんなの視線が……ち、ちょっと恥ずかしくなってきちゃったよぅ、ロコちゃん!」
「に、似合わないっていいたいんでしょ? わ、わかってるってば……もー! 見んなっ!」
「ゆ、浴衣なんて……今まで着たことなかったから……う、嬉しい……です……えへへ……」
ロコは、藍色を基調にした浴衣。大胆に縦にデザインされた朝顔の大輪が目を引く。隣の純美子は、ピンクをベースに、大きめの紅白の金魚――ランチュウが生き生きと描かれた浴衣で、とてもよく似合っていた。
その隣でガラにもなく照れたようにうちわで顔を隠している咲都子はというと、ライトベージュに紫の蓮をあしらったオトナっぽい浴衣。いかにも咲都子らしいというか落ち着いたデザインで、洗練された女性らしさが漂っていた。一番端で落ち着きなくきょろきょろと視線を泳がせている水無月さんは、赤・青・黄色のカラフルな手毬がデザインされたキュートな浴衣。これもまた、小柄な水無月さんをより可愛らしく引き立てていた。
「ち、ちょっと……! な、なんか言ったらどうなのよ、部長さん?」
「あ……い、いや、その……。みんな凄くキレイでさ……驚きすぎちゃって、言葉が……そのぅ」
なんともはや、我ながら情けないコメントしか出てこず、また冷やかされると思っていると、浴衣に身を包んだ女子四人は控えめに顔を見合わせ、頬を赤らめとっても嬉しそうに微笑んだ。
「うふふ。ありがと、ケンタ君! ロコちゃんがね、男子のみんなを驚かそうって、こっそり」
合宿前にロコのウチに集まって、着物選びから着付けの仕方、髪のまとめ方やメイクを一生懸命特訓してきたんだそうだ。なるほど、どうりで女子だけ荷物があんなに多かったわけだ。
「ほら、今夜が最後でしょ? このコテージでの合宿ってさ。で、アレやるんなら、ってさ」
「わ、私が……浴衣、着たことないって言ったら……ロコちゃんが……。に、似合って……ます?」
他人から見たらさぞかし滑稽だろうけれど、僕ら男子四人はひとりひとり浴衣姿の女子が発言するのにあわせて首を動かし、言葉にあわせて息を止めたままうなずくばかり。それくらい、四人の浴衣姿は、今まで見てきたどんな装いよりも、あでやかで、きらきらとしていたのだ。
「もー!」「ねー?」
やがて、浴衣姿の女子四人は、くすり、と笑みをこぼすと、ひとりずつ男子の手を引いて立ち上がらせる。純美子が僕を。咲都子が渋田を。水無月さんが五十嵐君を。ロコが佐倉君を。
「ほら、せっかく買ってきたんだから。合宿の思い出に、やろ? 打ち上げ花火はないけどね」
「森の中だからね。危ないかな、ってロコと話してさ。手持ちの奴だけど、きっと綺麗だよ?」
――シュッ!
パチパチパチパチ――。
「ひさしぶりにやると、やっぱ楽しいじゃんね、花火って。……ん? どしたの?」
「あ……あのさ、サトチン? 僕、もう一回……プロポーズしていい?」
「……ぷっ! あはははは! ばーか!」
「ちょ――!? あっぶな! 花火は人に向けるものじゃありません! あっつ!!」
火薬まで取り入れた超過激な夫婦漫才(?)を横目に見つつ、渋田がそんなキザなセリフを口走りたくなった気持ちもわかる僕ら。一本、また一本と、これからはじまる本格的な夏休みを予感しながら、僕らは山中湖で過ごす最後の夜を惜しむように花火に火をともしたのだった。
「じゃーん!! どーお? どーお? かーわいいっしょー?」
実に情けないことに、クラスでも選りすぐりの陰キャを集めた『電算論理研究部』の男子メンバー四人は、ロコのかけ声とともに姿を現した女子部員四名の装いに思わず声を失っていた。
「こーら、あんたたち、なんとかいいなさいよ? それとも……見とれちゃった? うふふー」
男子四人はそろいもそろって、ガクガクと声も出せずにうなずくのが精一杯。
それもそのはず。
ロコたち女子四人は、合宿最終日となるこの日のために、なんとも実にカラフルでかわいらしい、夜目にも鮮やかな色とりどりの浴衣を準備していたのであった。そっか……そういえば、ロコのお袋さんは和裁士だったっけ。
「ほーれほーれ! じっくり見とれるがいいわ! 学年トップの、美少女の浴衣姿だぞー!」
「なんかみんなの視線が……ち、ちょっと恥ずかしくなってきちゃったよぅ、ロコちゃん!」
「に、似合わないっていいたいんでしょ? わ、わかってるってば……もー! 見んなっ!」
「ゆ、浴衣なんて……今まで着たことなかったから……う、嬉しい……です……えへへ……」
ロコは、藍色を基調にした浴衣。大胆に縦にデザインされた朝顔の大輪が目を引く。隣の純美子は、ピンクをベースに、大きめの紅白の金魚――ランチュウが生き生きと描かれた浴衣で、とてもよく似合っていた。
その隣でガラにもなく照れたようにうちわで顔を隠している咲都子はというと、ライトベージュに紫の蓮をあしらったオトナっぽい浴衣。いかにも咲都子らしいというか落ち着いたデザインで、洗練された女性らしさが漂っていた。一番端で落ち着きなくきょろきょろと視線を泳がせている水無月さんは、赤・青・黄色のカラフルな手毬がデザインされたキュートな浴衣。これもまた、小柄な水無月さんをより可愛らしく引き立てていた。
「ち、ちょっと……! な、なんか言ったらどうなのよ、部長さん?」
「あ……い、いや、その……。みんな凄くキレイでさ……驚きすぎちゃって、言葉が……そのぅ」
なんともはや、我ながら情けないコメントしか出てこず、また冷やかされると思っていると、浴衣に身を包んだ女子四人は控えめに顔を見合わせ、頬を赤らめとっても嬉しそうに微笑んだ。
「うふふ。ありがと、ケンタ君! ロコちゃんがね、男子のみんなを驚かそうって、こっそり」
合宿前にロコのウチに集まって、着物選びから着付けの仕方、髪のまとめ方やメイクを一生懸命特訓してきたんだそうだ。なるほど、どうりで女子だけ荷物があんなに多かったわけだ。
「ほら、今夜が最後でしょ? このコテージでの合宿ってさ。で、アレやるんなら、ってさ」
「わ、私が……浴衣、着たことないって言ったら……ロコちゃんが……。に、似合って……ます?」
他人から見たらさぞかし滑稽だろうけれど、僕ら男子四人はひとりひとり浴衣姿の女子が発言するのにあわせて首を動かし、言葉にあわせて息を止めたままうなずくばかり。それくらい、四人の浴衣姿は、今まで見てきたどんな装いよりも、あでやかで、きらきらとしていたのだ。
「もー!」「ねー?」
やがて、浴衣姿の女子四人は、くすり、と笑みをこぼすと、ひとりずつ男子の手を引いて立ち上がらせる。純美子が僕を。咲都子が渋田を。水無月さんが五十嵐君を。ロコが佐倉君を。
「ほら、せっかく買ってきたんだから。合宿の思い出に、やろ? 打ち上げ花火はないけどね」
「森の中だからね。危ないかな、ってロコと話してさ。手持ちの奴だけど、きっと綺麗だよ?」
――シュッ!
パチパチパチパチ――。
「ひさしぶりにやると、やっぱ楽しいじゃんね、花火って。……ん? どしたの?」
「あ……あのさ、サトチン? 僕、もう一回……プロポーズしていい?」
「……ぷっ! あはははは! ばーか!」
「ちょ――!? あっぶな! 花火は人に向けるものじゃありません! あっつ!!」
火薬まで取り入れた超過激な夫婦漫才(?)を横目に見つつ、渋田がそんなキザなセリフを口走りたくなった気持ちもわかる僕ら。一本、また一本と、これからはじまる本格的な夏休みを予感しながら、僕らは山中湖で過ごす最後の夜を惜しむように花火に火をともしたのだった。
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