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第398話 ふたりの窓辺 at 1995/12/23
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「ふぅ……お、怖ろしいぜ、中学生文学系女子の底力……無防備っていうか……もう……」
遅れて入ってきた純美子より先に、お風呂から上がった僕は、いつもの脱衣スペースを使わずに――なにしろ同じ風呂場にいるだけでいろいろと刺激的だったので――キッチンでこそこそと着替えながらぶつぶつとひとりごとを口走っていた。
(今度は……ケンタ君が洗ってくれるカナ?)
(え……!? あ、はい……)
そんな調子でごしごしやりはじめたものの……僕の方は正式な(?)入浴スタイルだったので、当然のように素っ裸なわけだ。まだ産声をあげたての『思春期クン』がむくむくと余計な妄想と邪念を湧きたててくれちゃって、ホントもう生殺し状態。っていうか、なにせ中身は四〇歳の童貞男子なんだから、こっちは思春期もクソもないのである。
(あっ……ケンタ君って……上手だね(洗うのが)……んっ……すっごくいい気持ち……)
変な声出さないでぇえええええ!
フツーに洗ってるだけですよ、嘘じゃないです。
警察に通報するのだけは待ってください!
そして『あっ、これじゃ洗いづらいよね。……んしょっと』と純美子が水着をダイタンに降ろしはじめた時点で、僕は、あー! すっかり長湯したー! のぼせたわー! とか言い残して慌てて逃げてきたのである。マジでヘタレ。
っていうか……。
過去に付き合っていた高校卒業後の頃の、あの『河東純美子』とあまりに違いすぎる気が。
本当に同じ女の子なんだろうか。謎だ。
「しっかし……ホントに雪積もるんじゃないか、これ……」
着替えが終わってバスタオルで乱暴に濡れた髪をがしがしやりながら、僕はキッチンの窓から眼下に見える白く染められつつある芝生を見つめる。向かいに立つホー4号棟のベランダ側に広がる芝生は、冬の寒さですっかり枯れ色だ。それを覆い隠すように雪が舞い降りている。
「何見てるの、ケンタ君?」
「あ。お風呂、あがったんだね。風邪引かないようによく乾かしてね。……あと、かわいい」
「うふふふ。ありがと」
純美子が着ているのは、ざっくり編んだ毛糸でできたような起毛のプルオーバーパーカーに魔女っ子のかぼちゃパンツに似た下の組み合わせで、全体的にパステルカラーのしましまな奴だ。またもや素足が惜しげもなく晒されていて、見ているこっちの方がどぎまぎしてしまう。
「あっ、雪……もうこんなに降ったの?」
「み、みたいだね。積もっちゃうかなぁ」
「なぁに? 雪遊びでもしないのカナ、僕ちゃん?」
ウチのキッチンにある窓は、決して広くも大きくもない。なので、二人で並べばぎゅうぎゅうだ。やたら厚みのある純美子のパジャマのおかげでそこまで密着感はないものの、むしろ逆に、そのもこもこ加減がぬいぐるみみたいで、つい、抱きしめそうになった。危ない危ない。
「あ……あれ? スミちゃん、ウチのシャンプー使った? よね?」
「うん、そうだよ? ダメだった?」
「そっ! そんなこと! ないない! っていうか……同じシャンプーなのに、って思って」
使用者によって匂いが変化するなんて、驚きの新技術。ついつい気になって、なんどもなんども、くんかくんか、と鼻をうごめかしていたら、ふくれ面の純美子に鼻をつままれた。
「くんくんするの! 禁止! です!」
「すっ、すびばせん、すびばせん! やべます、やべますからぁ!」
涙目で僕が訴えると、純美子は、ぷっ、とふきだし、それからじんわりと微笑んだ。
「なんか……まだ信じられないな……。ケンタ君とこうしてクリスマスイブを過ごすなんて」
「ぼ、僕もだよ……夢みたいだ。さっきから何度か、自分のほっぺたをつねってるんだけど」
「ねー? ……あ、あのね? あたし、ケンタ君とシテみたいことがあるんだけど……?」
遅れて入ってきた純美子より先に、お風呂から上がった僕は、いつもの脱衣スペースを使わずに――なにしろ同じ風呂場にいるだけでいろいろと刺激的だったので――キッチンでこそこそと着替えながらぶつぶつとひとりごとを口走っていた。
(今度は……ケンタ君が洗ってくれるカナ?)
(え……!? あ、はい……)
そんな調子でごしごしやりはじめたものの……僕の方は正式な(?)入浴スタイルだったので、当然のように素っ裸なわけだ。まだ産声をあげたての『思春期クン』がむくむくと余計な妄想と邪念を湧きたててくれちゃって、ホントもう生殺し状態。っていうか、なにせ中身は四〇歳の童貞男子なんだから、こっちは思春期もクソもないのである。
(あっ……ケンタ君って……上手だね(洗うのが)……んっ……すっごくいい気持ち……)
変な声出さないでぇえええええ!
フツーに洗ってるだけですよ、嘘じゃないです。
警察に通報するのだけは待ってください!
そして『あっ、これじゃ洗いづらいよね。……んしょっと』と純美子が水着をダイタンに降ろしはじめた時点で、僕は、あー! すっかり長湯したー! のぼせたわー! とか言い残して慌てて逃げてきたのである。マジでヘタレ。
っていうか……。
過去に付き合っていた高校卒業後の頃の、あの『河東純美子』とあまりに違いすぎる気が。
本当に同じ女の子なんだろうか。謎だ。
「しっかし……ホントに雪積もるんじゃないか、これ……」
着替えが終わってバスタオルで乱暴に濡れた髪をがしがしやりながら、僕はキッチンの窓から眼下に見える白く染められつつある芝生を見つめる。向かいに立つホー4号棟のベランダ側に広がる芝生は、冬の寒さですっかり枯れ色だ。それを覆い隠すように雪が舞い降りている。
「何見てるの、ケンタ君?」
「あ。お風呂、あがったんだね。風邪引かないようによく乾かしてね。……あと、かわいい」
「うふふふ。ありがと」
純美子が着ているのは、ざっくり編んだ毛糸でできたような起毛のプルオーバーパーカーに魔女っ子のかぼちゃパンツに似た下の組み合わせで、全体的にパステルカラーのしましまな奴だ。またもや素足が惜しげもなく晒されていて、見ているこっちの方がどぎまぎしてしまう。
「あっ、雪……もうこんなに降ったの?」
「み、みたいだね。積もっちゃうかなぁ」
「なぁに? 雪遊びでもしないのカナ、僕ちゃん?」
ウチのキッチンにある窓は、決して広くも大きくもない。なので、二人で並べばぎゅうぎゅうだ。やたら厚みのある純美子のパジャマのおかげでそこまで密着感はないものの、むしろ逆に、そのもこもこ加減がぬいぐるみみたいで、つい、抱きしめそうになった。危ない危ない。
「あ……あれ? スミちゃん、ウチのシャンプー使った? よね?」
「うん、そうだよ? ダメだった?」
「そっ! そんなこと! ないない! っていうか……同じシャンプーなのに、って思って」
使用者によって匂いが変化するなんて、驚きの新技術。ついつい気になって、なんどもなんども、くんかくんか、と鼻をうごめかしていたら、ふくれ面の純美子に鼻をつままれた。
「くんくんするの! 禁止! です!」
「すっ、すびばせん、すびばせん! やべます、やべますからぁ!」
涙目で僕が訴えると、純美子は、ぷっ、とふきだし、それからじんわりと微笑んだ。
「なんか……まだ信じられないな……。ケンタ君とこうしてクリスマスイブを過ごすなんて」
「ぼ、僕もだよ……夢みたいだ。さっきから何度か、自分のほっぺたをつねってるんだけど」
「ねー? ……あ、あのね? あたし、ケンタ君とシテみたいことがあるんだけど……?」
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